カナダ政府、米国関税の影響を受ける労働者・企業に75億カナダ・ドルの支援策を発表
(カナダ、米国)
調査部米州課
2026年09月01日
カナダ財務省は8月25日、米国の1930年関税法338条に基づく対カナダ追加関税(2026年8月24日記事参照)の影響を受ける労働者・企業を支援するため、総額75億カナダ・ドル(約8,550億円、Cドル、1Cドル=約114円)の新規・追加の支援策を発表
した。過去18カ月間に実施してきた約250億Cドルの支援策に追加するもので、中小企業や米国の関税の影響を強く受ける産業を重点的に支援する。米国との通商摩擦の解決に向けた先行きが見通せない中、カナダ政府は国内産業保護に向けた支援策の強化を進めている。
支援策は、9月8日から発動予定の対抗関税(2026年8月26日記事参照)と合わせて発表された。主な内容は次のとおり。
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地域関税イニシアチブ
:地域開発機関(RDA)が15億Cドルを追加投入する。また、非返済型補助金の上限額を従来の100万Cドルから300万Cドルへ引き上げるほか、最大200万Cドルの流動性支援を提供し、中小企業の資金繰りや事業転換を後押しする。 -
カナダ事業開発銀行(BDC):5億Cドル規模の新たな流動性支援枠「ピボット・トゥ・グロウ・プログラム
」を設ける。米国関税の影響で資金繰りが悪化した企業を対象に、25万~500万Cドルの融資を提供する。利払いのみで利用できる期間を36カ月とするほか、申請手続きも簡素化する。さらに、関税関連支援プログラムの利用要件を緩和し、申請企業の最低年間売上高基準を100万Cドルへ引き下げる。 -
カナダ・ストロング多角化基金:戦略対応基金
の新たな支援枠を創設し、20億Cドルを追加拠出する。米国関税措置の影響を受ける企業による設備維持や生産能力強化など、直ちに着手可能なプロジェクトを支援するもので、案件審査・承認の迅速化も図る。 - 労働者・雇用主向け迅速対応支援:雇用保険(EI)の待機期間免除や長期勤続者向け給付期間延長などの特例措置を延長するほか、従業員維持と再訓練を支援する35億Cドル規模のプログラムを創設する。企業は従業員1人当たり最大1,000Cドルの研修費・管理費補助を受けられる。
- 大型企業関税融資制度(LETL):大企業向け支援制度の条件を緩和する。流動性支援期間を24カ月から36カ月へ延長するとともに、融資期間の上限を10年から15年へ引き上げる。
カナダ最大の中小企業団体であるカナダ独立事業連盟(CFIB)が実施したアンケート調査
(注)によれば、回答企業の約4割が、米国の関税措置により自社製品の輸出に影響が生じると回答した。このうち約8割の企業が収益減のマイナス影響を見込んでおり、米国との通商摩擦の長期化は、カナダ経済の先行き不透明感を高めている。
(注)調査期間は2026年7月28日~8月6日、調査対象はCFIB会員企業1,833社。
(木村勇翔)
(カナダ、米国)
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