タイ政府、EV振興策の条件改定を発表、過剰供給リスク回避へ輸出を促進

(タイ)

バンコク発

2025年12月04日

タイの国家電気自動車政策委員会(NEVPC)は11月25日、電気自動車(EV)の生産優遇策「EV3.0」と「EV3.5」に関する条件改定および新たな措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。エクニティ・ニティタンプラパス副首相兼財務相が委員長を務めた。既存の優遇策の効果を高め、供給過剰リスクに対応することがねらいだ。

主な変更点等は次のとおり。

  1. EV3.0の優遇策の対象として、タイ国内で生産されるEVの登録期限を2025年12月から2026年1月に延長する。EV3.5については、2027年12月から2028年1月へ延長する。
  2. タイ国内で生産し、2025年以降に輸出するEVについて、輸出1台をEV3.0とEV3.5の生産ノルマ上で1.5台として換算可能とする(2025年8月9日記事参照)。輸出台数とその証明書類の提出期限については、輸出を行った年の翌年の6月30日までとする。
  3. EV3.0の生産ノルマ達成の認定を柔軟にする観点から、EV3.0の参加企業がEV3.5の登録工場をEV3.0の登録工場として追加することを認める。
  4. (EV購入支援)補助金の支給条件を追加し、事業者が国内生産目標未達の場合、物品税局は、EVメーカーが計画通りに生産を実施できるまで、補助金の支給を留保する。
  5. フリーゾーンで生産するバッテリー式EVの国内販売に関する関税免除基準(2024年3月28日記事参照)について、輸入バッテリーセルを現地調達額に算入できる期限を、2025年末から2026年6月末まで延長する申請を受け付ける。ただし、2026年1月以降は、現地調達額に参入できる比率を、従来の「最大でEVの工場渡価格の15%」から10%に引き下げる。延長申請を行う事業者に対しては、国内調達計画の提出を求めるとともに、延長期間中はEV3.0およびEV3.5に基づく補助金の支給を停止する。
  6. ハイブリッド車(HEV)生産を支援する観点で、二酸化炭素(CO2)排出、国内生産部品の使用、先進運転支援システム(ADAS)搭載などを含むガイドラインと審査プロセスを工業省が策定する。
  7. 販売済かつ補助金未受領の輸入登録車を対象に、減免されていた物品税の差額と罰金を支払うことでEV3.0とEV3.5における生産義務から除外できる方策(Reverse Exit)を導入する。

(注)上記1.および2.は、2025年7月30日のNEVPCにて承認されている措置。

(ピンラウィー・シリサップ、野田芳美)

(タイ)

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