ASEANクリエーティブ経済に関するビジネス対話がフィリピンで開催、IP保護などに課題
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)
ジャカルタ発
2026年10月02日
ASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)フィリピンは9月17日、フィリピン貿易産業省(DTI)と共催で「ASEAN創造的(クリエーティブ)経済ビジネス対話」を、フィリピン・マニラ首都圏で初めて開催した。「想像力の対価(Return on Imagination)」をテーマに、ASEANのクリエーティブ経済における域内連携の強化策を議論した(注1)。開会あいさつでは、ASEAN-BAC議長のホセ・マリア(ジョーイ)・コンセプシオン3世氏が、大企業による中小企業支援の必要性と、メンターシップ・資金・市場アクセスの「3M(Mentorship・Money・Market)」による支援策を紹介した。
登壇したPwCフィリピンのメアリー・ジェイド・ロハス・ディビナグラシア氏は、同社の調査「ASEANクリエーティブ・アドバンテージ」によれば、ASEAN域内のクリエーティブ経済の規模は約3,000億ドル、雇用者数は約3,000万人、消費市場人口は約7億人に上ると紹介した。その上で、価値の創出・獲得・拡大の各段階で域内連携が課題とし、5分野での協力(注2)を提言した。
パネルディスカッションでは、アジア開発銀行研究所(ADBI)所長兼最高経営責任者(CEO)でインドネシア元財務相のバンバン・ブロジョネゴロ氏が登壇し、フィリピン、タイを除くASEAN主要国の経済状況はコロナ禍前の水準に回復したとし、製造業からサービス経済への移行とデジタル化を踏まえ、域内のクリエーティブ産業サプライチェーン構築の必要性を強調した。2024年に発表したアジア開発銀行(ADB)とNetflixによる共同報告書
では、デジタル創造産業の次世代市場としてインド、インドネシア、タイ、ベトナムを挙げた。人工知能(AI)分野では、データセンターや半導体、原材料(石英など)を軸とした域内サプライチェーン構築の必要性に言及した。
ASEAN事務局文化情報課長のジョナサン・タン氏は、2025年5月にASEAN首脳会議で採択された「ASEANクリエーティブ経済持続可能性枠組み
」の優先事項として、(1)エビデンス基盤の構築、(2)バリューチェーン全体での資金・市場アクセス改善、(3)人材・ネットワーク育成、の3点を挙げた。また、フィリピン統計庁の統計によると、同国の創造経済規模は2兆1,200億ペソ(約5兆3,000億円、1ペソ=約2.5円)(GDP比7.6%)、雇用者数は870万人に上るという。
AIの影響を巡っては、知的財産(IP)保護や創作者への公正な対価確保の重要性を指摘する声が上がった。
PwC・ディビナグラシア氏プレゼンの様子(ジェトロ撮影)
(注1)同対話の後半は2026年10月2日記事参照を参照。
(注2)5分野として、(1)エビデンス基盤の構築、(2)創造市場の接続、(3)クロスボーダーIPアクセスの簡素化、(4)域内能力・専門知識の移転、(5)資金と機会の接続を挙げた。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)
ビジネス短信 67993be5f51b2019





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