2026年の成長率を小幅上方修正、AI投資が下支えも成長は偏り、IMF経済見通し

(世界)

調査部国際経済課

2026年10月14日

IMFは10月13日、最新の「世界経済見通し」(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。2026年の世界経済の成長率(実質GDP伸び率)を3.1%、2027年の成長率を3.4%と予測した(添付資料表1、2参照)。前回7月時点の予測(2026年7月10日記事参照)から、2026年は0.1ポイントの上方修正、2027年は据え置きとなった。中東紛争によるエネルギー供給の混乱が長期化し、貿易摩擦による緊張が続く中でも、企業による供給経路の見直しや堅調な人工知能(AI)関連投資に支えられ、2026年上半期の経済活動は予測されていた以上の底堅さを示した。今回の見通しは、ホルムズ海峡の通航が2027年3月に再開し、生産や海運、保険、決済などの機能が同年10月までに段階的におおむね紛争前の状況に戻るとの想定に基づく。

世界全体の成長率の改定は小幅だが、その内訳では成長の地域的な集中が強まっている。IMFによれば、世界経済成長への寄与率でみると、32カ国・地域で世界全体の経済成長の95%に寄与した。2026年4月時点では、54カ国・地域に分散していた。紛争による直接的影響が少なく、AI関連技術のバリューチェーンに深く組み込まれた国では、経済活動が維持・拡大している。一方、AI関連技術のバリューチェーンとのつながりが弱い国・地域や、エネルギーの輸入依存度が高い国・地域では、輸入コストの上昇や為替市場への圧力、実質所得の減少といった経済を下押しする要素が重なっている。低所得国や脆弱(ぜいじゃく)な国・地域の多くが後者に該当し、国家間の経済格差が拡大するリスクがあると指摘した。

主要国・地域別にみると、米国の2026年の成長率は2.3%で据え置かれた。堅調な民間消費、財政政策、緩和的な金融環境に加え、技術関連の企業投資などが経済活動を支える。ユーロ圏は1.1%と0.2ポイント、英国は1.3%と0.3ポイント、それぞれ上方修正された。もっとも、ユーロ圏ではエネルギー価格の上昇や消費者信頼感の弱さ、英国ではエネルギー価格と長期金利の上昇が引き続き重荷になるとした。

中国は4.5%で0.1ポイント下方修正された。輸出は堅調なものの、原油価格の上昇や不確実性の長期化、構造的な課題が経済活動を圧迫するとした。一方、インドは底堅い内需と堅調なサービス活動を背景に、7.0%と0.6ポイント上方修正された(注)。日本は0.7%と0.1ポイント上方修正されたが、2025年の1.2%から減速する見通し。

中東・中央アジアはマイナス0.3%と1.0ポイント下方修正された。2027年には、ホルムズ海峡の通航再開に伴う生産、輸出、物流の正常化と、前年の落ち込みから大幅に反発し、6.3%へ回復すると予測した。ただし、前回予測からは0.2ポイント下方修正された。

世界のインフレ率は、エネルギー価格と食料価格の上昇を主因として、2025年の4.1%から2026年に4.7%へ加速した後、2027年には4.1%まで低下すると予測した。前回予測と比べ、2026年は据え置き、2027年は0.2ポイントの上方修正となった。

経済の見通しに関連する各種リスクは、下振れ方向に作用している。IMFは、紛争の長期化・激化やサイバー脅威、異常気象、AI関連の収益性・生産性向上期待の見直し、金融市場のストレスと財政の脆弱性、貿易摩擦の再燃を主な下振れリスクに挙げた。これまでショックを吸収してきたエネルギー備蓄や財政余力は縮小していると警告し、目先の危機対応から経済基盤の再構築へ軸足を移す必要性を強調した。財政余力や供給面の強靱(きょうじん)性、潜在的な生産能力の向上を求めた。

(注)インドの成長率は年度ベース。2026年は2026年4月~2027年3月。

(馬場安里紗)

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