6勤1休廃止の憲法改正法が公布、産業界は経済への影響を懸念

(ブラジル)

サンパウロ発

2026年10月21日

ブラジル連邦議会の上下両院は10月16日、6日勤務・1日休暇の勤務形態(注1)の廃止を盛り込んだ憲法改正法第141号を公布した(注2)。これにより、労働者に週2日の有給休暇が保障されるほか、法定労働時間の上限は現在の週44時間から週40時間へ段階的に引き下げられる。

公布から60日後には、第1段階として法定労働時間の上限が週44時間から42時間へ引き下げられるとともに、週2日の休暇付与が義務化される。そのさらに1年後(公布から14カ月後)に、上限は週40時間となる。制度変更に伴う賃金の引き下げは、最低賃金を含め認められない。

新制度では、原則として5日勤務・2日休暇が標準的な勤務形態となる。一方、例外的に労働協約や労使協定に基づき異なる勤務体系を採用することも可能で、その場合も暦月内で平均週2日の休暇を確保し、7日ごとに少なくとも1日の休暇を付与する必要がある。

10月25日に実施される大統領選挙の決選投票に進出した、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領とフラビオ・ボルソナーロ上院議員はいずれも同改正を支持している。ルーラ大統領は選挙公約で、6日勤務・1日休暇制の廃止を掲げていた(2026年8月13日記事参照)。一方、ボルソナーロ上院議員は10月13日、記者団に対し、労働時間短縮により追加雇用が必要となり、インフォーマル雇用の拡大につながる可能性があるとの懸念を示した。しかし、「自身の投票はブラジルの勤労者多数の意思に従う」と述べ、翌日の上院採決では賛成票を投じた。CNNブラジルによると、同議員は、当選した場合に改正内容を見直す可能性を経済界に示唆している。

産業界からは、制度変更による経済への影響を懸念する声が上がっている。全国工業連盟(CNI)は10月14日付のウェブサイトで、週40時間労働への移行と賃金維持を前提とした場合、生産コストが最大2,672億レアル(約8兆2,832億円、1レアル=約31円)増加し、GDPが0.7%(769億レアル、約2兆3,839億円)押し下げられるとの試算を公表した。また、消費者物価は平均6.2%上昇し、スーパーマーケットでの購入価格は5.7%、工業製品は6.0%、衣類・履物は最大6.6%上昇するとしている。

また、ブラジル・レストラン・バー協会(ABRASEL)は10月14日付のウェブサイトで、現在約1,500万人が6勤1休制で働いていると指摘した。その上で、労働時間短縮後も現在と同水準のサービスを維持するためには約300万人の追加雇用が必要になる一方、必要な労働力の確保は困難になるとの見方を示した。

(注1)商業・サービス業や製造業、物流業などで広く採用されている勤務形態。労働雇用省の調査によると、勤務時間が把握できる労働者4,470万人のうち約1,490万人(約3分の1)が6勤1休で働いている。

(注2)憲法改正案は、上下両院で2回ずつの採決を経て、それぞれ5分の3以上の賛成で承認される必要がある。下院では5月27日に1回目が賛成472票、反対22票、2回目が賛成461票、反対19票で可決された。上院では10月14日に、2回とも賛成75票、反対1票で可決された。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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