欧州企業にも重いCBAM順守負担、一層の簡素化や域外事業者も含めた企業支援策の拡充を、産業界が報告書

(EU)

ブリュッセル発

2026年11月02日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は10月28日、2026年1月から本格適用が開始されたEU炭素国境調整メカニズム(CBAM、2026年9月18日付地域・分析サポート参照)について、EU域内事業者が直面する課題や解決策をまとめた報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。制度の複雑さや情報不足などにより、欧州企業の業務・財務面でのCBAM順守の負担は大きく、一層の簡素化や域外事業者も含めた企業支援策の拡充を欧州委員会に要請した。

報告書は、域外事業者から信頼できる実排出量データを入手することの難しさを指摘した。関連法令や指針が不明瞭または不十分との声も多く、域内事業者自身も制度への理解が十分ではない中、域外事業者から支援を求められるケースもある。このため、実排出量データの取得や検証への支援や、域内外事業者の理解促進に向け、より的を絞った指針の提供やウェビナーの開催などを提言した。

コストに関連し、CBAM証書の購入や第三国で支払われた炭素価格の控除を巡って不明瞭な点が残るほか、2027年以降は週次ベースでCBAM証書の価格が公表されるため、企業が将来のCBAMコストを予測できず、調達計画に影響が及んでいる。欧州委に対し、実施規則や指針の早期公表による予見可能性の向上が必要と指摘した。また、現行の報告要件などを維持しつつ、算定方法の簡素化、統一様式の導入、デジタルツールの整備、重複報告の削減や中小企業を対象にした支援策による負担軽減を要請した。

さらに、実排出量データの利用には第三者による検証が義務付けられているが、一部の域外国では特定製品分野で認定検証機関が不足しており、EU輸入事業者が競争上不利な立場に置かれる可能性がある。そこで、適用初期段階では、CBAMの実効性を損なわないことを前提に、検証完了前のデータの利用を認めるなど、柔軟な対応を求めた。

このほか、加盟国の税関システムとCBAM登録簿の連携不足や、一部加盟国で輸入データの取得が不可能であり、さらに返送品の再輸入時にもCBAM申告が必要な点にも懸念を示した。データの信頼性や互換性の向上、システム間での自動的なデータ連携、EU統一のデータモデルの採用といった対応が必要と述べた。また、提供データの信頼性やコストを基準に取引先を選定する動きが広がっており、多くの企業がサプライチェーンの混乱を予測している。CBAMは域内市場での公正な競争確保に寄与する一方、EU輸出企業については、同様の制度がない国・地域との競争で不利になる懸念があると指摘した。WTOルールに整合した恒久的な支援措置導入の必要性を強調した。

(滝澤祥子)

(EU)

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