タイ政府、EV補助金の国内生産義務未達の事業者への対応方針を発表、数十億バーツを回収か
(タイ)
バンコク発
2026年10月15日
タイ政府は9月25日、電気自動車(EV)振興策の補助金を受けた事業者の、完成車(CBU)輸入分を埋め合わせる国内生産義務が未達となった場合の対応方針を発表
した。物品税局が事実関係を確認し、事業者ごとに個別に対応する。
対象は、EV振興策「EV3.0」の下で、2022~2023年にEV完成車の輸入を認められた事業者だ。同制度では、補助金などの支援を受けて輸入したEV完成車1台につき、2024年末までに国内で1台、期限を2025年末まで延長した場合は1.5台を生産する義務が課されている。補助金額は、希望小売価格200万バーツ(約940万円、1バーツ=約4.7円)以下の乗用車(定員10人以下)の場合、バッテリー容量30キロワット時(kWh)以上で1台15万バーツ、10kWh以上30kWh未満で7万バーツ、電動バイクは1台1万8,000バーツとなっている。
国内生産義務を果たせなかった事業者には、未達台数に応じた補助金の返還に加え、年7.5%の利息(単利)が課される。また、銀行保証を執行する可能性(保証銀行から補助金相当額を回収する)があるほか、物品税やその加算税、延滞税、罰金などが課される場合がある。一方、政府は、補助金は事業者に支払われて販売価格から差し引かれる仕組みのため、EVを購入した消費者には返還を求めないと強調した。
EV補助金の返還を巡っては、パオプム・ローチャナサクン財務副大臣(当時)が2025年7月、中国系メーカーのNETA(哪吒汽車)タイ法人について、2025年末までに、約1万9,000台分の国内生産義務を達成できない見通しを示し、物品税局が補助金の回収や罰則の適用を検討していると説明していた(2025年7月14日付「バンコク・ビズニュース」)。その後、物品税局は、EV3.0の対象となった複数の事業者から、補助金や罰金などを回収する必要があり、回収総額は数十億バーツ規模に上るという見通しを示していた(2026年7月31日付「イサラ通信」)。
タイの国家EV政策委員会(NEVPC)は2025年11月、国内生産目標が未達の事業者に対し、計画どおり生産するまで、補助金の支給を留保する措置などを決めていた(2025年12月4日記事参照)。政府は今回、EV産業や投資の支援を続ける一方、優遇措置の享受には、公的資金に対する責任が伴うと強調した。また、条件を順守した事業者には、所定の優遇措置が適用し、条件未達の事業者については、個別に事実確認を進めるとしている。
(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
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