南北通勤鉄道の全線開業が2033年に延期、部分開業は2027年末を予定

(フィリピン)

マニラ発

2026年10月27日

フィリピン大統領府は9月17日、マニラ首都圏と近郊州を結ぶ南北通勤鉄道の全線開業が2033年第3四半期(7~9月)になると発表した。2032年1月から、約1年8カ月の延期となる。大統領広報室のクレア・カストロ次官は、延期の主な要因として、公的資金の予算調整、用地取得の遅れ、調達手続き上の問題を挙げた。

南北通勤鉄道は、マニラ首都圏北方のパンパンガ州クラークから南方のラグナ州カランバまでを結ぶ、全長147キロメートル、36駅を擁する都市鉄道プロジェクトだ。中部ルソン、マニラ首都圏、カラバルソンの3地域を結ぶ(注1)。今回の延期に伴い、部分開業の新たな日程が発表された。第1工程の首都圏バレンズエラ~マロロス間は2027年12月、第2工程のマロロス~クラーク間は2028年第4四半期(10~12月)、第3工程のクラーク~首都圏ソリス間およびアラバン~カランバ間を2031年第4四半期に、それぞれ部分開業する予定だ。北端クラーク~南端カランバの全線開業は2033年第3四半期を見込む。

全線開業は延期されたものの、2027年12月からの部分開業に向け、車両導入や駅舎建設など個別案件は進展している。同プロジェクトは、日本の円借款(有償資金協力)やアジア開発銀行(ADB)の融資などを活用して進められており、総合車両製作所(J-TREC)と住友商事との共同事業による鉄道車両の製造・納入も行われている。国際協力機構(JICA)が2026年9月25日に発表したところによると、フィリピン運輸省(DOTr)に第3編成の車両が引き渡された。第4編成も既にフィリピンに到着し、通関手続きが進められている。また、DOTrの発表によると、主要駅の1つであるクラーク駅の工事進捗率は、2026年9月時点で73.29%に達している。

南北通勤鉄道の開業により、クラーク~カランバ間の移動時間は約1時間半に短縮され、1日当たり最大80万人の利用が見込まれている。移動の効率化に加え、交通渋滞や大気汚染の緩和が期待される。さらに、ルソン経済回廊(注2)の重要な構成要素として、雇用、教育、医療その他の基本的なサービスへのアクセス改善を通じ、大きな経済的・社会的効果をもたらすことが期待されている。

(注1)路線図を含む計画の概要は経済企画開発省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)2024年4月に米国、フィリピン、日本の3カ国が立ち上げを発表した枠組み(2024年4月15日記事参照)。ルソン島におけるスービック湾、クラーク、マニラ首都圏、バタンガスの4拠点間の連結性を向上し、エネルギー、交通・物流、デジタル、先端製造を重点分野として投資促進を進めている。

(神田桃佳、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

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