ルーラ大統領、次期大統領選に向けたマニフェストを発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2026年08月13日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は8月7日、2026年10月4日の大統領選挙に向けたマニフェストを高等選挙裁判所(TSE)に登録した。マニフェストは13の重点分野で構成され、全84ページに及ぶ。

第1項の「民主主義および市民参加の強化、国家運営の刷新」では、連邦議会議員が連邦予算の一部を特定の地域や事業に配分できる議員割当予算制度の見直しを提案している(注1)。マニフェストでは、2026年予算で議員割当予算が500億レアル(約1兆5,500億円、1レアル=約31円)に達し、行政府が裁量的に使える予算の約5分の1を占めているとした上で、現行制度によって予算配分が分散し、資源配分の効率性が低下していると批判した。そして、同制度の在り方について社会全体で議論する必要があると指摘した。

第8項の「全員のための持続可能で生産性が高くデジタル化された経済の推進」では、インフラ整備や産業政策、生産活動向け融資を通じて、政府主導で生産性向上と産業基盤強化を促進し、質の高い雇用創出を伴う持続的な経済成長を目指す方針を示した。具体的には、現政権下で導入された成長加速プログラム(PAC、2023年8月29日記事参照)や、新ブラジル産業政策(2024年2月5日記事参照)などの産業支援策について、継続・拡充を目指す。

第12項の「多様な労働形態の尊重」では、労働者の権利保護を強化する観点から労働法の見直しを進める方針を示した。また、6日勤務・1日休暇の勤務形態(注2)の廃止に加え、週当たりの法定労働時間を現行の44時間から40時間へ短縮することを目指す。

第13項の「国家主権の擁護とブラジルの国際的プレゼンスの強化」では、メルコスールや中南米諸国、アフリカ諸国との南南協力(注3)を重視する姿勢を示した。また、アジア、中東、欧州、BRICSとの間で、政治、経済、技術、文化分野におけるパートナーシップを深化させる重要性を強調した。さらに、「新たな貿易協定の締結や新市場の開拓を通じて、ブラジルの財・サービスの輸出機会を拡大するとともに、国際ルールと多国間主義に基づき、不公正な貿易措置に対処し、国益を擁護する」との方針を掲げた。

(注1)議員割当予算制度の拡大により、連邦政府が裁量的に活用できる予算が減少しているとして、ルーラ大統領は同制度を繰り返し批判している。連邦政府のデータによると、議員割当予算の歳出額は近年増加しており、2022年は170億レアル、2023年は219億レアル、2024年は314億レアル、2025年は315億レアルだった。

(注2)商業・サービス業や製造業などで広く採用されている勤務形態。6日勤務・1日休暇制度の廃止を盛り込んだ憲法改正案は5月27日に下院を通過し、5月28日に上院での審議に進んだ。同案は賃金を引き下げることなく、14カ月の移行期間を経て週40時間へ短縮する内容で、現在は上院で審議されている。

(注3)南南協力とは、開発途上国同士が協力し、経済的・社会的な発展を目指すこと。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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