9月の米雇用統計、雇用環境に大きな変化はみられず

(米国)

ニューヨーク発

2026年10月05日

米国労働省労働統計局(BLS)は10月2日、2026年9月の雇用統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。失業率は低水準に保たれており、雇用者数の増加や労働参加率の上昇もみられた。一方、これらの改善幅はいずれも小さく、労働市場の状況は前月から大きな変化はない。ただし、賃金の伸びは物価の伸びを下回った。

就業者数(前月比40万6,000人増)、失業者数(同7万8,000人増)、労働参加率(61.8%、前月から0.2ポイント上昇)を踏まえた9月の失業率は4.2%(注1)と、8月(4.1%)から0.1ポイント上昇した(添付資料表1、図1参照)。就業者数および失業者がともにやや伸びる中で労働参加率もやや上昇したが、失業率も上昇し、総じて大きな変化はなかった。CNN(2026年10月2日記事)では採用も解雇も少ない状況と指摘している。なお、広義の失業率(注2)は7.6%(8月7.7%)と、前月から0.1ポイント低下し、平均失業期間は24.8週(8月26.3週)と前月から減少した。

事業所調査(注3)も大きな変化はない。非農業部門の新規雇用者数については、2万9,000人増と市場予想(8万9,000人増)を下回った。ただし、3カ月移動平均では5万1,000人増とダラス連邦準備銀行が試算する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます「ブレーク・イーブン雇用者数(注4)」である約3万人を上回る水準となった。

内訳では、政府部門が1万7,000人減、民間部門が4万6,000人増だった。業種別では、教育・医療(2万人増)、商業・運輸・倉庫業(1万8,000人増)、建設業(1万1,000人増)娯楽・接客業(1万人増)などの増加が民間部門の新規雇用者数増加の主たる要因となっている(添付資料表2、図2参照)。一方、情報業(1万人減)、対事業所サービス業(9,000人減)、金融業(7,000人減)などは減少した。雇用者数全体では増加したものの、産業ベースでは全250産業のうち、減少した業種数の方が多かった。

賃金に関しても前月とほぼ同水準となった。平均時給は37.8ドル(8月37.8ドル)、前月比0.1%増(8月0.3%増)、前年同月比2.9%増(8月3.8%増)と伸びは低下し、市場予想(前月比0.3%増)を下回った。一方、労働省や民間機関が発表している求人に関する統計では、引き続き低調ながら労働需要は下げ止まりを示す指標もみられる。ただし、賃金の伸びは消費者物価指数(CPI)の伸びを下回っており(2026年9月15日記事参照)、実質賃金には下押し圧力がかかる可能性がある。

9月は、8月から変化幅が小さく、CNBCなどは、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で、連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を維持する公算が強まったといった見方を報道している(CNBC 10月2日)。

(注1)公式統計を基に小数点第2位までの数値で比較すると、9月は4.18%と前月(4.14%)から0.04ポイント上昇。

(注2)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、非自発的にパートタイムを選択している者」を合わせて算定した数値。

(注3)雇用統計は失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。

(注4)失業率が上昇しないために必要と考えられる月間新規雇用者数を指す。バイデン前政権下の緩和的な移民政策のもとで外国人労働力が大きく増加した2023年のブレーク・イーブン雇用者数は約16万人だったが、トランプ政権下では外国人労働力を中心に労働供給が大幅に減少した結果、数値は大きく低下し、月3万人程度としている。

(當麻江美)

(米国)

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