韓国政府、韓米戦略投資プロジェクト推進計画を発表

(韓国、米国)

ソウル発

2026年10月02日

韓国と米国政府は10月1日、「韓米戦略的投資に関する覚書(MOU)」(2025年11月18日記事参照)に基づき、韓米戦略投資プロジェクトの推進計画を発表した。今回、(1)テキサスガス複合火力発電プロジェクト(プロジェクト・スター)、(2)韓米原子力発電所フレームワーク(プロジェクト・パワー)、(3)アラスカ液化天然ガス(LNG)プロジェクト(プロジェクト・ノース)の3件が対象事業として公表された(注1)。

韓国政府は、今回の推進計画によって、エネルギーなどの戦略産業における協力拡大によって安定的なサプライチェーンを構築し、韓米間の経済安全保障協力の強化が期待されるとした。

また、金正官(キム・ジョンガン)産業通商部長官は、「人工知能(AI)・原子力発電・LNGなど、未来産業と経済安全保障に直結する戦略分野で、両国の強みを結集し、ともに事業をつくり上げる新たな協力分野の開拓」と評価した。さらに、「国益を最優先に、商業的合理性のある事業にのみ投資する原則を堅持し、韓国企業の成長と競争力強化につながる好循環をつくり出す」とした。

各プロジェクトの概要および韓国政府の説明は次のとおり。

(1)プロジェクト・スター(Project Star)

米国テキサス州エンシナル地域に総事業費223億ドル規模、6,472メガワット容量のAIデータセンター向けガス複合火力発電所を建設・運営する。2029年に第1段階の商業運転を開始し、2032年に全設備の稼働を目指す。韓国政府は、同事業全般において韓国企業の参画拡大を通じて、韓国企業の米国AI・エネルギーインフラ市場への参入拡大が期待されるとした。

(2)プロジェクト・パワー(Project Power)

韓米戦略投資基金1,200億ドル(注2)を活用し、米国内の大型原子力発電所8基(APR1400:韓国の炉型が2基、AP1000:米ウェスチングハウスの炉型が6基)を建設するほか、両国企業間の原発協力の方向性を含む「韓米原発フレームワーク」に合意した。韓国政府は、APR1400は、米国で初めて建設される海外炉型であり、第三国市場における韓国炉型への信頼や受注拡大に寄与することが期待されるとした。また、AP1000事業で発生する商業的利益を韓米間で共有すべく、韓国企業によるウェスチングハウスの株式の取得も推進するとした。なお、取得に関する具体的な投資条件などは、今後の企業間交渉を通じて決定される。

(3)プロジェクト・ノース(Project North)

アラスカ北部の天然ガスを南部地域まで輸送するための大型のガスパイプラインと、海外輸出用LNGターミナルを建設する事業について、共同で検討に着手することで合意した。韓国政府は、MOUに基づく商業的合理性の要件および関連する国内法上の条件が満たされた場合、当該プロジェクトの推進可否を判断するとした。また、事業が実現された場合、LNG調達先の多角化を通じて、韓国のエネルギー安全保障強化への寄与が期待されるとした。

(注1)プロジェクトの名称は、韓国政府の発表内容に基づいて記載した。

(注2)1,000億ドルの建設費用と200億ドルの予備費で構成される。

(小野淳一)

(韓国、米国)

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