ペルー・クスコ商工会議所会頭に聞く、観光回復で成長転換シナリオ

(ペルー)

リマ発

2026年10月22日

国家統計情報庁(INEI)によると、ペルーの2025年実質GDP成長率は前年比3.4%だった。しかし、州別でみるとクスコ州ではマイナス2.5%となり、全24州のうちマイナス成長となった3州の1つだ。ジェトロは10月14日、クスコ商工会議所のフェルナンド・サントヨ会頭に地元経済の見通しを聞いた。

サントヨ氏は、建設業と小売業が堅調に推移していること、観光業の伸びが期待できることから2026年以降は改善するとの成長転換シナリオを示した。

写真 戸建て住宅に加えマンション建設も進むクスコ市内(ジェトロ撮影)

戸建て住宅に加えマンション建設も進むクスコ市内(ジェトロ撮影)

観光業が伸びる理由として、外国人旅行客数が依然としてコロナ禍前のレベルを下回る状況が続いているものの、徐々に回復していることや、ペルー文化省が実施する世界遺産「マチュピチュ遺跡」の入場券販売制度の見直し(注)を挙げた。「まだ観光客数がコロナ禍前の水準に戻っていない日本からの観光客も増えることを期待している」と話した。また、2026年の特需として、ペルーにゆかりのあるローマ教皇レオ14世が(2025年5月21日記事参照)11月にクスコを訪問予定で、その経済効果も期待できるという。さらに中期的にはクスコ州に建設中のチンチェロ空港が完成すれば、海外から直行便でクスコを訪れる観光客が増えることが見込まれると強調した。

一方、短期的な懸念材料としてエルニーニョ現象による農業と繊維産業への影響を挙げた。クスコ州はカカオ、コーヒー、ジャイアントコーン、キヌアなど付加価値の高い農産品の産地であるが、異常気象が生産や輸出に影響する可能性がある。また、乾燥による水不足が山林火災の長期化を招いており、市民生活への影響も懸念材料という。

10月4日に実施された州知事選挙では、選挙管理当局の集計作業が続いているが左派のベロニカ・メンドサ候補の当選が有力視されている。サントヨ氏は、左派候補が当選した場合の州政府の動きを注視する姿勢を示した。「エルニーニョ現象は2027年にかけて強まるとみられている。災害対策工事は地方自治体が実施するものも多い。政治的理念や駆け引きにとらわれず、州政府が災害現場を見て市民や企業が必要とする工事を即座に実施することを願っている。クスコ商工会議所は州政府に対して情報提供と提言を行い、実効性のあるエルニーニョ現象対策を行えるよう支援していく方針だ」と述べた。

写真 日本人観光客の増加を期待するサントヨ会頭(右)(ジェトロ撮影)

日本人観光客の増加を期待するサントヨ会頭(右)(ジェトロ撮影)

(注)従来は入場券を3時間仮予約できたが、10月22日から正式移行する新方式では、15分以内の決済を必須とし、未決済分は直ちに販売枠に戻される。このため、旅行代理店などによる大量の仮押さえが抑制され、これまで未購入のまま失われていた販売機会が減少することで、観光客の受け入れ拡大が期待される。ペルーの通商観光省の発表によると、2024年8月~2025年12月を対象に実施された監査では、調査対象となった旅行会社8社で計20万9,051件の入場券予約が行われたものの、そのうち13万1,626件(62.96%)がキャンセルされ、実際に支払いまで完了したのは7万3,956件(35.38%)にとどまった。

(石田達也)

(ペルー)

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