日本からの輸出に関する制度

鶏卵の輸入規制、輸入手続き

香港の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

ここで述べられている以外の鶏卵に特化した食品規格の設定はありません。
包装済み食品については、コーデックス委員会(CODEX)の食品規格にあるように食品の成分とその添加物について適切に表示しなければなりません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年7月

香港では使用される農薬について、ポジティブリスト制を採用しています。 「食品中の残留農薬規則」(Cap.132CM Pesticide Residues in Food Regulation)Schedule 1に挙げられている、農薬と食品との組み合わせごとに定められている最大残留基準値あるいは外因性最大残留許容量に照らし、含有量が規定値を超えている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。また、Schedule 2には規制対象外の農薬が挙げられています。

卵および卵製品に残留する動物用医薬品については、「食品有害物質規則」(Cap.132AF Harmful Substances in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている物質が規定量を超えている場合、また同Schedule 2に挙げられている物質が含まれている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。

なお、鶏卵は「公衆衛生(動物および鳥類)(残留化学物質)に関する規則」(Cap. 139N Public Health (Animals and Birds) (Chemical Residues) Regulation)で定義する「食用動物(Food Animal)」に含まれないため、同規則は適用されません。

鶏卵を輸入する事業者は香港食品安全センター(CFS)にEメールで連絡を取り、当該食品に追加の規制が適用されていないか確認することが推奨されています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年7月

【重金属規制】

2019年11月から施行された「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」(Cap.132V Food Adulteration (Metallic Contamination)(Amendment)Regulations 2018)では、規制対象となる「特定金属」の含有上限量とそれに対応する「特定食品」を列挙しており、当該食品が「特定食品」を原料として含む場合には、同法の基準に従う必要があります。

なお、規制対象である「特定金属」と「特定食品」の組み合わせおよび含有上限量ついては、「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」の付表第2部(Part 2 Maximum Level of Metal in Food)にリスト化されています。

複数の原料から構成される「複合食品」についても、「特定食品」が配合されている場合には規制対象となります。また、改正規則3(4)に規定されたとおり、「複合食品のすべての原料が特定食品に該当する場合」には、「(当該)複合食品に含まれる特定金属の上限量は、各原料の特定金属の上限量に、この複合食品に含まれる各原料の割合、重量比を乗じた値の合算」となります。

加えて、「特定金属」ではない金属であっても、危険値である、または有害性が疑われるような量の金属を含有する食品は、いかなるものでもヒトの消費用に輸入・委託・配送・製造・販売することが禁止されています。

鶏卵における「特定金属」の含有上限量は、次のとおりです。ただし、前述のとおり、その他の食品と組み合わせた「複合食品」に該当する場合は基準値が異なるため、関連リンクなどを参照のうえ、確認してください。

鶏卵における特定金属の含有上限量
特定金属 特定食品 含有上限量(mg/kg)
家きん卵 0.2
ピータン 0.5
水銀(総水銀として) 家きん卵 0.05

【有害物質】

有害物質に関しては「食品有害物質規則」(Cap.132AF Harmful Substances in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている物質が規定量を超えている場合、また同Schedule 2に挙げられている物質が含まれている場合、該当する食品の輸入・販売などが禁止されています。

殻付き鶏卵および卵製品に適用される基準最大濃度

  • アフラトキシン 落花生またはその加工品以外の食品:15μg/kg
  • マラカイトグリーン すべての食品:不検出
  • メラミン 乳幼児または妊産婦用の食品:1mg/kg、その他の食品:2.5mg/kg
禁止物質
ジエノエストロール
ジエチルスチルベストロール
ヘキソストロール
アボパルシン
クレンブテロール
クロラムフェニコール
サルブタモール

2021年7月14日には、「2021年食品有害物質(改正)規則(Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021)が可決されました。上記規則により、一部成分の許容基準値が改正または新設となり、2023年6月1日から施行されます。鶏卵に関連する有害物質のうち、改正または新設となったものについては、次の表を参照のうえ、関連リンクの内容を確認してください。

改正または新設となった食品有害物質の許容量リスト(2023年6月1日より有効)
特定有害物質 特定食品 含有上限量
アフラトキシンB1 乳タンパク質から製造された調整乳を除く、乳児用調製粉乳およびフォローアップミルク 0.1μg/kg
生後36カ月以下の乳幼児による摂取を前提とした、上記以外のすべての食品 0.1μg/kg
アフラトキシン総量
(アフラトキシンB1、B2、G1、G2の合計)
調理前のアーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツおよびピスタチオ 15μg/kg
調理前のピーナッツ、アーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツおよびピスタチオから製造された食品 15μg/kg
香辛料 15μg/kg
その他の食品 10μg/kg
メラミン 生後12カ月以下の乳幼児による摂取を前提とした乳児用調整液体乳および液体フォローアップミルク 0.15mg/kg
上記以外の乳 1mg/kg
生後36カ月以下の乳幼児による摂取を前提としたその他の食品 1mg/kg
妊婦および授乳中の女性による摂取を前提としたすべての食品 1mg/kg
その他のすべての食品 2.5mg/kg

さらに、水素添加油脂の使用については、部分的禁止や原材料表示などの新たな規則が設けられ、改正後の規則は2023年12月1日から施行されます。関連リンクなどを参照のうえ、確認してください。

関連リンク

関係省庁
香港食品安全センター(CFS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
香港特別行政区基本法「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」〔Cap.132V Food Adulteration (Metallic Contamination)(Amendment) Regulations2018〕(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(355KB)(ジェトロ仮訳)
香港特別行政区基本法「食品有害物質規則」(Cap.132AF Harmful Substances in Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)
香港特別行政区基本法「2021年食品有害物質(改正)規則」(Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(224KB)(ジェトロ仮訳)
その他参考情報
香港食品安全センター「食品微生物含有量ガイドライン」(Microbiological Guidelines for Food)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
農林水産省「個別危害要因への対応(健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港食品安全センター「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則ガイドライン(Food Adulteration (Metallic Contamination) (Amendment) Regulation 2018)(英語)PDFファイル(1.1MB)(ジェトロ仮訳)
香港特別行政区基本法「2021年食品有害物質(改正)規則ガイドライン」(Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(613KB)(ジェトロ仮訳)
ジェトロ「ビジネス短信「香港の食品安全規則、立法会で改正」」

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

香港では着色料・甘味料・食品保存料に関する規則があります。
着色料に関しては「食品着色料規則」(Cap.132H Colouring Matter in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている着色料を使用することができます。また、天然色素については、同規則には掲載されていませんが一部は使用が認められています。その他参考情報の「許可された着色料:天然色素」を参照してください。

甘味料に関しては「食品甘味料規則」(Cap.132U Sweeteners in Food Regulations)Scheduleに挙げられている甘味料を使用することができます。

食品保存料に関しては「食物中の保存料規則」(Cap.132BD Preservatives in Food Regulation)Schedule 1, No.6に挙げられている食品保存料を、規定量の範囲内で使用することができます。

それ以外の食品添加物については、その使用に特定の規則は定められていません。しかし、「公衆衛生および市政条例」第V部に従い、食品販売者は各自使用するものが安全で食用に適していることを確保しなければなりません。

鶏卵の輸入事業者は香港食品安全センター(CFS)にEメールで連絡を取り、当該食品に追加の規制が適用されていないか確認することが推奨されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

なし

6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

包装済みの卵および卵製品のラベル表示は、「食品および薬品(成分組成および表示)規則」〔Cap.132W Food And Drugs(Composition And Labelling)Regulations〕により規制されています。次の項目を英語または中国語、あるいは英語と中国語の併用で表示することが求められます。

なお、消費者への販売時点で開封口が密封(紐などで縛ることも含む)されていない容器に入れられている殻付きの鶏卵および温泉卵については、ラベル表示義務はありません。

  1. 食品名
  2. 原材料リスト (原材料、アレルギー性物質、添加物を含む)
    • 原材料:重量または容量の多い順に表示する。ただし、単一の原料で構成されているものについては不要
    • アレルギー性物質:グルテンを含む穀物、甲殻類および甲殻類製品、卵および卵製品、魚および魚製品、ピーナッツ・大豆およびそれらの製品、乳および乳製品(乳糖を含む)、木の実とナッツ製品、10ppm以上の亜硫酸塩
    • 添加物:コーデックス委員会(CODEX)による国際番号システム(INS)に基づく(a)機能分類および(b)名称または識別番号または「E」もしくは「e」から始まる識別番号
  3. 賞味期限または消費期限
    • 賞味期限(“best before”)および消費期限(“use by”)は、アラビア数字、または英語または中国語で表示する必要がある
      例: Best before: 1 Oct 2016(英語)、此日期前最佳: 2016年10月1日(中国語)
  4. 保管に対する特別な条件、または使用上の注意に関する説明
  5. 製造業者または包装業者の名前と住所
    ただし、次の条件が満たされる場合には、表示義務が免除されます。
    1. 次の(i)~(iii)の情報が印字またはラベル表記されている場合
      1. 原産国
      2. 香港における販売業者や商標所有者の名称
      3. 香港における販売業者や商標所有者の登記済み事務所または本社の所在地
    2. 香港における販売業者や商標所有者により、原産国における食品製造業者や包装業者の正式所在地が書面で当局に通知されている場合
    3. 次の(i)および(ii)を満たす場合
      1. 原産国のラベル表記に加え、当該国での製造業者または包装業者を特定するコードが表示されている
      2. コードおよびコードに紐づけられた製造業者や包装業者の詳細が、当該製造業者または包装業者、あるいは香港における販売業者または商標所有者により、書面で当局に通知されている
    4. 食品の製造工場または包装工場その他の場所が、原産国の政府により所有、操業、または経営されており、当該食品が当該政府の製品であることを示す方式で印字またはラベル表記されている場合
  6. 数量、重量または容量
    1. 包装済み食品は、内容物の数量、または食品の正味重量や正味体積を明確に表記またはラベル付けする必要がある
    2. 味重量および正味体積は、実行可能な限り、「度量衡条例」 (Cap. 68) または「メートル法条例」(Cap. 214)の第1附則に規定される国際単位基準に従って表示するものとする(ただし、許容誤差については規定なし)
  7. 栄養成分(必須項目:エネルギー、タンパク質、炭水化物、総脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウム、糖。免除項目は表示規則の付表6を参照)
    ※ただし、生鮮および包装食品でほかの成分が添加されていないものについては、栄養表示は不要(付表6-10)。

また、ビジネス上支障が生じるなどの事情がある場合には、ラベル表示に製造業者もしくは包装業者の代わりに、現地の卸業者(ディストリビューター)の情報記載をすることも可能です。詳しい手続きについては、関連リンク「加工食品表示ラベルに卸業者の記載が可能に」などを参照のうえ、確認してください。

なお、卵のサイズ表示に関する規制や業界基準はありません。このため、香港における輸入品については、基本的に輸出国側での表記を踏襲する形で問題ありません。

7. その他

調査時点:2022年7月

食品安全・衛生規制
食品や農水産物で問題や事故が起きた際に、その流通経路をさかのぼって追跡・確認できるようにするため、「食物安全条例」(Cap.612 Food Safety Ordinance)では食品輸入業や食品卸売業を行うすべての事業者に対し、香港食物環境衛生署(FEHD)への登録が義務付けられています。ただし、FEHDで香港ホーカー(屋台)のライセンスを取得済み、FEHDに食品輸入業者として登録されているなどの場合、卸売業者の登録は免除されます。
また、洗卵および高病原性鳥インフルエンザウイルスの不活化処理に関してのOIE規約については、厚生労働省「香港向け殻付き鶏卵および卵製品に適用される基準」を参照してください。