世界銀行報告、2026年のGCC諸国の成長見通しを3.1ポイント下方修正

(中東、湾岸協力会議(GCC)、中東・北アフリカ(MENA)、アフガニスタン、パキスタン)

調査部中東アフリカ課

2026年04月30日

世界銀行は4月8日、湾岸協力会議(GCC)諸国など周辺国の2026年の成長見通しが大幅に下方修正されたとの報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

世界銀行の報告書は、今回の中東での紛争に関連して中東・北アフリカ(MENA)、アフガニスタン、パキスタンの経済を調査した。それによれば、イランを除いた地域全体の成長率は、2025年の4.0%から2026年には1.8%へと鈍化する見通しだ。2026年の成長率は、中東紛争前の同年1月時点の世銀予測との比で2.4ポイント下方修正された。

このうちGCC諸国全体の成長率は、2025年の4.4%から2026年には1.3%へと減速幅がより大きくなる見通しだ。2026年の成長率は同年1月時点の予測比で3.1ポイント下方修正された。

GCC諸国の中ではクウェートは2025年の2.6%から2026年はマイナス6.4%、カタールは2025年の3.2%から2026年はマイナス5.7%と両国は大幅なマイナス成長に転落する見通しとなった。2026年の成長率ではサウジアラビアは3.1%、アラブ首長国連邦(UAE)は2.4%、オマーンは2.4%、バーレーンは1.3%といずれも2025年よりも下落するとの予測だが、プラス成長は維持する見込みだ。

報告書は今後、紛争が長期化すれば、エネルギーや食料価格が上昇するほか、貿易・観光・送金が減少し、財政負担も増大するなど、地域への影響はさらに拡大する可能性があるとの見解を示した。

また、今回の紛争は、民間部門の活動が限られ、低い生産性や労働市場の課題などに苦しむこれらの地域にとって、追い打ちとなるものだと指摘した。その上で、ガバナンスとマクロ経済の基盤強化、長期的な雇用創出や経済のレジリエンス強化などの重要性をあらためて浮き彫りにしたとしている。

ウスマン・ディオン世界銀行副総裁(中東・北アフリカ、アフガニスタン、パキスタン担当)は、課題の解決には「地域がショックを乗り越えるだけでなく、マクロ経済基盤を強化し、イノベーションを進め、ガバナンスを改善し、インフラ投資や雇用創出型産業への取り組みを進める必要性がある」と指摘した。その上で「平和と安定こそが地域の持続的発展の前提条件だ。平和があれば、国々は機関や能力、競争力ある産業を整備し、人々に機会を創出できる」と訴えた。

中東情勢悪化と世界各国の動きはジェトロ特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」を参照。

(大家俊夫)

(中東、湾岸協力会議(GCC)、中東・北アフリカ(MENA)、アフガニスタン、パキスタン)

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