日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

インドネシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2025年1月

2022年7月22日付農業大臣規則2022年第12号により、核や放射能の危険ステータスにある国や地域からの動植物の生鮮食品の輸入については、原産国の当局などが食品の放射能汚染が定められた基準値内である旨を表明した食品放射能証明を添付することとされています。牛乳・乳製品の基準値は、ヨウ素131(I-131)が100 Bq/kg、セシウム137(Cs-137)が150 Bq/kgです。
この証明を添付した輸入は検疫と食品安全検査に進みますが、証明の添付がない輸入は放射能汚染試験へ回されます。この試験で陽性となり、輸入が拒否された原産国からの次回の輸入は、自動的に放射能汚染試験に回されることになっています。

ただし、東京電力福島第一原子力発電所事故発生時からインドネシアより日本産農産物について課されていた放射性物質の検査報告書の提出義務は2022年7月26日付けで解除され、インドネシアにおける放射性物質輸入規制は撤廃されています。 詳しくは、農林水産省の「インドネシアによる日本産食品の輸入規制の撤廃について」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2025年1月

インドネシアにおける牛乳・乳製品の輸入には現在、インドネシア農業省から家畜由来食品輸入推薦状を取得し、インドネシア商業大臣から家畜加工品の輸入承認(PI)を取得する必要があります。うち、家畜由来食品輸入推薦状の申請について農業大臣規則2021年第15号は、原産国の事業所に対して次の条件を課しています。

  • 原産国の当局に輸出事業所として登録されている
  • 動物疫感染国からの家畜を取り扱っていない
  • 国際的な規則に従った食品安全保証システムを適用し認証を受けている
  • インドネシア商業大臣が認定していない国や事業所からの原材料を使用していない
  • 家畜衛生や動物公衆衛生のリスク分析を通じてインドネシア農業大臣に承認されている
  • 輸出国から、家畜由来食品にとって安全かつ汚染の危険性のない特別な材料で作成されたもので包装されており、その包装にインドネシア語と英語によるラベル表示がなされている
  • 原産国での船積前およびインドネシアでの搬入時に検疫検査が行われる

このため輸出者には、原産国での輸出事業所としての登録を証明する書類、国際的な機関によって発行された国際的な規則に従った食品安全保証システム認証、インドネシア農業大臣からの承認書の準備が求められます。インドネシア農業大臣からの承認書については、関連リンクより、農林水産省の「インドネシア向け乳・乳製品の輸出に向けた対応について」を参照してください。

このほか、インドネシアの輸入者による家畜由来食品輸入推薦状の申請に当たり、輸出者は、原産国の認定試験機関が発行した分析証明書(certificate of analysis)、原産国当局が発行した原産地証明書(certificate of origin)や動物検疫に関わる衛生証明書 (Veterinary Certificate)の準備も求められます。
そして、これら牛乳・乳製品の輸出者には、インドネシア検疫庁のポータルサイトPRIOR NOTICEを通じて、事前通知(Prior Notice)を提出することが求められています。インドネシア検疫庁規則2024年第9号によると、事前通知には、輸出入両者のデータ、輸出する牛乳・乳製品のHSコードと数量、動物検疫に関わる衛生証明書と分析証明書の番号ならびにその検査機関名、輸出の目的、輸送手段と便名、船積港と船積日、目的港と到着予定日、コンテナ番号などを記載します。

一方、最終消費者向けに小売包装された牛乳・乳製品は、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2023年第23号に従い、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する必要があります。(ただし、輸入される牛乳・乳製品が、食品原材料として使用される、大量に包装されるなどし、直接最終消費者に販売されない場合は取得の必要はありません。)インドネシアの輸入者がこの加工食品流通許可を申請するに当たり、輸出側では次の準備が求められます。

  • 原産国の企業からの契約書のかたちでの輸入者の指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)
  • 公認/認定機関が発行したGMP(適正製造規範)/HACCP(危害分析および重要管理点)証明書または同様の証明書、あるいは原産国政府による監査結果
  • 衛生証明書(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)

なお、加工食品流通許可を取得した牛乳・乳製品のインドネシアでの輸入については、輸入者はポストボーダー輸入証明書を取得しますが、この時、輸出者が製造業者と異なるような場合には、製造業者からのレファレンスレターが必要になります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2025年1月

インドネシアへ牛乳・乳製品を輸出する場合、インドネシアの動物検疫の条件に適合しているかを確認するため、動物防疫所による輸出検査が行われます。この輸出検査に合格したものについては輸出検疫証明書が発給されます。詳細は日本動物防疫所の「乳製品の検疫について」を参照してください。
また、牛乳・乳製品の輸出者には、インドネシア検疫庁のポータルサイトPRIOR NOTICEを通じて事前通知(Prior Notice)を提出することも求められています。

インドネシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2025年1月

国家標準化庁(BSN)のウェブサイトでインドネシア国家規格(SNI)を確認することができますが、調査時点で強制適用の対象になっている牛乳・乳製品はありません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2025年1月

残留農薬規制については原則、食品の国際規格であるCODEX規格(コーデックス委員会)が採用されています。
残留農薬の監督を行うインドネシアの保健省と農業省は、1996年に保健・農業大臣合同決定No.881/Menkes/SKB/VIII/1996,No.711/Kpts/TP.270/8/96において149種類の農薬について独自の残留/汚染上限を設けました。これらの基準を超える食品の輸入および国内販売は禁止されているほか、これらに規定されていない農薬の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2025年1月

規制されている細菌は、一般生菌、大腸菌群、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、リステリア・モノサイトゲネス、カビ類で、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第13号で許容混入値が定められています。具体的な基準値は、BPOM規則2019年第13号を参照してください。

規制されている化学物質はダイオキシンとアフラトキシンM1で、BPOM規則2018年第8号で定められている残留濃度上限値は次のとおりです。

  • ダイオキシン 2.5pg/g(脂質)
  • アフラトキシンM1 0.5µg/kg

規制されている重金属は、ヒ素(As)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)で、BPOM規則2018年第5号で定められた許容限度基準値は次のとおりです。

  • ヒ素(As) 0.10 mg/kg
  • 鉛(Pb) 0.02 mg/kg
  • 水銀(Hg) 0.02 mg/kg
  • カドミウム(Cd) 0.05 mg/kg

4. 食品添加物

調査時点:2025年1月

保健大臣規則2012年第33号には、食品への使用が禁止される食品添加物として次の19の物質が挙がっています。

  • ホウ酸
  • サリチル酸とその塩
  • ジエチルピロカーボネート
  • ズルチン
  • ホルムアルデヒド
  • 臭素酸カリウム
  • 塩素酸カリウム
  • クロラムフェニコール
  • 臭化物食用油
  • ニトロフラゾン
  • ズルカマラ
  • コカイン
  • ニトロベンゼン
  • アントラニル酸シンナミル
  • ジヒドロサフロール
  • トンカ豆
  • ショウブの根茎からとれる精油(Calamus oil)
  • ヨモギギクの精油(Tansy oil)
  • サッサフラスの精油(Sasafras oil)

また、使用が認められる食品添加物は保健大臣規則2012年第33号に、使用量の制限については国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第11号に、それぞれ定められています。
さらに、BPOM規則2023年第22号には、食品添加物として使用が禁止される45の物質が挙げられています。詳細はBPOM規則2023年第22号を参照してください。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2025年1月

牛乳・乳製品を含む家畜由来食品の包装について、農業大臣規則2021年第15号は、家畜由来食品にとって安全かつ汚染の危険性のない特別な材料で作成されたもので、輸出国から包装されていることと規定しています。
具体的には、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第20号に、食品包装として使用が禁止されている食品接触物質と、使用が許可されている食品接触物質のリストが掲載されています。これらのうち食品包装に使用が許可されている食品接触物質は、食品への移行量の規制が制限されているものと、特に規制のないものに分かれます。
食品包装に使用が認められ、食品への移行量が制限されている食品接触物質としては、プラスチック(モノ/マルチレイヤー)、ゴム/エラストマー、紙とカートン、レジン/ポリマーレイヤー、陶器、ガラス、金属がリストに定められています。また、ふた/ガスケット/封印も食品接触材の対象となります。リストにない要素や原料は、その安全性が検査された後、BPOM長官より承認を得て使用が可能となります。

なお、工業大臣規則No.24/M-IND/PER/2/2010によって、インドネシア国内で販売される食品の包装には、食品に適した安全な容器を使用していることを示すロゴの表示が義務付けられています。またプラスチック容器については、リサイクルのコードと使用しているプラスチックの種類を表記することが定められています。

6. ラベル表示

調査時点:2025年1月

農業大臣規則2021年第15号は、牛乳・乳製品を含む家畜由来食品は輸出国からの包装にラベル表示をすることを定めています。このラベルは、少なくとも次の事項については、インドネシア語と英語で記載します。

  • 目的国“Indonesia”
  • 事業所の名称と住所
  • 事業所の登録番号(Establishment Number)
  • 製造日
  • 製品の数量、種類、仕様
  • ハラール証明
  • ロット(バッチ)番号と消費期限

また、最終消費者向けに小売包装された牛乳・乳製品のラベルには、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2018年第31号(BPOM規則2021年第20号、BPOM規則2024年第6号で変更)の加工食品のラベル表示規定に従い、インドネシア語、アラビア数字、アルファベット表記での表示が義務付けられています。表示が義務付けられている項目は次のとおりです。

  • 商品名:食品カテゴリーに基づく種類、製品名
  • 使用原料一覧:原材料、食品添加物、加工助剤。加工食品自体を示す原料、ラベルにおいて言葉または図により強調される原料、食品の種類の名称である、または食品の種類名において述べられる原料の場合は、その含有率の表示も義務付けられている。
  • 正味重量または正味容量(許容誤差に係わる規定なし)
  • 製造者・輸入者の名称と住所
  • ハラール証明
  • 製造日と製造コード
  • 賞味期限の説明:品質が保証される年月日を記載します。保存期間が3カ月以上の商品については、年月だけでもよいとされています。
  • 加工食品流通許可番号:「BPOM RI ML xxxxx (取得番号)」
  • 特定の食品原料成分の説明:動植物由来の原料、遺伝子組換え原料、放射線照射原料など。原料名と原料成分の由来を使用原料一覧に記載することが義務付けられています。ただし、遺伝子組換え原料の使用量が5%以下の場合は遺伝子組換え原料の表示が免除されています。
  • 保存方法:1回で消費し切れない食品の場合は、開封後の保存方法も記載します。
  • 栄養価表示:エネルギー総量、脂肪総量、タンパク質、炭水化物、ナトリウムの表示が必要です。

このほか、製品によっては次の項目の表示も必要になります。

  • 注意文:塩や砂糖、脂質を含む食品で、大量に消費すると健康リスクが発生する可能性がある場合などに表示します。
  • 用途についての説明:乳幼児向け、授乳中の女性向け、特定の疾病を有する者向け、など。
  • 使用方法:温めるなど、消費に際し必要な準備方法を表示します。
  • アレルゲン原料一覧:使用原料一覧の近くに太字で表示。所定の警告文あり。グルテンを含有するシリアル、卵、水産物、大豆、牛乳、ナッツ類、など。
  • 有機食品についての説明
  • 2Dバーコード
  • 警告文

特に豚に由来する原料を含む食品は、下図のように“mengandung babi”(豚含有の意)を赤文字で記載し、その横に豚の絵を配し、これらをさらに赤線の四角で囲んだ表示が必要です。文字のサイズは最低1.5mmで、ラベルの面積に比して適当な大きさで示す必要があります。

食品自体に豚由来の成分が含まれない場合でも、同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している場合は、下図のように“Pada proses pembuatannya bersinggungan dan/atau menggunakan fasilitas bersama dengan bahan bersumber babi”(同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している意味)を赤文字で記載し、赤線の四角で囲った表示が必要です。

商品名および注意文は、2ミリのArialフォントによる小文字の「o」と同じかそれより大きいサイズで記載しなければなりません。その他は原則、1mmのArialフォントによる小文字の「o」と同じか、それより大きいサイズで記載します。ラベルの表面面積が10cm²以下の場合は、最小でも0.75mmのサイズの文字で記載することが義務付けられています。

ラベルは加工食品流通許可の取得時に承認されている必要があり、承認済みのラベルと同一のものが、インドネシア国内に搬入される際に貼付されている必要があります。

7. その他

調査時点:2025年1月

食品安全・衛生規制

政令2019年第86号で、食品の衛生、食品添加物、遺伝子組換え食品、食品の放射線照射、食品の包装基準、食品の安全品質保証、汚染食品に分けて規定されています。

インドネシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2025年1月

輸入承認と輸入推薦状

牛乳・乳製品の輸入に当たっては、商業大臣規則2024年第8号に従い、商業大臣から家畜加工品の輸入承認(PI)を取得します。PIは、政府が収集、決定する消費と生産の状況に関するデータや情報である商品バランスが決定されている場合は商品バランスに従って発行されますが、家畜製品は2025年1月現在で商品バランスが決定されていない品目のため、農業省からの家畜由来食品輸入推薦状に基づいて発行されます。
家畜由来食品輸入推薦状の申請は、オンライン・シングル・サブミッション(OSS)システムを通じて申請します。農業大臣規則2021年第15号によると、申請に当たっては、次のような条件があります。

  • 原産国が、口蹄疫、ブルセラ症や結核、リフトバレー熱、小反芻獣疫に感染していない
  • 原産国の事業所が
    • 原産国の当局に輸出事業所として登録されている
    • 動物疫感染国からの家畜を取り扱っていない
    • 国際食品安全保証システムを適用し、認証を受けている
    • インドネシア商業大臣が認定していない国や事業所からの原材料を使用していない
    • 家畜衛生や獣医公衆衛生のリスク分析を通じてインドネシア農業大臣に承認されている
  • 輸出国から、家畜由来食品にとって安全かつ汚染の危険性のない特別な材料で作成されたもので包装されており、その包装にインドネシア語と英語によるラベル表示がなされている
  • 原産国での船積前およびインドネシアでの搬入時に検疫検査が行われる

家畜由来食品輸入推薦状の申請に必要な書類は次のとおりです。

  • 輸入業者事業者番号(API)として有効な事業者基本番号(NIB)
  • 輸入者の蔵置スペース占有証明書とそれを立証する書類
  • 輸出事業所の登録番号(Establishment Number)とその蔵置スペースの評価結果
  • インドネシアのハラール当局によって指名されたハラール認証機関が発行したハラール認証
  • 州の畜産・家畜衛生分野を管轄する局からの輸入推薦状
  • 原産国の認定試験機関が発行した分析証明書(certificate of analysis)
  • 前回の輸入時の原産国当局が発行した原産地証明書(certificate of origin)、初めての輸入の場合は原産地に関する誓約書
  • 前回の輸入時に原産国当局が発行した動物検疫に関わる衛生証明書 (Veterinary Certificate) 、初めての輸入の場合は衛生に関する誓約書
  • 推薦に関わる法的問題を現在有していない旨の誓約書
  • 提出した書類が正しく、正当である旨の誓約書

家畜由来食品輸入推薦状に続き、通関ポータルサイトであるインドネシア・ナショナル・シングル・ウインドウ・システム(INSW)を通じてPIの申請を行い、商業省のポータルサイトINATRADEシステムを通じてPIの発行を受けます。有効期間は1~12月の範囲で最長1年間ですが、家畜由来食品輸入推薦状(有効期間6カ月間)に合わせた期間になることが予想されます。

加工食品流通許可(Izin Edar)

最終消費者向けに小売包装された牛乳・乳製品は、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2023年第23号に従い、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する必要もあります。(ただし、輸入される牛乳・乳製品が、食品原材料として使用される、大量に包装されるなどし、直接最終消費者に販売されない場合は取得の必要はありません。)これはBPOMへ商品登録を行うことにより取得するもので、申請はBPOMのウェブサイトに接続したOSSシステムから開始します。
牛乳・乳製品を含む加工食品の登録は、低の中リスク、高の中リスク、高リスクに分類されて実施されています。それぞれのリスクの目安は次のとおりです。

低の中リスクに分類される加工食品
特定の消費者を対象にしていない、強調表示がない、商業殺菌や低温殺菌、放射線照射、遺伝子組換え、有機など特定の製造工程を経ていない、特定の原材料や食品添加物を使用していない、または許容量制限のない食品添加物を使用した加工食品
高の中リスクに分類される加工食品
インドネシア国家規格(SNI)が強制適用されている加工食品
高リスクに分類される加工食品
  • 特別栄養補助加工食品(PKGK)
  • 強調表示食品
  • 遺伝子組換え食品(GMO)
  • 放射線照射食品
  • 許容量制限のある食品添加物を使用した食品
  • 低温殺菌プロセスを経た加工商品
  • 商業殺菌/その他の新技術食品

商品登録の申請には、次の許認可や情報を提出します。提出すべき書類は、リスクレベルに応じて異なります。

  • 食品輸入分野の事業認可(APIとして有効なNIB)
  • 納税者番号(NPWP)
  • 原産国の企業からの契約書のかたちでの指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。
  • 公認/認定機関が発行したGMP(適正製造規範)/HACCP(危害分析および重要管理点)証明書または同様の証明書、あるいは原産国政府による監査結果
  • 加工食品安全マネジメントシステム規格適合証明書(SMKPO)
  • 使用されている原材料の組成情報またはリスト(特定の食品原材料の原産地に関する記述を含む)
  • 生産工程
  • 消費期限に関する情報
  • 生産コードに関する情報
  • ラベルデザイン
  • 製品写真(ラベルに記載されているすべての情報が読みやすく写っているもの)
  • ラベルの翻訳文(原文が英語以外のもの)
  • 衛生証明書(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)
  • 分析証明書(金属・化学・細菌汚染、食品添加物、栄養素、品質・特徴。ただし、低の中リスクに分類される牛乳・乳製品の場合は、栄養素の分析証明書のみ必要。高の中リスクに分類された牛乳・乳製品の場合は、食品添加物と栄養素の分析証明書のみ必要。)
  • 特定の原材料・添加物の特性(原料の由来、遺伝子組換え製品の説明、食品添加物の種類、はちみつのクロラムフェニコール含有度、など)

このほか必要に応じて、SNI証使用製品証明(SPPT-SNI)、有機認証、遺伝子組換え食品である旨の説明、放射線照射の証明、ハラール認証なども提出します。

商品登録は、商品の種類ごとのほか、包装の種類、構成要素、ラベルのデザインごとに行うこととされており、これらが異なる場合はその都度、登録/再登録しなければなりません。

なお、加工食品流通許可証の有効期間は5年間で、有効期限の6カ月前から10日前までに更新しなければなりません。

ポストボーダー輸入証明書(ポストボーダーSKI)

加工食品流通許可を取得した牛乳・乳製品は次に、BPOM規則2022年第27号(BPOM規則2023年第28号で変更)に従い、BPOMからのポストボーダー輸入証明書を取得することが義務付けられています。これは輸入の都度、取得が必要です。ポストボーダー輸入証明書の申請は、BPOMのウェブサイト内にアカウントを開設し、加工食品流通許可(Izin Edar)やBPOMに承認されたラベルなどをアップロードして行います。必要な情報は次のとおりです。

  • 事業者基本番号(NIB)
  • 納税者番号(NPWP)
  • 輸入予定商品のHSコード一覧
  • 責任者の住民証(KTP)
  • 会社の倉庫と事務所の写真(前面と背面)
  • 加工食品安全マネジメントシステム規格適合証明書(SMKPO)
  • 輸入者の名称と住所
  • 食品カテゴリーと商標
  • 梱包の種類、重量/数量
  • 輸入量
  • 輸出国
  • 輸出者に関する情報
  • インボイスとパッキングリストに関する情報
  • 消費期限
  • ロット/バッチ/生産コード
  • 船降港
  • 分析証明書(金属・化学・細菌汚染、食品添加物、栄養素、品質・特徴)
  • 製造業者からのレファレンスレター(輸出者が製造業者と異なる場合)
  • 協業契約書(登録承認を有する輸入業者と異なる輸入者によって輸入が行われる場合、公証が必要)
  • 分析結果(ホルムアルデヒド、メラミン、着色料)
  • 加工食品流通許可(Izin Edar)
  • 製造日/消費期限およびロット/バッチ番号が記載された書類
  • インボイスとパッキングリスト
  • 商品登録時に承認されたラベル

ポストボーダー輸入証明書は、税関からの物品搬出許可の発行日から7日以内に取得することとされています。また、ポストボーダー輸入証明書の申請時に、輸入される牛乳・乳製品は保存期間全体の最低3分の2以上が残っている必要があります。

検疫証明書

このほか、インドネシア検疫庁規則2024年第1号により、HSコード1901.90.31、1901.90.32、1901.90.39の乳製品および同2105.00.00のアイスクリーム類を除く牛乳・乳製品の輸入には動物検疫が課されており、検疫により問題がないことが証明された旨の証明書(文書コードKH.2)を取得した後に国内の関税地域へ搬出できます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2025年1月

牛乳・乳製品を輸入する際の手順は次のとおりです。

  1. インドネシアの輸入者は、輸入予定の牛乳・乳製品を国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録し、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する(最終消費者向けに小売包装された牛乳・乳製品の場合)。
  2. インドネシアの輸入者は、農業省から家畜由来食品輸入推薦状を取得する。
  3. インドネシアの輸入者は、商業省から輸入承認(PI)を取得する。
  4. インドネシアの輸入者は、BPOMからポストボーダー輸入証明書(ポストボーダーSKI)を取得する。
  5. 動物検疫(HSコード1901.90.31、1901.90.32、1901.90.39の乳製品および同2105.00.00のアイスクリーム類を除く)
    1. 出荷国において輸出者は、動物防疫所から動物検疫証明書(Veterinary Certificate)と、原産国の認定試験機関による分析証明書(Certificate of Analysis)を用意する。
    2. 出荷国において輸出者は、インドネシア検疫庁のポータルサイトPrior Noticeを通じて積載船舶の出航前までに、安全性検査のための事前通知(Prior Notice)を提出する。
    3. インドネシアにおいて輸送機関の責任者は、積載船舶の到着2日前までに船卸港の検疫官に対し、インドネシア・ナショナル・シングル・ウインドウ(INSW)システムを通じてアプリケーション「Quarantine Manifest Information」へ運送手段船荷証明を提出する。同証明には少なくとも次の内容が記載される。
      • 輸送機関の名称
      • HSコード
      • 牛乳・乳製品の種類と数量
      • 原産国
      • コンテナ番号

        検疫官はこの運送手段船荷証明を基にリスク分析を行い、検疫対象の牛乳・乳製品の分類とカテゴリーを決定する。分類とカテゴリーは、検疫対象物の種類と原産国での動物疫感染ステータスに従って、搬入禁止と低・中・高リスクのどれかに決定される。農業大臣規則No.12/Permentan/OT.140/3/2015によると、原産国のステータスが問題ない限り、牛乳・乳製品のカテゴリーは低リスクに分類される。

    4. インドネシアの輸入者は、貨物の到着2日前までにオンラインで検疫検査申請を行って貨物の到着を申告し、船卸港の検疫官に牛乳・乳製品の引き渡しを行う。
    5. 船卸港の検疫官は、提出された申請書類が正しく、不備がないか、審査する。
    6. 船卸港の検疫所管理者は、検疫官と輸入者またはその代理人に、コンテナの準備完了をオンラインで通知する。
    7. 船卸港の検疫官は、コンテナ準備完了の通知から1時間以内に検疫検査を開始し、提出した書類と検疫対象の牛乳・乳製品が適合しているか、検疫対象の牛乳・乳製品が法令で定められた衛生条件を満たしているか、検査する。検疫に要する時間は、低リスクに分類されたもので1×24時間以内、中リスクで3×24時間以内。検疫検査には、輸入者またはその代理人が検疫に立ち会うことが望ましい。
    8. 検疫所から検疫により問題がないことが証明された旨の証明書(文書コードKH.2)が発行された場合(低リスクに分類されたものは1日で発行)、貨物を検疫所から搬出することができる。この証明書はINSWシステムにアップロードされる。
  6. 輸入関税および租税を納付
    輸入品のHSコードを特定して関税率表でその関税率を確認し、必要な租税と一緒に金額を計算した後、関税総局の通関サービス利用者オンラインでeビリングを取得して銀行などで納付し、関税・租税納付書(SSPCP)を取得する。
  7. 輸入申告
    輸入申告書(PIB)に次の書類を添付し、船卸港の税関に提出して申告書登録番号を受ける。
    • 輸入関税・租税納付書(SSPCP)
    • インボイス
    • パッキングリスト
    • 船荷証券
    • 輸入承認
    • 輸出国当局からの検査証明書(衛生証明書、輸入承認番号を記載)
    • 検査会社によるサーベイヤーレポート(LS)
    • 原産地証明書(日本インドネシア経済連携協定(JIEPA)などにおける輸入の場合)
  8. 書類審査
    船卸港の税関が申告内容や添付書類、輸入関税の計算などを審査。
  9. 搬出許可(SPP)を取得。

これらの検査を経て船卸港の税関からの搬出許可が出た後、貨物を引き取ることができます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2025年1月

牛乳・乳製品の輸入時には次のような手順で検疫検査が行われます。

  1. 輸入予定の牛乳・乳製品の到着2日前までに、搬入地の検疫官に、必要書類を添付して、牛乳・乳製品の到着予定を届ける。
  2. 輸入予定の牛乳・乳製品が到着後、検疫官による書類検査が行われる。
  3. 書類検査で問題ないとされた場合、衛生検査に進む。
  4. 衛生検査の結果、問題ないとされた場合、その旨の証明書が発行される。

詳細は、「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)』の記述を参照してください。

牛乳・乳製品は輸入時の通関検査がありませんが、税関エリアを通過後に輸入要件を満たしているかどうかの検査を行うポストボーダー検査の対象です。この場合の輸入要件は、輸出国における船積み前検査の報告書であるサーベイヤーレポート(LS)と、インドネシア商業省が発行する輸入承認(PI)を指します。ポストボーダー検査のため輸入業者は、LSとPI、および輸入申告書(PIB)を少なくとも5年間保管しなければなりません。 輸入業者は当該輸入品を使用、販売、譲渡する前に、輸入要件を満たしていることを表明した宣言書(Self Declaration)を作成し、PIBの番号を記載のうえ、商業省の許認可ポータルサイトINATRADEを通じて提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2025年1月

包装された生乳は、農業大臣規則2021年第15号により、商品登録して、家畜製品登録番号を取得することになっています。申請に当たっては、次のような条件があります。

  • 輸入が承認された国と事業所からの家畜製品である。
  • 原産国の家畜製品安全品質条件を満たしており、そのことが次の書類で証明される。
    • 衛生証明書
    • 原産地証明書の写し
    • 分析証明書の写し
    • ハラール証明書の写し

申請に必要な書類は次のとおりです。

  • 事業者基本番号(NIB)
  • 会社の代表者あるいはその代理人の住民証(KTP)またはパスポート
  • 納税者番号(NPWP)
  • 会社のプロフィール
  • 会社設立証書と直近の定款変更証書
  • 家畜由来食品輸入推薦状
  • 提出した書類が正しい旨の誓約書

輸入品の家畜製品登録番号は、「PHL xxxxxxxxxxxxxxx」のように表され、ラベルに表示することが義務付けられています。有効期間は5年間です。

一方、インドネシアにおいて小売販売される、最終消費者に直接販売されるために小売用に包装された牛乳・乳製品は、加工食品として国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録し、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する必要があります。(ただし、輸入される牛乳・乳製品が、食品原材料として使用される、大量に包装されるなどし、直接最終消費者に販売されない場合は取得の必要はありません。)BPOM規則2023年第23号によると、申請は輸入業者が行い、申請に必要な条件は次のとおりです。

  • 輸入業あるいは販売業の事業認可を取得している。
  • 原産国の企業からの契約書のかたちでの指名書を保有している(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間など明記、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。
  • 流通施設における加工食品安全管理システムを適用している。

輸入の牛乳・乳製品には、「BPOM RI ML xxxxx (取得番号)」という加工食品流通許可番号が交付されますので、これをラベルに表示します。ラベルは商品登録時に提出し、承認を受けます。 また、商品登録は、商品の種類ごとのほか、包装の種類、構成要素、ラベルのデザインごとに行うこととされており、これらが異なる場合はその都度登録しなければならず、包装やラベルに変更があった場合にもその都度、加工食品流通許可を更新しなければなりません。 (詳細は、「1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」を参照してください。)

なお、BPOM規則2023年第23号は、原料として利用され、最終消費者に直接販売されない加工食品は、加工食品流通許可の取得義務の例外としています。

5. その他

調査時点:2025年1月

なし

インドネシア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2025年1月

HSコード0401および0402番台のミルクおよびクリームには、5%の輸入関税が課されます。日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA、財務大臣規則No.50/PMK.010/2022)や日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP、財務大臣規則No.48/PMK.010/2022)においても、日本からの輸入はHS 0402.99.00を除き5%ですが、地域的な包括的経済連携(RCEP、(財務大臣規則No.225/PMK.010/2022)における日本からの輸入では一部を除き、HSコードにより2024年は0%、3%または3.6%、25年は0%、2.5%または3.3%とより低く設定されています(HSコード0402.29.30と0402.29.90は5%)。ただし、HS 0402.99.00は、いずれの協定でも10%と、一般税率より高い設定となっています。

HSコード0403番台のうち0403.20.11、0403.20.19、0403.20.91および0403.20.99の輸入関税率は10%です。JIEPAおよびAJEPAにおいても10%ですが、RCEPにおける日本からの輸入では、関税率は0%に設定されています。
同様に、HSコード0403.90.10と0403.90.90の輸入関税率は5%で、JIEPAおよびAJEPAにおいても5%ですが、RCEPにおける日本からの輸入では輸入関税率は0%です。

HSコード0404、0405、0406番台、1901.90.31、1901.90.31、1901.90.39の乳製品の輸入関税率は5%です。ただし、JIEPA、AJCEP、RCEPを利用した日本からの輸入では、関税率は0%になります。

2105.00.00の輸入関税率は15%と高いですが、JIEPA、AJCEP、RCEPにおける日本からの輸入では0%になります。

一方、2202.99.10の輸入関税率は10%ですが、JIEPA、AJCEPにおける日本からの輸入では0%、RCEPにおける日本からの輸入では2024年は3.6%、25年は3.3%と設定されています。

JIEPA、AJCEP、RCEPの適用のためには、特定原産地証明書および運送要件証明書(通し船荷証券の写しなど)の提出が必要です。

2. その他の税

調査時点:2025年1月

(1)前払い所得税

財務大臣規則2024年第81号により、牛乳・乳製品の輸入には、輸入前払い所得税(PPh-22)が輸入申告前に徴収されます。税率は、2105.00.00と2202.99.10を除き、輸入業者事業者番号(API)を有している企業でCIFの2.5%、2105.00.00と2202.99.10は同7.5%に定められています。PPh-22は、法人税の年次申告時に法人税と相殺します。

(2)付加価値税

牛乳・乳製品の輸入にCIFの11%の付加価値税(VAT)がかかるほか、国内取引時にも取引価額に11%のVATが加算されます。ただし、この税率は2021年第7号国税規則調和法により、12%に引き上げられる予定があります。商品購入時に事業者が負担した仕入れのVAT額は、販売時に取引先から徴収する売り上げのVAT額と、月次単位で相殺されます。会社は事業開始前に、税務署にVAT課税業者(PKP)として登録しておく必要があります。

ただし、政令2022年第49号により、HSコード0401番台のミルクおよびクリームの輸入および国内取引にかかるVATは、現在免除されています。しかし、無償給食プログラムに関わる国産牛乳の使用奨励政策により、牛乳の輸入に対するVAT免除の撤廃が検討されています。

3. その他

調査時点:2025年1月

なし

その他

調査時点:2025年1月

(1)有機認証
BPOM規則2017年第1号により、有機加工食品を国内で流通させるには、国家認定委員会(KAN)に認定された有機認証機関発行の有機認証で証明されている必要があります。有機認証を受けた加工食品は、そのラベルと広告において、食品の種類の後に“Organik”(有機の意)と記載し、法令で定められたインドネシア有機ロゴを表示する義務があります。
(2)ハラール認証
宗教大臣規則2019年第26号により、国内で流通する食品には2024年10月17日以降、イスラーム法で許されていることを意味するハラール認証を受けていることが義務付けられていますが、宗教大臣決定2021年第1360号により、生乳は、加工していない素材のままの状態であれば、この義務の対象外と見なされています。
生乳以外の牛乳・乳製品には、ハラール製品保証実施機関(BPJPH)に認定された国内外の認証機関が審査のうえ、ハラール認証が発行されます。ハラール認証を受けた加工食品は、所定のハラール・ラベルの表示が必要です。逆にハラールでない食品は、ハラールでない旨を製品に表示することが義務付けられています。
ただし、政令2024年第42号により、海外から輸入される加工食品に対するハラール認証の義務は、最長で2026年10月17日まで猶予されました。
(3)遺伝子組換え食品
国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2024年第19号により、遺伝子組換え食品は国内流通に際してBPOMからの安全性認証の取得が義務付けられています。認証を取得するには、遺伝子組換え食品安全委員会(KKH-PRG)の分析を受けて推薦状を取得する必要があります。遺伝子組換え食品安全認証に基づいて安全であることが表明された遺伝子組換え食品で、遺伝子組換えDNAの含有率が5%以上の遺伝子組換え食品については、通常の食品ラベルの表示のほか、“PRODUK REKAYASA GENETIK”(「遺伝子組換え製品」の意)と記載することとされています。
(4)放射線照射食品
BPOM規則2018年第3号により、輸入の放射線照射食品には、原産国の政府が発行した放射線照射証明の添付が義務付けられています。ラベルには通常の食品ラベルの表示のほか、食品の種類の後ろに“PANGAN IRADIASI”(放射線照射食品の意)と記載し、法令で定められた専用ロゴを付します。