ジェトロ対日投資報告2019(要約)1. 対日直接投資の現状
対日直接投資フローは2年連続の2兆円超で、2016年に次いで過去2番目の規模
- 2018年の対日直接投資フロー(国際収支ベース、ネット)は2.9兆円で、2016年についで過去2番の規模となった。
 - 地域別では、欧州から8,049億円(前年比30.4%増)、北米から6,681億円(同4.0%減)、アジアから5,522億円(同11.9%減)の流入超過。
 
地域別対日直接投資フロー(ネット)の推移(単位:億円)
| 国・地域 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 
                        2019年 1~8月 (P)  | 
                
|---|---|---|---|---|
| アジア | 9,496 | 6,268 | 5,522 | 4,854 | 
                         中国
                     | 
                    △ 111 | 1,101 | 886 | 987 | 
                         香港
                     | 
                    1,614 | △ 379 | 864 | 1,310 | 
                         台湾
                     | 
                    2,585 | 952 | 435 | 495 | 
                         韓国
                     | 
                    666 | 1,272 | 2,158 | 515 | 
                         ASEAN
                     | 
                    4,752 | 3,314 | 1,169 | 1,544 | 
                         シンガポール
                     | 
                    4,039 | 3,588 | △ 327 | 801 | 
                         タイ
                     | 
                    712 | △ 501 | 1,318 | 503 | 
| 北米 | 7,506 | 6,959 | 6,681 | 6,311 | 
                         米国
                     | 
                    7,477 | 7,016 | 6,619 | 5,802 | 
| 中南米 | 1,709 | 3,129 | 4,782 | 3,553 | 
| 大洋州 | 869 | 274 | 2,104 | 1,042 | 
| 欧州 | 25,076 | 6,172 | 8,049 | 13,284 | 
                         EU
                     | 
                    24,114 | 4,569 | 7,368 | 12,681 | 
| 世界 | 44,915 | 22,963 | 28,590 | 29,811 | 
2018年以降の主な対日M&A案件(-はデータなし)
| 
                        実施年月 (完了日 ベース)  | 
                    被買収企業 | 
                        被買収企業 業種  | 
                    買収企業 | 
                        買収企業 国籍  | 
                    
                        買収企業 業種  | 
                    
                        金額 (億円)  | 
                
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018年6月 | 東芝メモリ | 電気・電子機器 | ベインキャピタル(米)、SK ハイニックス(韓)ほか | — | 投資家グループ | 20,003 | 
| 2018年4月 | タカタ | 輸送機械 | ジョイソン・エレクトロニクス | 中国 | 輸送機械 | 1,750 | 
| 2018年3月 | アサツーディ・ケイ | 広告代理業 | ベインキャピタル | 米国 | 投資会社 | 1,523 | 
| 2018年4月 | シーズ・ホールディングス | 化粧品 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 米国 | ヘルスケア | 1,496 | 
| 2019年3月 | クラリオン | 電気・電子機器 | フォルシア | フランス | 輸送機械 | 1,409 | 
| 2019年6月 | ゴディバ(アジア太平洋事業) | 食品 | MBKパートナーズ | 韓国 | 投資会社 | 1,109 | 
| 2019年1月 | ESRが所有する物流拠点6カ所 | 不動産 | アクサ(仏)ほか | — | 投資家グループ | 1,087 | 
| 2019年3月 | パイオニア(1) | 電気・電子機器 | ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア | 香港 | 投資会社 | 1,020 | 
対日直接投資残高は30兆円の大台へ
- 2018年末の対日直接投資残高は30.7兆円で5年連続で過去最高を更新し、30兆円を突破した。
 - 同時点での残高を地域別に見ると約半分(49.5%)は欧州からの投資である。
 - 国別では、米国の残高が6.5兆円で、引き続き最大であった。
 
対日直接投資残高の推移と対GDP(名目)比
 
            地域別対日直接投資残高の割合(2018年末時点)
              国・地域別対日直接投資残高 上位10カ国・地域(2018年末時点)
| 順位 | 国・地域 | 残高(億円) | 構成比(%) | 
|---|---|---|---|
| 1 | 米国 | 65,294 | 21.3 | 
| 2 | オランダ | 46,255 | 15.1 | 
| 3 | フランス | 37,614 | 12.2 | 
| 4 | シンガポール | 26,376 | 8.6 | 
| 5 | 英国 | 26,056 | 8.5 | 
| 6 | ケイマン諸島 | 16,734 | 5.4 | 
| 7 | スイス | 14,582 | 4.7 | 
| 8 | ドイツ | 10,945 | 3.6 | 
| 9 | 香港 | 10,122 | 3.3 | 
| 10 | ルクセンブルク | 8,369 | 2.7 | 
イノベーションをとおして、地域・日本の課題をビジネスチャンスに
- 日本の各地域の課題や特徴に、研究開発や新たな技術・サービス実証の機会を見出し、積極的に地元企業・団体との連携を図る事例がみられる。
 
地域の課題×外資系企業の取り組み
| 場所 | 課題 | 進出外資系企業 | 特徴 | 主な取り組み・ビジネス展開 | 
|---|---|---|---|---|
| 福島県会津若松市 | 
                        震災復興 過疎化  | 
                    
                        アクセンチュア SAPジャパン 日本マイクロソフト など  | 
                    
                        実証実験に適した環境 (市街地と過疎地が混在) (市民情報がオープンデータ化)  | 
                    
                        
  | 
                
| 宮城県仙台市 | 
                        少子高齢化 医療従事者の不足 医療費の高騰  | 
                    
                        フィリップス・ジャパン など  | 
                    医療関連の研究開発 | 
                        
  | 
                
日本の課題×外資系スタートアップの取り組み
| 外資系企業 | 事業内容 | 課題 | 連携先企業・団体 | 日本での主な取り組み・ビジネス展開 | 
|---|---|---|---|---|
| スタンダード・コグニション | 小売店舗の会計レジを不要とする決済システムの提供 | 人手不足 | PALTAC | 宮城県内のドラッグストアにて実証実験開始予定。 | 
| ワン・コンサーン | AIを活用した自然災害の被害予測システム開発 | 防災・減災 | 損害保険ジャパン日本興亜およびウェザーニューズ | 熊本市で、AIを活用した防災・減災システムの実証実験開始。2019年9月以降順次、洪水や地震の被害予測システムの試験運用を開始予定。 | 
| ストリートスクーター | 電気自動車(EV)製造 | 
                        働き方改革 人手不足 環境負荷低減  | 
                    ヤマト運輸 | 日本初の宅配用小型EVトラックを共同開発。ヤマト運輸は2019年度中に500台導入することを発表。 | 
| ウィンド・モビリティ | シェア電動スクーターのサービス提供 | 公共交通機関と目的地間のラストワンマイル | 埼玉高速鉄道 | さいたま市および川口市においてシェア電動スクーターのサービス提供。 | 
外資によるエコシステム形成は多様化へ
- 日本のスタートアップ・エコシステム形成に参画する外資系企業の中には、進出地域の特徴を活かしたスタートアップ関連のプログラムに加え、オープンイノベーションのためのプログラムや、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の設立などの投資事例がみられる。
 
外資系アクセラレーターの進出事例
| 外資系企業 | 進出先 | 進出先の利点 | 該当アクセラレータープログラムの特徴 | 
|---|---|---|---|
| 
                        レインメーキング イノベーション  | 
                    
                        大阪府 大阪市  | 
                    
                        市場規模 コストの低さ (東京との比較)  | 
                    世界21都市でスタートアップ支援プログラム「Startupbootcamp」を開催。開催都市ごとに特定の産業を設定し、その分野で有望なスタートアップを世界中から募る。大阪市では「Smart City & Living(次世代都市と未来の暮らし)」をテーマとする。 | 
| プラグアンドプレイ | 
                        京都府 京都市  | 
                    同市に立地する大学を中心とした起業環境 | 2017年に日本進出以降、様々なスタートアップを支援。京都市では、「ハードテック/ヘルスケア」分野に特化した支援を行う。 | 
| インパクテック | 東京都 | — | テクノロジーを用いて社会課題に取り組むスタートアップに特化して支援を行う。支援事業にはロボット・電気自動車用のワイヤレス充電サービス、子供を持つ親向けのオンライン医療相談サービスなどが含まれる。 | 
外資系オープンイノベーションプラグラム・CVCなどの進出事例
| オープンイノベーションプログラム・CVC | 出資元外資系企業 | 主な取り組み・投資 | 
|---|---|---|
| 
                        G4A Tokyo Dealmaker CoLaborator Kobe  | 
                    バイエル薬品 | 
                        
  | 
                
| Phillips HealthWorks | フィリップス | 
                        
  | 
                
| 
                        サムスンベンチャー・ インベストメントコーポレーション  | 
                    サムスングループ | 
                        
  | 
                
| Cisco Innovation Hub | シスコシステムズ | 
                        
  | 
                
| Google for Startups Campus | アルファベット | 
                        
  | 
                
| Japan Trailblazer Fund | セールスフォース・ドットコム | 
                        
  | 
                
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