日本からの輸出に関する制度アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

2203.00:
ビール
2204:
ぶどう酒およびぶどう搾汁
2204.10:
スパークリングワイン
2204.21:
2リットル以下の容器入りにしたもの
2204.22:
2リットルを超え10リットル以下の容器入りにしたもの
2205:
ベルモットその他のぶどう酒
2205.10:
2リットル以下の容器入りにしたもの
2206:
その他の発酵酒(例えば、りんご酒、梨酒、ミードおよび清酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物
2206.20:
清酒
2208.20:
ぶどう酒またはぶどう酒もろみの搾りかすから得た蒸留酒
2208.30:
ウイスキー
2208.40:
ラムその他これに類する発酵したさとうきびの製品から得た蒸留酒
2208.50:
ジンおよびジュネヴァ
2208.60:
ウオッカ
2208.70:
リキュールおよびコーディアル
2208.90:
その他のもの

インドの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年8月

日本からアルコール飲料を輸出する場合の輸入禁止・制限品目は特にありません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年1月

日本からインドにアルコール飲料を輸出する際、輸出者は原産国証明書の取得が必要です。 清酒を輸出する場合は、インド食品検査機関ガジアバード(NFL Ghaziabad)で事前に検査し、分析証明書を取得する必要があります。
インド向けに輸出する食品を製造する場合、インド政府による製造施設の登録が必要となるのは乳、乳製品、肉、肉加工品(家きん、魚及びこれら加工品を含む) 、乾燥卵、乳幼児向け食品、栄養補助食品であり、アルコール飲料は対象外となっています。(2024年1月時点)

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年8月

日本からアルコール飲料を輸出する場合の動植物検疫は不要です。

インドの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年1月

インド食品安全基準局(FSSAI)は「食品安全基準(アルコール飲料)規則2018」において、アルコール飲料の分類を次のとおりに定めています。

ブランデー、カントリーリカー、フェニ、ジン、ラム、ウオッカ、リキュール・コーディアル・食前酒、ウイスキー、ポットスチル蒸留酒、ワイン、ビール これらの分類にない酒類の輸入については、後述のとおり特別な検査および証明書の取得が必要となります。

各酒類のアルコール度数(摂氏20度におけるエチルアルコールの容積濃度)の規定は次のとおりです。

  • ビール(レギュラー):0.5~5.0
  • ビール(ストロング):5.0~8.0
  • ペリー(梨由来のワイン)、サイダー(リンゴ由来のアルコール飲料):0.5~9.0
  • ワイン(グレープ由来):7.0~15.5
  • ワイン(グレープ以外の農作物および植物由来):1.5~8.0
  • フォーティファイド・ワイン:15.0~24.0
  • カントリーリカー、フェニ:19~43
  • リキュール、コーディアル、食前酒:15~50
  • ブランデー、ジン、ラム、ウオッカ、ウイスキー、ポットスチル蒸留酒:36~50

清酒はこれらの分類にない酒類に該当し、アルコール度数は22度未満と規定されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年8月

アルコール飲料は、残留農薬規制の対象外です。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年8月

アルコール飲料は、重金属規制の対象となります。「食品安全基準(アルコール飲料)規則2018」により基準値が設定され、2020年6月に改正規則が公開されています。規定がある重金属は、次のとおりです。

  • ウイスキー、ジン、ラム、ウオッカなどハードリカー
    • 銅 5.0mg/l以下
    • 鉛 0.2mg/l以下
    • ヒ素 0.25mg/l以下
    • カドミウム 0.01mg/l以下
    • 水銀 0.25mg/l以下
  • ワイン
    • 銅 5.0mg/l以下
    • 鉄 5.0mg/l以下
    • 鉛 0.2mg/l以下
    • ヒ素 0.25mg/l以下
    • カドミウム 0.01mg/l以下
    • オクラトキシン 20ug/l以下
  • ビール(クラフトビール含む)
    • 銅 2.0mg/l以下
    • 鉄 5.0mg/l以下
    • 鉛 0.2mg/l以下
    • ヒ素 0.25mg/l以下
    • カドミウム 0.1mg/l以下
    • 総細菌数 10CFU/mL以下(クラフトビールの場合100CFU/mL以下)
    • 大腸菌群 ゼロ
  • 清酒
    清酒はインド食品規格にないため、インド食品検査機関ガジアバード(NFL Ghaziabad)で事前に検査し、分析証明書を取得し、輸入時の手続きで提出する必要があります。また、輸入時に提出する分析証明書は、日本からの輸出日から換算して3カ月以内に取得したものでなければなりません。清酒のアルコール度数は22度未満と規定されており、重金属の基準値は次のとおりです。
    • 大腸菌群 ゼロ
    • 硫酸還元菌 ゼロ
    • 大腸菌 ゼロ
    • サルモネラ菌 ゼロ
    • リステリア・モノサイトゲネス ゼロ
    • 二酸化硫黄 350mg/l以下
    • ヒ素 0.25mg/l以下
    • カドミウム 0.01mg/l以下
    • 銅 5.0mg/l以下
    • 鉄 5.0mg/l以下
    • 鉛 0.2mg/l以下
    • スズ 250mg/l以下
    • オクラトキシン 20ug/l以下
    • 水銀 1mg/l以下
    • メチル水銀 1mg/l以下
    • メラミン 2.5mg/l以下
    • 青酸 5mg/l以下
    • アガリン酸 100mg/l以下
    • サフロール 10mg/l以下
    • ハイパーシーン 1mg/l以下
    • ゾキサミド 0.01以下
    • フルミオキサジン 0.01以下
    • シフルフェナミド 0.01以下
    • イプロバリカルブ 0.01以下

関連リンク

関係省庁
インド食品安全基準局(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
インド食品安全基準局「食品安全基準(アルコール飲料)規則2018」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(945KB)
インド食品安全基準局「食品安全基準(アルコール飲料)改訂2018改定1版」(2020年)(ヒンディー語)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.73MB)
その他参考情報
農林水産省「個別危害要因への対応(健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質)」「農林水産省が優先的にリスク管理を行う対象に位置付けている危害要因についての情報(有害化学物質)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
インド食品検査機関ガジアバード(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「インドの日本酒輸入に係る新制度を開始、地理的表示に登録」
ジェトロ「ビジネス短信」添付資料(2023年1月)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(511KB)
「インド食品規格の規格外食品の輸入に関する通達」(2019年8月)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(225KB)
環境によりURLにアクセスできない場合がございます。以下ウェブサイトの「Search」で「648」を検索、「648.Order dated 22nd August 2019 related to Certificate of Analysis from ISO 17025 accredited labs for testing of imported proprietary foods」(Publish date22-08-2019)のDownload PDFを参照ください。 https://www.fssai.gov.in/advisories.php
「インド食品規格の規格外食品の輸入に関する通達」(2019年10月)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(743KB)
環境によりURLにアクセスできない場合がございます。以下ウェブサイトの「Search」で「625」を検索、「625.Order dated 11th October 2019 related to Certificate of Analysis from ISO 17025 accredited labs for testing of imported proprietary foods」(Publish date11-10-2019)のDownload PDFを参照ください。 https://www.fssai.gov.in/advisories.php

4. 食品添加物

調査時点:2023年8月

アルコール飲料は食品添加物規制の対象となります。インドでは、使用される食品添加物についてポジティブリスト制を採用しており、インド食品安全基準局(FSSAI)が発行する「食品安全基準(食品基準および食品添加物)規則2011」において、それぞれの食品添加物の使用範囲・用途および限度が決められ、うち一部についてはそれらの規格も決められています。同規則は82回改訂されており、詳細はFSSAIのウェブサイトの中の、「食品安全基準(食品基準および食品添加物)規則 2011」改訂資料一覧で確認してください。使用した食品添加物、人工着色料、人工甘味料は「食品安全基準(ラベルおよび表示)規則2020」に従い、製品表示義務を果たさなければなりません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年8月

アルコール飲料の容器・包装に関しては、インド食品安全基準局の「食品安全基準(包装)規則2018」に準拠しなければなりません。
同規則では、アルコール飲料の包装を次のとおりに推奨しています。

  • 金属キャップまたはプラスチックキャップの付いたガラス瓶
  • 開けやすいアルミ缶
  • 木樽(ワインの場合)

6. ラベル表示

調査時点:2023年8月

1. ラベルの作成

アルコール飲料のラベル表示は、インド食品安全基準局(FSSAI)「食品安全基準(ラベルおよび表示)規則2020)」、インド消費分配省「商品包装法2011」により規制されています。次の項目を英語またはデーヴァナーガリー文字を用いたヒンディー語で表示することが求められます。また、英語またはヒンディー語の表示を“包装に直接印刷した食品”でなければ輸入が許可されない事例も発生しています。これは「包装済食品のラベルは容器から分離不可能な状態で貼付しなければならない(仮訳)」(「食品安全基準(ラベルおよび表示)規則2020」2.4 General Requirements第6項)という規定を運用したものと考えられます。包装済食品を輸出される際は、事前に輸入業者に対して包装の表示方法を確認することを推奨します。

  • 食品の名称
  • 原材料の名称
    質量または容量の大きい順に表記
  • 食品添加物に関する記載
  • 名称と完全な住所の記載。ブランド所有者の名称と完全な住所は、ブランド所有者自身が製造業者、販売業者、包装業者、またはボトリング業者であるかどうかを問わず、場合に応じて、ラベルに記載されるものとします。
  • 輸入食品の場合、食品のパッケージには、インドの輸入業者の名称と完全な住所の掲載が必要です。
  • アルコール飲料の場合はさらに、ボトリング業者、ブレンド業者およびボトリング業者、輸入業者およびボトリング業者、蒸留業者およびボトリング業者、というラベル記載も可能です。内容量(正味質量、正味容量、正味個数)
    正味量のため、包装材・容器の質量は除外しなければなりません。
    小売価格
    カスタマーケアの詳細情報(カスタマーケアを担当する企業名、住所、電話番号、Eメールアドレス)
  • 製造ロットもしくはコード番号もしくはバッチ番号
    製造ロット番号、コード番号、バッチ番号とは、数字もしくはアルファベット、またはそれらの組み合わせによりラベルに表示され、食品の製造過程を追跡し、流通過程を識別することができる固有の識別マークを意味する。
  • 製造年月日保存可能期限が3カ月未満の製品には、日/月/年の形式で、保存可能期間が3カ月を超える製品には、月と年を、月を大文字で示し、略語(月の最初の3文字以上)を使用する場合を除き、コード化されていない数字の列で記載します。「製造日または包装日」および「消費・使用期限」はラベルに記載します。
  • 輸入食品のラベル表示同規則に記載された要件に加えて、2017年食品安全基準(輸入)規則への準拠も必要となります。
  • 消費期限(※ワインおよびアルコール度数が10度以上の飲料については消費期限を表示する必要はありません。アルコール度数は、摂氏20度におけるエチルアルコールの容積濃度と定義されています。)
  • 原産国
    多くの食品・飲料に表示が義務とされている栄養分成分表示・ベジタリアンまたはノンベジタリアンに関する記載は、アルコール飲料は表示義務の免除対象となっています。

FSSAIは2018年3月に「食品安全基準(アルコール飲料)規則2018」を発表しており、アルコール飲料に関してはラベル情報に関して次の追記が義務化されています。

  • アルコール含有量の%表示
  • スタンダードドリンクの表示:1スタンダードドリンクは、純アルコール10g(量に換算すると12.7ml)を示す単位として使われています。
    容量(リットル)×アルコール度(ml/100ml)×0.798(0.789はエチルアルコールの比重)で計算され、例えば、750mlのアルコール度数8%のアルコール飲料の場合、4.8スタンダードドリンクとなります。
  • アルコール摂取の警告文を3mm以上のサイズで英語表記(特定地域や州で、地域言語での表示が適切と判断される場合には、英語表記は不要です)
    CONSUMPTION OF ALCOHOL IS INJURIOUS TO HEALTH. BE SAFE-DONT DRINK AND DRIVE.

また、次の表示は禁止されています。

  • 栄養表示(nutritional information
  • 機能性表示(Health Claim
  • 「酔わない(Non-intoxicating)」や類似の表示(アルコール度数5%以上の場合)

2. ラベルの修正

アルコール飲料のラベルの表示に修正が必要な場合は、「輸入食品のラベル情報修正に関する通達」に従う必要があり、ラベルの修正および貼付は、インドの港湾にて認められています。概要は次のとおりです。

製造業者と輸入業者の社名および住所情報に修正が必要な場合
  1. ラベル情報に製造業者と輸入業者の社名のみで、住所が記載されていなかった場合、ラベル修正が必要となります。インボイスや商品説明書(原材料リスト)、分析証明書、輸入申告書などの輸入通関に必要な書類に記載されている製造業者および輸入業者の社名が、規定オンラインサイト(Food Import Clearance System)もしくはeSANCHITに登録されている輸入業者によって正しいと確認された後、ラベルの修正が認められます。
  2. ラベルには製造業者(Manufactured by)の記載が必要ですが、製造業者(Manufactured by)の記載がなく、その代わりに「Distributed by」、「Shipped by」、「Exported by」、「Packed by」などの文言が記載されていた場合、ラベルの修正(製造業者(Manufactured by)の記載)が必要となります。Food Import Clearance SystemもしくはeSANCHITに登録されている輸入業者によって「Distributor」、「Shipper」、「Exporter」、「Packer」は製造業者(Manufacture)と同意であると確認された後、ラベルの修正が認められます。
ロット/コード/バッチ番号に修正が必要な場合
ラベルに番号の記載があるが、その番号がロット/コード/バッチのいずれかに該当するのか不明瞭な場合は、ラベルの修正が必要となります。Food Import Clearance SystemもしくはeSANCHITに登録されている輸入業者によって番号の定義が確認された後、ラベルの修正が認められます。
製造年月日/パッケージ月日に修正が必要な場合
製造年月日がロット/コード/バッチ番号と一緒に埋め込み記載されている、もしくはラベルに記載がない場合は、ラベルの修正が必要となります。分析証明書や製造業者からの宣誓書などの必要書類に記載されている製造年月日が、Food Import Clearance SystemもしくはeSANCHITに登録されている輸入業者によって正しいと確認された後、ラベルの修正が認められます。
食品添加物申告に修正が必要な場合
食品添加物に関して、特別名称や国際的な数値識別の記載のみで、分類タイトルのラベルへの記載がない場合は、ラベルの修正が必要となります。輸入業者が申告書をオンライン提出した後、もしくはインボイスや原材料リスト、分析証明書、輸入申告書などの輸入通関に必要な書類に記載されている食品添加物に関する情報が、Food Import Clearance SystemもしくはeSANCHITに登録されている輸入業者によって正しいと確認された後、ラベルの修正が認められます。

7. その他

調査時点:2023年8月

インドで販売するすべての食品は「食品安全基準(食品事業のライセンスの供与および登録)規則2011」の食品安全・衛生規制に準拠しなければなりません。

関連リンク

関係省庁
インド食品安全基準局(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
インド食品安全基準局「食品安全基準(食品事業のライセンスの供与および登録)規則 2011」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(170KB)
環境によりURLにアクセスできない場合がございます。以下ウェブサイトの「1. Food Safety and Standards (Licensing and Registration of Food Businesses) Regulation, 2011」の「Regulation」を参照ください。 https://www.fssai.gov.in/cms/food-safety-and-standards-regulations.php