香港金融管理局が「フィンテック2030」を発表
(香港)
香港発
2025年11月14日
香港金融管理局(HKMA)は11月3日、香港フィンテックウィーク2025(2025年11月14日記事参照)において、香港のフィンテック分野での発展を推進する先見的戦略「フィンテック2030」を発表した。余偉文(エディー・ユエ)HKMA総裁は基調講演において、香港を強靭(きょうじん)かつ回復力があり、将来を見据えたフィンテックハブとするビジョンとして「フィンテック2030」について説明した。「DART」と総称される4つの戦略的柱に焦点を当て、40以上の包括的施策を推進する。DARTは、(1)次世代データと決済インフラの構築、(2)新たな包括的「人工知能(AI)×認可機関」戦略(AI2戦略)、(3)ビジネス、テクノロジーおよび量子レジリエンスの強化、(4)金融のトークン化(注)で構成される。
フィンテック2030では、AIを活用することにより、透明性や説明責任を維持しながら銀行サービスへの近づきやすさ(アクセシビリティ)、応答性、カスタマイズ性を向上させ、信頼性の確保を目指す。また、金融資産を含む実物資産のトークン化を加速することにより、デジタル香港ドル、トークン化された預金、ステーブルコインを含む新たな形態のデジタル通貨による決済がブロックチェーン上で可能となるなどの効果が期待できるという。
余総裁は「官民セクター、そして国境を越えた連携の力はフィンテック2030への道のりにおいてさらなる成功の基盤を築いた。DART戦略の下、明確な目標とともに金融の未来を再構想しつつ、新たな章を開き、より持続可能で包摂的なフィンテックエコシステムに向けて限界点を押し高めるために、手を携えよう」と述べた。
(注)金融資産をブロックチェーン上においてデジタル形式で表章、または取引できるようにすること。銀行預金をトークン化する「預金トークン」、有価証券をトークン化する「セキュリティトークン」などがあり、取引処理コストや管理コストの軽減、金融商品の小口分散、決済期間の短縮、24時間取引が可能となるなどの効果がある。
(越川剛)
(香港)
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