日本からの輸出に関する制度

茶の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する茶は、次のとおりです。

0902

マレーシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年8月

茶の定義および規格は「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」で定められています。 主な茶製品のカテゴリー別の定義と規格は次のとおりです。

1つ以上の品種の発酵、半発酵、または非発酵の葉、つぼみ、やわらかい茎の蒸し、乾燥、焼成、またはこれらの組み合わせによる製品とする。灰分の合計の7%を超えないものとし、少なくとも半分は沸騰水に溶解するものとする。また30%以上の水溶性抽出物が得られること、偽物や枯れたり腐敗したりカビの生えた葉または茎、異物は含まないこととする。許可されているかどうかにかかわらず、着色物質を含まないものとする。
粉茶
前述の茶をふるって出たものとし、沸騰水に不溶灰分が5%を超えてはならない。前述の茶の規格に準拠するものとし、0.707mmサイズの穴を通過するものとする。
茶抽出物、インスタント茶、可溶性茶
茶の水抽出のみによって製造された乾燥製品で、総灰分の20%以上、水分6%以上を含まず、カフェイン4%以上、タンニン7%以上を含むものとする。また攪拌しながら30秒で沸騰水に溶解し、淹れたての茶の色、味、風味があるものとする。
センティッドティー
センティッドティーやその粉茶、抽出物、インスタント茶、または可溶性茶は、ジャスミンの花、バラの花びら、ベルガモットのエッセンス、ミントレモン、スパイスなどの無害で天然の芳香性物質が添加された茶とし、ほかの異物を含んではならない。
ティーミックス
砂糖の有無にかかわらず、前述の茶で作られた茶製品であり、ジャスミンの花、バラの花びら、ベルガモットのエッセンス、ミントまたはレモン、スパイスなどの無害な天然または芳香性の物質、許可された食品調整剤の含有を認める。またすべてのパッケージには、その使用に関する指示が表示されていなければならず、インスタントで飲める形状の場合、茶飲料と解釈される。

2. 残留農薬

調査時点:2020年8月

マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
茶に関する残留農薬の最大残留基準はそれぞれ次のとおりです。

茶に関する残留農薬の最大残留基準
農薬(英名) 農薬(和名) 最大許容残留値(mg/kg)
Ametryn アメトリン 0.2
Captan キャプタン 10
Deltamethrin
(sum of isomers)
デルタメトリン
(異性体の合計)
10
Dicofol
(sum of o,p’ & p,p’ isomers)
ジコホール
(o,p’、p,p’異性体の合計)
5
Dimethoate
(sum of dimethoate and omethoate)
ジメトエート
(ジメトエートとオメトエートの合計)
0.2
Dithiocarbamates (expressed as CS2)
Mancozeb
Maneb
Propineb
Thiram
Zineb
Ziram
ジチオカルバメート
(二硫化炭素含量)
マンコゼブ
マンネブ
プロピネブ
チウラム
ジネブ
ジラム
5
Diuron ジウロン 1
Endosulfan
(sum of alpha and beta endosulfan and endosulfan sulphate)
エンドスルファン (α、βエンドスルファンならびにエンドスルファンスルフェート) 30
Glufosinate ammonium
(sum of glufosinate and 3-hydroxy methyl phosphinyl propionic acid, expressed as glufosinate (free acid))
グルホシネートアンモニウム
(グルホシネートならびにグルホシネート遊離酸に換算した3-(メチルホスホニル)プロピオン酸の合計)
0.2
Glyphosate グリホサート 0.2
Methidathion メチダチオン 0.5
MSMA MSMA 1
Tridemorph トリデモルフ 15

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2020年8月

マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
茶に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム、アンチモン)の最大残留基準は、それぞれ次のとおりです。

茶に関する重金属の最大残留基準値 (mg/kg)
食品 ヒ素 水銀 カドミウム アンチモン
茶、粉茶、茶抽出物、着香茶 1 2 0.05 1 1

マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。

4. 食品添加物

調査時点: 2020年8月

マレーシアで消費されるすべての食品添加物については、「1985年食品規則」(PART V)において定められています。食品添加物は「食品が有している品質、質感、濃度、外見、におい、味、アルカリ度または酸性度に影響を与えるために、もしくは食品の製造、加工、調製、処理、充填、包装、運搬または保存においてそのほかの技術的な機能を付与するために、意図的に食品に少量導入される、および、その結果直接的または間接的に当該物質またはその副産物が食品の一成分となるか、なることが合理的に期待される、あらゆる安全な物質をいい、すべての保存料、着色料、香料、風味増強剤、酸化防止剤、食品調整剤などを含むが、栄養強化剤、偶発的成分あるいは塩は含まれない」と定義されており、これらに関する使用については、次のように定められています(Regulation 19)。

  • 添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています(次の表参照)。
  • 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
  • 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていない限り禁止する。
  • 食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。

添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています(次の表参照)。

食品添加物の種類別食品規則および付表
添加物の種類 食品規則 付表
保存料 Regulation 20 SIXTH SCHEDULE
抗菌剤 Regulation 20A SIXTH (A) SCHEDULE
着色料 Regulation 21 SEVENTH SCHEDULE
香料 Regulation 22 EIGHTH SCHEDULE
風味増強剤 Regulation 23 NINTH SCHEDULE
酸化防止剤 Regulation 24 TENTH SCHEDULE
食品調整剤 Regulation 25 ELEVENTH SCHEDULE
栄養強化剤 Regulation 26 TWELFTH SCHEDULE
ビフィズス菌 Regulation 26A TWELFTH A SCHEDULE

なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリ―に分類され、基準が整理されています。

  • 乳化剤
  • 消泡剤
  • 安定剤
  • 増粘剤
  • 加工でん粉
  • ゲル化剤
  • pH調整剤
  • 酵素
  • 溶剤
  • 固化防止剤

栄養素が添加されていない甘味物質は、「1985年食品規則」Regulation 133および第17附付則(SHEDULE 17)で規定されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年8月

食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のように定められています。

  1. 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものであってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない。
  2. 容器にセラミック〔カテゴリーA: 磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器そのほか吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB: 陶器、せっ器(ストーンウェア)〕を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1 食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量
種類 単位 カドミウム
平らな容器 mg/dm2 0.8 0.07
深みのある容器(小) mg/l 2.0 0.5
深みのある容器(大) mg/l 1.0 0.25

また、セラミック容器は次の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。

セラミック容器の要件
パラメータ パラメータ カテゴリーB(陶器) カテゴリーB(せっ器)
吸水率(%) 0.4%以下 3.0%以上7.0%以下 3.0%以下
熱衝撃(℃) 160 160
耐チッピング性(J)
プレート直径>220mm 0.25 該当なし
プレート直径≦220mm 0.18 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口あり)
0.10 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口なし)
0.12 該当なし
クレージング すべてのテスト片でクレージングがないこと
  1. 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
  2. 1キログラムあたり0.05ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルに梱包された食品の輸入、販売をしてはならない。
  3. 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
  4. ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、それ以外の次のような容器のリサイクルは認められていない。
    1. 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、そのほかの粉類の容器として使用すること。
    2. 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
    3. 豚由来の製品の容器として意図されたもの、あるいは豚由来の製品の容器として使用された容器を非豚由来の製品の容器として使用すること。
    4. 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
    5. アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること
  5. 次のa~cのような類似用途のための容器リサイクルも認められていない。
    1. 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
    2. 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果実の容器として使用すること。
    3. 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
  6. アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のa、bのような容器のリサイクルは認められる。
    1. アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
    2. 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
  7. ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものである、と推定する。
  8. 破損した容器の使用は認められていない。
  9. 食品の容器の中に玩具やコイン、そのほかのものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を保持するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
  10. 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のa~lのうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
    1. 塩化カルシウム
    2. 水酸化カルシウム
    3. 活性炭
    4. 石膏
    5. 酸化鉄
    6. 水酸化マグネシウム
    7. ステアリン酸マグネシウム
    8. パーライト
    9. 滑石
    10. 沸石

6. ラベル表示

調査時点:2020年8月

茶を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。

表示が必要な項目は次のとおりです。

  1. 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明。
  2. 混合食品または配合食品の場合には、その食品に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
  3. 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記載。
  4. 食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記述を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
  5. 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる(※)。
  6. 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名とともに表示)
  7. 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する記載
  8. 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状媒体内で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の記載。
  9. 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所住所、ならびに当該食品の原産国名。
  10. 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。

また、輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な表記がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。そのほか包装、表示についてのルール詳細については条文を参照してください。

(※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次が挙げられる。

  1. 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
  2. ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
  3. 魚類および魚類製品
  4. 乳および乳製品(ラクトースを含む)
  5. 卵および卵製品

茶の特定の表示要件は次のとおりです。

  1. 茶、粉茶、茶エキス、センティッドティーが1つの特定の地域にのみ由来する場合、地域の名称をパッケージのラベルに表示することができる。
  2. 別段の定めがある場合を除き、「茶」という語は単独で使用するもしくはほかの単語とつなげて使用されるかに関係なく、規定に準拠していない場合にはラベルに表示してはならない。
  3. 茶抽出物、インスタント茶、可溶性茶のパッケージのラベルに、ブランド名を除き最大の文字サイズで、「茶抽出物」、「インスタント茶」という言葉を記載しなければならない。
  4. センティッドティーのパッケージのラベルには、直後に「センティッドティー」という言葉を、4ポイント以上のサイズの文字で、香り物質の名前を書く場合によっては「お茶」という単語と同じレタリングでつなげる。

7. その他

調査時点:2020年8月

食品安全・衛生規制
マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関は農業・農業関連産業省と保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。
輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要規則は、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。

「中華人民共和国国家標準 茶葉貯蔵」(GB/T 30375-2013)に基づき、緑茶は10℃以下、相対湿度は50%以下の環境で貯蔵しなければなりません。