ASEAN経済相会合が声明発表、戦略的貿易管理の重要性を強調

(ASEAN、フィリピン)

ジャカルタ発

2026年10月15日

ASEAN事務局は9月19日、フィリピンのマニラで開催された第58回ASEAN経済相会合(AEM)の共同メディア声明を発表したPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。声明によると、ASEAN経済が2025年に4.9%成長し、2026年も4.5%の成長が見込まれる。世界全体の成長率見通し(3.0%)を大きく上回るとした。中東危機や世界的な地経学上の不確実性が高まるなかでも、製造業、輸出・投資、内需に支えられ、ASEAN経済は強靱(きょうじん)性を示しているとした。2025年の物品貿易額は13.7%増の4兆4,000億ドル、外国直接投資(FDI)流入額は10.1%増の2,457億ドルだった。サービス貿易は7.5%増の1兆4,000億ドル(前年は1兆3,000億ドル)となり、域内サービス貿易も約5.1%増加した。

議長国フィリピンが掲げる優先経済成果物(PED)のうち、貿易円滑化・経済安全保障分野では、戦略的貿易管理に関するASEAN首脳宣言とASEAN半導体ロードマップの進展に留意した。戦略的貿易管理が安全で強靱、信頼できる域内サプライチェーンの支えとして重要と強調し、今後のASEAN首脳会議での検討に期待を示した。

デジタル分野では、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の交渉妥結を歓迎し、11月の第49回ASEAN首脳会議(サミット)での署名に向けたコミットメントを再確認した。このほか、DEFAを補完するデジタル人材の越境移動に関するASEAN首脳宣言の進展を歓迎した。

物品貿易では、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の利用率が2024年の51.7%から2025年は62.7%に11ポイント上昇したとした(注1)。また、貿易円滑化措置の継続的な実施として、電子原産地証明書(e-Form D)の完全実施とASEAN全域の自己証明制度を挙げた。

税関分野では、ASEAN認定事業者(AEO)相互承認取り決め(AAMRA)が6月30日から、東ティモールを除く10加盟国で実施されていることを歓迎した。また、対話パートナーの税関当局との間でも、AEO相互承認の締結に向けた協議が進められているとした。ASEANシングルウィンドウ(ASW)では、ASW 2.0ロードマップがASEAN高級経済実務者会合(SEOM)とASEAN税関局長会合に承認されたことを歓迎し、日本、韓国、中国、香港を含む複数の外部パートナーとの協議開始にも留意した。

産業界との取り組みにおいては、ASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)がASEANの各分野別機関との政策関与を強化する取り組み(注2)を歓迎した。

(注1)2025年の利用率はマレーシアを除く9加盟国のデータに基づく。

(注2)サプライチェーン、デジタル経済、サステナビリティの3つの常設ワーキンググループの設置と、より体系的で、証拠に基づく、実行可能な政策提言の策定を支援する「ASEANビジネス・バロメーター2026」調査の開始を挙げた(2026年3月18日記事参照)。

(大滝泰史)

(ASEAN、フィリピン)

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