鉄鋼97品目の一般関税率15%を4度目の延長

(メキシコ)

メキシコ発

2017年10月25日

政府は10月17日、暫定措置として適用していた鉄鋼97品目の一般関税率15%について、さらに180日間延長すると発表した。延長措置は4度目となる。97品目の内容に変更はなく、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)の無関税品目リストについても同様だ。また、日本からの輸入については、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)の活用で引き続き無関税となる。

180日間の暫定措置、対象品目も変わらず

鉄鋼97品目の一般関税率は、2015年10月7日付の官報公示政令の第1条に基づき、2015年10月8日以降0%から15%に引き上げられた。同政令は180日間の時限措置だったが、2016年4月6日付官報で公示された政令の第1条に基づいて180日間延長され、以降同様に10月8日に再延長、2017年4月7日に3度目の延長が行われていた(2017年4月10日記事参照)。今回の延長についても、対象品目に変更はなく全てHS72類の鉄鋼となっており、期間についてもこれまでと同様に180日間の暫定措置としている。

対象の97品目を含む鋼材268品目の関税は、2015年5月7日以前は3%だったが、それ以降は無税となっていた。なお、97品目以外の鋼材の一般関税については0%で変更はないものの、原産国によってはアンチダンピング(AD)税の対象になっている。また、政令第2条により、PROSEC対象業種のうち、電気、電子、自動車(部品を含む)産業に登録されている企業であれば、対象10品目についてはPROSEC税率を適用して0%となる点も同様で、この対象品目についても変更はない(2015年10月14日記事参照)。

目的は世界的な供給過剰下での国内産業の保護

官報では度重なる延長の理由について、2017年の鉄鋼市場は緩やかな回復傾向にあるものの、現在の需要伸長程度では世界的な鉄鋼の供給過剰を解消するに至っていないとし、引き続き国内の鉄鋼産業を保護していくためとしている。今回の延長が公示される直前には、メキシコ鉄鋼連盟(CANACERO)のフアン・アントニオ・ルブレン会長が「鉄鋼97品目の一般関税率15%が今後も維持されることを期待している」(「レフォルマ」紙10月16日)と述べており、国内鉄鋼産業界の声を尊重したかたちだ。なお、メキシコの鉄鋼市場は粗鋼換算消費量が粗鋼生産量を上回っており、国内消費の不足分を輸入で補う構造となっている(図参照)。

図 メキシコの粗鋼生産量と粗鋼換算消費量

日本製の鋼材(HS72類)を輸入する場合には、日墨EPAに基づく特恵関税の適用を行えば、PROSECを取得していない企業でも無関税で輸入が可能だ。

(岩田理)

(メキシコ)

ビジネス短信 2f2bc60d2307c1f1