インフレ率は食品セクターはじめ上昇、3月は9.33%を記録

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年04月19日

バングラデシュ統計局(BBS)は3月の消費者物価指数(CPI)上昇率を9.33%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

同国では2022年6月以降、インフレ率の高止まりが続いていたが(2023年3月27日記事参照)、国・産業全体では2013/2014年度(2013年7月~2014年6月)以降、最も高い上昇率だった2022年8月(9.52%)に次ぐ水準となった。今回の発表によると、食品セクターのインフレ率の上昇幅が大きかった。特に都市部では前月比で1.16ポイント増と増加傾向がみられたことで、前月発表(8.78%)から国・産業全体のCPI上昇率は0.55ポイント増加した。

商務省(MoC)傘下のバングラデシュ貿易公社(TCB)の発表では、ジャガイモ(1キログラム)の市場価格(4月11日時点)は25~30タカ(約32~38円、1タカ=約1.26円)と、前月(3月11日時点)から37.5%値上がり(前年比52.8%上昇)した。同様にタマネギは40~45タカで前月から21.4%値上がりし(前年比41.7%上昇)、食生活に欠かせない食材の一部に価格上昇の傾向が依然として強くみられる。また、イフタル(断食明けに取る初めての食事)に欠かせない輸入食材の1つで、価格上昇が懸念されていたデーツは前月比で微増した。他方、鶏肉(前月比18.4%減)や砂糖(前月比4.3%減)など、その他の品目では一服感がみられる(添付資料表参照)。

IMFが4月に発表した「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2023年4月13日記事参照)は、バングラデシュの2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)のインフレ率(年間平均)を8.6%と予測しており、同調査の前回(2022年10月)発表の9.1%から下方修正されたものの、2023年のアジアの新興・途上国の年間の平均値予測(3.4%)との比較でも、依然として高い数値となっている。

また、輸入品の物価に影響する通貨タカの対ドル為替レートは、2022年6月から現状の水準(1ドル=約107タカ)まで上昇した2023年2月までの9カ月間に、約13%切り下がったものの、それ以降大幅な変化はみられない。他方、中央銀行レートと市中の実勢レートには差があり、実勢レートがタカの実質的な価値水準を示していることや、実勢レートを基準としたCPI算出の必要性が報じられている(「フィナンシャル・エクスプレス」紙3月24日)。世界銀行は市場の需給に応じた変動相場制への完全移行が必要と指摘し(2023年4月12日記事参照)、また、輸入(L/C決済)の抑制措置(2022年7月19日記事参照)により、当地での生産活動に必要な原材料の輸入・供給が減少し続けていることからも、インフレ圧力が今後さらに強まる懸念もあり(「フィナンシャル・エクスプレス」紙4月5日)、引き続き動向を注視する必要がある。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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