香港金融管理局、銀行のAI活用促進に向けた新たな枠組みを発表

(香港、中国)

香港発

2026年11月06日

香港金融管理局(HKMA)は10月15日、銀行セクターにおける責任ある人工知能(AI)導入を支援するとともに、AIを活用した銀行エコシステムを育成するための新たな枠組み「ART」を発表した。ARTは、「説明責任(Accountability)」「強靭(きょうじん)性(Resilience)」「信頼(Trust)」の頭文字を取ったもの。

AIシステムがデータ、ツール、ワークフローへのアクセスを拡大し、自律性を高める中、同枠組みは、銀行が堅固なガバナンスと業務上の強靭性を維持しつつ、AIがもたらす機会を捉えられるよう支援することを目的とする。本枠組みの主な取り組みは次のとおり。

  • 「生成AIサンドボックス(実証実験)」第2期で得られた知見を踏まえて策定した、人工知能の責任ある導入に関する監督指針の公表
  • 香港サイバーポート・マネジメント・カンパニー(サイバーポート)、香港大学と連携しAI学習用データを共有するためのプラットフォームの構築
  • 「生成AIサンドボックス++」を通じたエージェント型AIのさらなる実証、エージェント型AIのガバナンスに向けた監督枠組みに関するディスカッションペーパーの策定(近日公表予定)

また、HKMAは10月15日と16日、サイバーポートと共催で「Finance + AIフォーラム」を開催した。調査対象となった案件の60%以上がエージェント型AIを扱っており、定義された境界や管理下における多段階タスクの自動計画や実行など、高度なAIへの業界の積極的な取り組みが示された。

HKMAの阮国恒(アーサー・ユエン)副総裁は「生成AIからエージェント型AIへの移行は、銀行業界のイノベーションが重要な新たなステージにあることを示している。「フィンテック(Fintech)2030」(2025年11月14日記事参照)の下、HKMAは本枠組みを導入しており、銀行が責任を持ってAIを開発し導入するための明確な基盤を提供することを目的としている。イノベーションと、明確な説明責任、強靭な経営モデル、効果的な人による管理と組み合わせることで、香港の金融システムへの信頼と安定性を維持しつつ、AIのメリットを十分に実現することができるであろう」と述べた。

(越川剛)

(香港、中国)

ビジネス短信 f21d28ac740f2564