地場製造業の7割超が保護主義を懸念、「ASEANビジネス・バロメーター2026」

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)

ジャカルタ発

2026年03月18日

国際問題戦略研究所インドネシア、ジェトロなどは3月4日、ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)で、ASEAN企業を対象にしたアンケート調査「ASEANビジネス・バロメーター2026(注)」の結果を公表した。今回、同アンケート調査を3者が共同で実施するのは初めて。

公表された調査結果によると、ASEANの製造業の70%以上が保護主義の高まりに懸念を示していることが明らかになった。今後のビジネスの見通しでは、2025年の営業利益が2024年より「増加する」と回答した企業が48%を占め、今後1~2年以内に事業を拡大すると回答した企業は70.4%に達した。

最近の米国の関税政策について、「影響を受けている」と回答した企業は全体の39.7%で、製造業では64.4%にのぼった。影響を受けた企業のうち、「サプライチェーンや納期への支障」を挙げた企業が59.2%で最も多く、「顧客からの値下げ要求(57.3%)」、「事業活動の計画立案を困難にする不透明さの増大(57.3%)」が続いた。

製造業を対象にサプライチェーンの強靭(きょうじん)性について尋ねた設問では、過去5年間で60.6%が調達戦略を見直したことが明らかになった。具体的な見直しの内容として、「ESGコンプライアンスの強化」を76.5%の企業が挙げ、次いで、「サプライヤーの多様化(71.6%)」、「現地調達の推進(58.0%)」などが続いた。ASEAN企業がサプライヤーを多様化させる市場としては、ASEAN域内が93.2%で最も高かった。ASEAN域外では、日本(54.2%)、中国(40.7%)が挙げられた。

グリーントランジションに関する設問では、60%以上が脱炭素化に取り組んでいることが分かった。主な取り組みの内容は、エネルギー効率の改善、電気自動車(EV)の利用、再生可能エネルギーの活用、環境に配慮した包装・再生品の利用などが挙げられた。一方、取り組みの推進にあたっての課題には、資金的な制約やコスト上昇による競争力低下圧力が挙げられた。

デジタルトランスフォーメーションに関する設問では、22%の企業が人工知能(AI)を意思決定の支援のために導入していると回答した。デジタル化を進める上での課題には、約6割がコスト制約を挙げ、デジタル化を進めるためのノウハウ不足が続いた。

発表会であいさつした国際問題戦略研究所インドネシアのヨセ・リザル所長は、調査結果は地政学的な課題など昨今の厳しいビジネス環境をASEAN企業がどのように乗り越えるべきか明確な道筋を示すものとした上で、「足元のデータを理解することが極めて重要だ」と述べた。

写真 ヨセ所長によるあいさつの様子(ジェトロ撮影)

ヨセ所長によるあいさつの様子(ジェトロ撮影)

(注)本調査は、国際問題戦略研究所インドネシア、ジェトロ、ASEANビジネス諮問評議会によりASEAN企業を対象として実施された。同調査結果はASEAN経済大臣会合などにおける政策提言の根拠資料として用いられる。全文はASEANビジネス諮問評議会のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますより閲覧できる。

(大滝泰史)

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)

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