カナダ政府とオンタリオ州政府、鉄鋼・自動車・重要鉱物に87億カナダ・ドルの支援策
(カナダ、米国)
調査部米州課
2026年10月26日
カナダ政府とオンタリオ州政府は10月21日、米国関税措置の影響を受ける労働者・企業を支援し、州内の鉄鋼、自動車、重要鉱物産業を強化するため、総額87億カナダ・ドル(約9,744億円、Cドル、1Cドル=約112円)の共同アクションプランを発表
した。
カナダの自動車産業は12万人超を直接雇用し、国内総生産(GDP)に年間160億Cドル超の貢献をしている。また、鉄鋼産業は2万3,000人超を直接雇用するとともに、加工金属分野の17万2,000人の雇用を支えるなど、いずれも同国経済の基幹産業となっている。しかし、米国による関税措置の影響が国内産業に波及していることから、連邦政府は8月、総額75億Cドルの労働者・企業向け支援策を発表した(2026年9月1日記事参照)。今回は、連邦政府と州政府が共同で追加支援策を発表したものだ。
鉄鋼分野では、「鉄鋼共同アクション基金」を創設する。今後5年間で、連邦政府が35億5,000万Cドル、州政府が16億7,000万Cドルを拠出する。企業による製品の多角化や、防衛、先端製造、エネルギー、貿易インフラ分野への供給、新たな海外市場の開拓を支援する。また、カナダ産製品を優先調達する連邦政府の「バイ・カナディアン政策」と州政府の「バイ・オンタリオ政策」を活用し、公共調達でカナダ産鉄鋼を優先する。カナダ国境サービス庁(CBSA)による監視・執行を強化し、外国製鉄鋼のダンピングや不公正な補助金への取り締まりも進める。さらに、「カナダ・オンタリオ鉄鋼タスクフォース」を設置し、鉄鋼産業への支援策や競争力向上に関する戦略的な助言を行う。
自動車分野には、今後2年間で、連邦政府が15億Cドル、州政府が10億Cドルを拠出する。大型設備投資を支援し、最新鋭の機械や生産ラインの導入を促すことで、コネクテッドカーや電気自動車(EV)の生産基盤を強化する。小型車の温室効果ガス排出基準については、2029年モデルまで2026年水準に据え置き、段階的な引き上げを2030年モデルから再開する。2035年までに新車販売の75%をEVとする目標は維持する。
重要鉱物分野では、連邦政府が今後3年間で最大10億Cドルを拠出し、ニッケルやクロムなどの重要鉱物資源が集中するオンタリオ州北部の資源集積地「リング・オブ・ファイア」へのアクセス道路などを整備する。両政府は、連邦・州の許認可手続きを連携させ、審査の効率化と重複の解消を図る。また、先住民との有意義な協議を支援し、経済・地域開発の機会を検討する作業部会も設置する。
(木村勇翔)
(カナダ、米国)
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