世界のベンチャー投資、クリエーティブ産業向けは0.4%、ASEANビジネス対話で資金不足やIP活用を議論
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)
ジャカルタ発
2026年10月02日
ASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)フィリピンとフィリピン貿易産業省(DTI)が9月17日にマニラ首都圏で共催したASEAN創造的(クリエーティブ)経済ビジネス対話(対話前半の概要は2026年10月2日記事参照)では、「価値の獲得:創造性の競争力への転換(Capturing Value: Transforming Creativity into Competitiveness)」と題したパネルディスカッションが行われた。ASEAN議長国フィリピンの企業を中心とする登壇者は、ASEANのクリエーティブ産業が生み出す経済的価値の規模に対し、知的財産(IP)価値を域内で十分に取り込めていない現状を指摘し、対応策として、(1)資金へのアクセス拡大、(2)ブランドとクリエーターの戦略的連携、(3)投資対象化・収益化などについて議論した。
世界最大級のスタートアップアクセラレーターのPlug and Play共同創業者のジョジョ・フローレス氏は、世界のベンチャー投資のうちクリエーティブ産業向けは0.4%にとどまるとの調査結果を紹介し、資金へのアクセスが限られていることはフィリピンに固有の課題ではなく世界共通のものと指摘した。同社は世界で年2万社のスタートアップを審査し、うち250社程度に投資するが、フィリピン発のスタートアップは年30~40社にとどまるとした。
フィリピン最大級の通信会社グローブ・テレコムのマスターブランド責任者、カルロ・ヒメネス氏は、クリエーティブ人材の不足は問題なのではなく、ブランドの価値観とクリエーターの目的意識を結び付ける戦略性の欠如が課題だと述べた。同社が韓国式の育成方式を取り入れて誕生したフィリピンの人気Pポップグループ「SB19」との提携を例に、ブランドとIPの一貫した連携によるブランド価値創出を説明した。
タレントエージェンシーBlack Star Entertainmentの社長でASEAN韓国音楽協会メンバーのジョン・ピント氏は、韓国由来の「ワンソース・マルチユース(注)」モデルを紹介し、楽曲・アーティスト・プラットフォームをスケーラブルなIPとして投資対象化する手法や、ブランドとの「ソニックブランディング」の商機に言及した。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(注)ワンソース・マルチユース(OSMU)は1つのIP(コンテンツ)を映画・ドラマ・音楽・グッズなどの複数媒体・形態に展開し、収益源を多角化する韓国発の戦略。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)
ビジネス短信 bb3619b5a7eacb7e





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