世界銀行、2026年湾岸協力会議(GCC)諸国の成長率を4.3%のマイナス成長に下方修正

(中東、湾岸協力会議(GCC)、中東・北アフリカ(MENA)、アフガニスタン、パキスタン)

調査部中東アフリカ課

2026年10月09日

世界銀行は10月6日、中東・北アフリカ・アフガニスタン・パキスタン(MENAAP)地域の経済見通しに関する報告書「分断から機会へ:人工知能(AI)、雇用、成長(From Divide to Opportunity: AI, Jobs, and Growth)」(10月6日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。この中で、湾岸協力会議(GCC)諸国の2026年の平均成長率は前年比4.3%のマイナス成長になるとの見通しを明らかにした。2026年4月の同報告書では1.3%成長の予測(2026年4月30日記事参照)をしており、4月時点から5.6ポイントの下方修正となった。

報告書によると、2026年のGCC諸国の国別の成長率では、オマーンを除く5カ国がマイナス成長となる見通しだ。特に、カタールがマイナス20.9%、クウェートがマイナス14.6%と大きく落ち込み、カタールについては「過去50年以上で最大」、クウェートは「過去30年以上で最大」の景気後退になるとした。前回4月時点ではプラス成長見込みだったバーレーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)もマイナス成長に下方修正された。

その背景として、2026年2月に始まった中東紛争とホルムズ海峡封鎖により原油と天然ガスの輸出が停滞したことを挙げた。サウジアラビアについては、迂回ルートとして東西パイプラインを活用したものの、2026年8月時点の原油生産量は日量約600万バレルで、生産能力約1,200万バレルの50%程度にとどまったことを指摘した。UAEは、同海峡外のフジャイラ港を活用し、5月のOPECプラス離脱により生産量を柔軟に調整できたため、他の湾岸産油国に比べて影響を一定程度抑制できたとした。

イランを除くMENAAP地域全体の2026年の実質GDP成長率については、4月の報告書では1.8%のプラス成長が見込まれていたものの、今回の見通しでは1.3%のマイナス成長へ3.1ポイント下方修正された。

主要国の最新の成長率予測は次のとおり。

  • サウジアラビア:-2.0%(4月時点予測:3.1%)
  • UAE:-1.6%(同:2.4%)
  • カタール:-20.9%(同:-5.7%)
  • クウェート:-14.6%(同:-6.4%)
  • バーレーン:-2.9%(同:1.3%)
  • オマーン:3.1%(同:2.4%)
  • イラン:-7.7%(同:N/A)
  • イラク:-12.4%(同:-8.6%)
  • エジプト:5.1%(同:4.3%)
  • モロッコ:4.4%(同:4.2%)
  • アルジェリア:3.7%(同:3.7%)

報告書は、紛争が2026年末までに沈静化すれば、イランを除くMENAAP地域の成長率は2027年に7.8%、GCC諸国は10.3%に回復する可能性があると予測した。

世界銀行のウスマン・ディオン副総裁(MENAAP担当)は、「今回の紛争は地域経済に大きな負担を与えているが、平和と安定こそが持続的な成長と雇用創出の前提条件となる」と強調した。

中東情勢の最新動向は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」を参照。

(大家俊夫)

(中東、湾岸協力会議(GCC)、中東・北アフリカ(MENA)、アフガニスタン、パキスタン)

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