鹿児島県産酒類の試飲イベントを通じ、インバウンド客のEC購入を実現

(日本、中国)

鹿児島発

2025年10月22日

ジェトロは、鹿児島県上海事務所、鹿児島空港ビルディング、中国東方航空鹿児島支店と連携して、7~10月の期間に計8回にわたり、鹿児島空港の出国手続き後のスペースで、帰国前の中国人インバウンド客に対し、焼酎や日本酒、ウイスキーなどの県産酒類をプロモーションする体験型イベントを実施した。鹿児島県内の酒蔵5社(濵田酒造、薩摩酒造、大口酒造、若潮酒造、西酒造)出展し、各社の担当者が商品説明と試飲を提供した。

今回、出品した商品は、すでに中国に販路があるものに限定した。これによって、イベントに訪れたインバウンド客が商品を気に入った場合は、中国のEC(電子商取引)サイトでも購入できる仕組みだ。イベント会期中、合計で約400人が試飲し、その約5%が中国ECサイトを通じて焼酎や日本酒などを購入した。

インバウンド客からは、焼酎について、鹿児島旅行中を含めて飲んだことがないという声も一定数聞かれた。ソーダ割やカクテルなどの飲み方で試飲を提供したところ、特にフレーバー焼酎のフルーティーな香りが好評だった。参加した酒蔵の担当者からは、空港の帰国便搭乗待ちのスペースでの試飲イベントの有効性について、「帰国前にお土産を買う方が多いため、他の展示会などに比べ購買意欲が非常に高い」とのコメントがあった。また、イベント実施前後でのインバウンド客に対する認識の変化については、「商品のシェア拡大やリピート購入につなげるため、インバウンド客への啓蒙(けいもう)や、帰国後も継続購入できるような現地商流の構築など、インバウンド客向けの活動の重要性を実感した」という意見があった。

2025年9月の訪日外客数(JNTO推計値)は、326万6,800人(前年同月比13.7%増)で、9月として過去最高を更新するとともに、過去最速で1月からの累計が3,000万人を突破した。9月の中国からの訪日外客数は77万5,500人(18.9%増)で、韓国、台湾、香港を含めた東アジア諸国・地域で最多かつ最大の伸び率だった。ジェトロは、インバウンド客へのマーケティングから輸出につなげる方法の1つとして、香川・高松空港での取り組み(2025年9月5日記事参照)や鹿児島空港での本取り組みに続き、インバウンド客への最後のタッチポイントとなる空港などでマーケティングを実施していく予定だ。

写真 試飲イベントで中国人インバウンド客に焼酎をふるまう鹿児島県企業(ジェトロ撮影)

試飲イベントで中国人インバウンド客に焼酎をふるまう鹿児島県企業(ジェトロ撮影)

写真 鹿児島空港の帰国便搭乗待ちのスペースに設置したブースの様子(ジェトロ撮影)

鹿児島空港の帰国便搭乗待ちのスペースに設置したブースの様子(ジェトロ撮影)

(田中佳恵)

(日本、中国)

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