開発途上国ビジネス支援 エジプト 繊維産業近代化支援事業(2016年)

目的と背景

日本からの繊維機械の輸出促進と人材育成を組み合わせてエジプトにおける繊維産業近代化を支援するとともに、繊維産品の対日輸出・開発輸入促進支援も行うことで繊維産業の再活性化を目指し、柱(1)と柱(2)の二方面から事業を実施した。柱(1)では、日本から縫製分野の専門家を派遣してエジプトにおける繊維関連製品生産企業に対する生産管理技術指導を実施した。柱(2)では、日本のファッション業界に精通する専門家のエジプト訪問をアレンジ(注)し、エジプト企業に対し対日輸出に向けたアドバイスを行った。

(注)繊維製品を扱うエジプト企業の有志が専門家招へいに関わる費用を負担

2016年度 事業内容

柱(1):日本の繊維機械(とりわけ縫製)輸出と人材育成を通じたエジプト繊維産業近代化

専門家派遣(計2回)

派遣専門家を講師とするエジプト縫製業界向け生産管理のワークショップを実施。ワークショップでは受講者から活発な質問が寄せられ、縫製工場の生産ライン管理者向けたインダストリアル・エンジニアリング(IE)手法による生産ラインの現状把握の各分析法および生産ラインの設計法などを学びあう場となった。

専門家の講義を聴き入る受講者

講義内容を実践的に学ぶ受講者

セミナー開催

縫製分野における生産性の向上に資するため、日本メーカー担当者による最新の日本製縫製機械の紹介、日本製縫製機械のリース事業や縫製機械導入を支援するエジプト国立銀行(NBE)のサービスの紹介が行われた。このほか、ワークショップで連携した生産性・品質向上センター(通称カイゼンセンター)からもアドバイスが寄せられた。

貿易産業省会議室で開催されたセミナー

柱(2):エジプト繊維産品等の日本市場開拓

日本のファッション業界に精通する専門家のエジプト訪問をアレンジした。専門家からは、繊維製品(雑貨、インテリア製品等)を扱うエジプト企業の各社に対し、日本市場に売り込むための効果的なPR方法や売り込み先(展示会、小売店舗)に関するアドバイスが寄せられた。

専門家がエジプト企業のショールームを訪問

2016年度までの事業経緯

  • 2014年
    エジプト繊維産業に関する調査実施
  • 2015年
    専門家派遣による繊維産業に関する実態調査実施

成果と課題

柱(1)に関しては、ワークショップや他社工場見学を通して刺激を受け、改善の意欲がわいたとの報告が寄せられたほか、受講者が工程分析や時間測定などのトライアルを行うなど、自社工場の生産性・品質向上に向けた自発的な取り組みが広がっており、エジプト貿易産業省からも事業に対し謝意が寄せられた。一方で、無駄の排除、生産効率の理解などでは十分理解されていないと感じる点もあり、今後に期待したい。今回のIE手法の研修に加えて、5S、品質管理といった知識・実践への支援も求められる。
柱(2)に関しては、エジプト繊維製品の日本市場への売り込みに向けて、展示会への出展や小売店舗での試験販売など次のステップに期待がかかる。