ペルーゆかりのローマ教皇就任で、「聖地巡礼」観光ルート策定へ

(ペルー)

リマ発

2025年05月21日

ペルーの通商観光省(MINCETUR)は5月16日、新ローマ教皇レオ14世がペルーで過ごした場所を巡る観光ルートを策定するための作業部会を設置したと発表した。米国出身のレオ14世は、ペルーで20年以上にわたり司教などとして活動し、地方都市の貧困対策に取り組んだほか、ペルー国籍も有している。作業部会には、同省の関係者のほか、ルイ14世が活動したペルー北部のチクラーヨ市などの地方自治体、地元企業、教会関係者が参加する。安全で持続可能な「聖地巡礼」の観光ルートの整備を目指す。

並行して、法的環境整備も進めている。政府は法律32337号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5月16日交付)で、チクラーヨ市にあるエテンをミサの町に認定した。地元の伝統や慣習を守りながら、観光の促進を行い、地元経済の発展につなげることが目的だ。エテンは人口1万人余りの小さな町だが、テーマ性のある観光を提案し、チクラーヨ周辺に足を運んでもらう仕組みをつくる。

チクラーヨ周辺は、プレインカ時代(インカ帝国より前の時代)の遺跡や関連する博物館があり、古代遺跡や考古学に関心の高い観光客に人気がある。一方、ペルーにはマチュピチュ遺跡やナスカの地上絵など、世界的に知名度の高い観光地による集客効果がある半面、観光客の国内各地への分散化が課題となっている。また、海外からペルーを訪れる旅行客数は新型コロナウイルスの感染拡大前の水準までには至っていない。MINCETURによると、2024年の海外からの観光客は325万6,693人(速報値)で、前年比で29.0%増加したものの、2019年比では25.5%減となっている。

(石田達也)

(ペルー)

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