若潮酒造株式会社
「海外SNSプロモーションは難しい」を乗り越える。若潮酒造がJAPAN MALLと海外バイヤーの連携で実現した認知拡大から購買までの仕組みづくり
- 企業紹介
- 昭和43年創業の鹿児島県志布志市にある焼酎蔵元。長年にわたり地域に愛される定番商品の本格焼酎を製造する一方で、新たな焼酎ブランドを立ち上げ、焼酎の新しい価値創造に挑戦している。フルーティーな味わいと洗練されたデザインを融合させ、味覚と視覚の両方から楽しめる商品開発を展開。国内市場はもちろん、海外市場への販路拡大も訴求し、焼酎のさらなる可能性を追求している。
取締役 上村氏
飲み手を増やす、新商品開発の工夫と海外販路の拡大へ
日本国内の焼酎市場において、飲み手の減少による市場縮小を見据え、2005年から海外販路の開拓に取り組んできました。しかし、海外市場では日本酒に比べて焼酎の認知度がまだ低く、その魅力や飲み方を一から伝えていく必要がありました。
まずは現地在住の日本人への販売をしながら、少しずつ販路を拡大。2005年からコロナ禍前の2020年まで輸出は安定的に推移していたものの、大きな成長には至りませんでした。海外市場では、海外市場では輸送費や関税、流通コストの影響により販売価格が国内の2~3倍になるケースも少なくありません。そのため、新規顧客にまず手に取ってもらうまでのハードルが高く、認知拡大と価値訴求が大きな課題でした。
一方で、国内市場においても新たな顧客層の開拓を進めています。焼酎に馴染のなかった女性や若年層にもその魅力を伝えるため、従来の焼酎のイメージを覆す新商品開発に注力。ラベルデザインから味わいまで見直し、フルーティーで親しみやすい商品づくりを進めてきました。幅広い消費者に受け入れられる焼酎を目指し、「焼酎を変える」のではなく、「焼酎の可能性を広げる」チャレンジを続けています。
2018年から多彩な香り焼酎GLOWシリーズを発売開始。毎年テーマを設定し、その年だけの商品として限定販売。2022年発売の「GLOW EP05」は、「酒屋が選ぶ焼酎大賞」を3年連続で受賞し、殿堂入りを果たしました。国内で高い評価を得ただけでなく、海外のバイヤーからも好評を博し、現地で新たな焼酎ファンの獲得に繋がっています。
蔵元
JAPAN MALL事業への参加で、海外向けSNSプロモーションを実施
2025年度、中国の焼酎専門バイヤーであるソンフージャパン社を通じて「GLOW EP05」を含む計4商品を初めて中国市場へ輸入しました。
現地での認知向上を図るため、JAPAN MALL事業に参画しました。中国市場に精通した同バイヤーと連携し、中国の主要SNSを活用したプロモーションを実施。現地消費者への商品訴求と越境ECでの販売を同時に展開することで、認知拡大から購買までを一貫して進めました。
販促施策として、現地SNSを活用し、ライフスタイルやグルメ・酒類分野で影響力のあるKOL・KOC(注1)を起用しました。種まき投稿やライブコマースの実施に加え、現地グルメと焼酎のペアリング動画を配信し、商品の認知度向上を図りました。また、焼酎に関する豆知識や現地の消費習慣に合わせた飲み方の提案など、消費者目線に立った情報発信も行われました。
海外向けのSNSマーケティングは言語や文化の違いもあり、自社単独で取り組むにはハードルの高い施策です。そこで、個社別プロモーション費用を一部負担してもらえる有料オプションにも参加し、商品に特化したプロモーションを展開しました。中国の旧正月前の需要期に合わせて、新年の祝いの場面に適したショート動画を制作し、ターゲット層が多く利用するSNSで配信しました。商品画像からプロモーション素材は現地消費者の視点を意識して制作され、購買行動につながる訴求を実現しました。
無料・有料プロモーションの結果、中国市場向けのリピートオーダーは3回以上に達し、「GLOW EP05」は現地EC上で品切れになるなど、高い反響をえました。SNSによる認知拡大が実際の購買行動につながる成果を確認できました。
SNS投稿(現地料理とペアリング動画)
種まき投稿(現地料理とペアリング)
中国市場向けに再作成した商品画像 (現地EC販売ページ)
KOLによるライブコマース予告動画
認知拡大から商品定着へ
海外市場では、「焼酎」はまだ新しいカテゴリーであり、まずは商品の認知を広げる段階です。「飲んでみたい」「買ってみたい」と思っていただくことから、その先にある、現地のお客様の日常に溶け込み、継続的に選ばれる商品となるまでには、まだ時間がかかると考えています。
JAPAN MALL事業への参加を通じて、海外のお客様の声を直接把握する機会が増えました。こうした貴重な声を今後の販促活動だけでなく、商品開発にも生かしていきたいと考えています。
現在、海外売上は全社売上の一部にとどまっていますが、将来的には現在の4倍規模への拡大を目標としています。
まずは販売が伸長しているアジア市場を中心に、さらなる販路拡大と認知向上に取り組んでいきます。
(注1)
KOLは特定の分野や業界で強い影響力を持つインフルエンサーのこと。
KOCは一般消費者目線で信頼される影響力を持つ消費者インフルエンサーのこと。
ジェトロ担当者からの一言コメント
若潮酒造株式会社は2026年度のJAPAN MALL事業にも継続参加されています。前年度の取り組みを通じて現地バイヤーとの関係構築が進み、好評だった商品の追加発注だけでなく、新商品の提案機会も生まれました。単発のプロモーションで終わらず、継続的な商流形成につながっている点が本事例の特徴です。
同社は単なる商品の輸出にとどまらず、「焼酎」という日本独自の酒文化そのものを海外へ広めようとされています。海外市場で得られた消費者の声を商品開発や販促活動に生かしながら、継続的な輸出拡大に取り組む姿勢が印象的でした。
海外では、日本国内とは異なる消費者層や価値観に触れることができるため、これまでにない視点で市場からの反応を得られる可能性があります。海外から得られたフィードバックを新たな商品開発や販路開拓につなげることで、 好循環を生み出そうとされています。今後もJAPAN MALL事業をはじめ、ジェトロの各種サービスをご活用いただきながら、さらなる海外展開をサポートさせていただきます。
若潮酒造株式会社
鹿児島県志布志市志布志町
https://wakashio.com/ ![]()
設立年:1968年8月
従業員:35名
事業内容:本格焼酎、スピリッツ、リキュールの製造販売
展開地域:シンガポール・台湾・タイ・アメリカ・メキシコ・オーストラリア・ドイツ・オランダ・フランス・韓国・香港・中国本土
2026年9月





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