ラトビアの2014年からのユーロ導入を正式に決定
ブリュッセル事務所
2013年07月11日
EU経済・財務相(ECOFIN)理事会は、ラトビアのユーロ導入を正式に決定した。為替レートを1ユーロ=0.702804ラトビア・ラッツに設定し、2014年1月からの導入に向けて、約半年かけて準備を進めることになった。
<ユーロ圏が18ヵ国に拡大>
ECOFIN理事会は7月9日、ラトビアが2014年1月からユーロを導入することを正式に決定(PDF)した。今回の決定により、ユーロ圏は2014年から18ヵ国に拡大する。ユーロ導入国が増加するのは、2011年に導入したエストニア以来。
ラトビアはこれから約6ヵ月の間に、ユーロへの切り替え準備を行う。同理事会はまた、1ユーロに対するラトビア・ラッツの為替レートを0.702804に設定することも決めた。
欧州委員会は6月5日、ラトビアがユーロ導入基準を満たしていることを認定し、2014年1月からのユーロ導入を勧告(2013年6月14日記事参照)。続く6月21日のECOFIN理事会で、ユーロ導入国は欧州委の勧告を採択していた。さらに、欧州委や欧州中央銀行(ECB)の報告書を踏まえて、6月27〜28日に開催された欧州理事会(EU首脳会議)で、ラトビアがユーロ導入条件を満たしていることを承認していた(2013年7月1日記事参照)。
なお、欧州委やECBの報告書では、ラトビアの法制がEU基本条約の規定やECBのシステムに整合しているかどうかを検証し、物価安定や政府予算、為替の安定、長期金利といった収れん基準や、そのほかの要素についての進捗を確認していた。
さらに、欧州議会が7月3日、ECBが7月5日に、ラトビアのユーロ導入について、好意的な意見を表明していた。
また、ユーロ硬貨のデザインについて、表面は共通となるが、裏面は各国が独自の図柄を選ぶことができる。7月9日の理事会後の記者会見で、EU議長国であるリトアニアの首相が、ラトビアのユーロ硬貨は裏面が「女神ミルダの肖像」となることを説明した。
<高くない国民のユーロ導入支持>
他方、欧州委が2004年以降のEU加盟国のうち、非ユーロ圏諸国に対して定期的に行っているアンケート調査によると、ユーロ導入を好意的に受け止めているラトビア国民の比率は2011年11月調査の44%をピークに、直近の2013年4月調査では40%まで低下している。ユーロ導入を否定的に捉える回答は直近調査で54%まで上昇しており、リーマン・ショック後の2009年5月の調査時に記録した55%に限りなく近づいている。景気低迷が続く欧州において、ユーロ導入を外国投資誘致の起爆剤としたい政府と、景気回復効果を見込めるのかどうか不安視する国民の意識との差がアンケート調査に表れているものとみられる。
(田中晋)
(ユーロ圏・ラトビア)
ビジネス短信 51de0e036e5a0