日米比首脳会談、半導体や重要鉱物サプライチェーン強靭化で合意

(日本、米国、フィリピン)

ニューヨーク発

2024年04月15日

日本の岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン大統領、フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は4月11日、米国の首都ワシントンで、日米比3カ国首脳会談を実施し、経済分野を中心に3カ国間連携の方向性を示した共同ビジョン声明(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。3カ国間の首脳会談は今回が初めて。共同声明で示された具体的な連携分野および方向性は次のとおり。

  1. 日米比3カ国はインド太平洋地域で、包摂的な経済成長および経済的強靭(きょうじん)性を促進することを決意。インド太平洋経済枠組み(IPEF)の継続的な進展を支持、また、経済的威圧への対応における緊密な連携の必要性を強調する。
  2. グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII、注)の下に、「ルソン経済回廊」の立ち上げを発表。フィリピンの首都マニラを含む地域の鉄道や港湾など重要インフラへの投資を加速させることで連携する。
  3. フィリピンのオープン無線アクセスネットワーク(RAN)など情報通信基盤の整備や半導体分野の労働力開発など、重要・新興技術分野で連携する。
  4. 気候変動対策の重要性を認識。フィリピンの太陽光・風力・民生用原子力などクリーンエネルギー技術導入を支援する。また、電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵システムに用いられる重要鉱物資源のサプライチェーン強靭化に向けて3カ国が連携する。
  5. 南シナ海、東シナ海、台湾海峡、北朝鮮など地域情勢を念頭に、防衛当局間協議や海上保安機関間での合同訓練を通じて安全保障・防衛分野で3カ国が連携する。

なお、日米比3カ国首脳会談の同日には、日本の齋藤健経済産業相、米国のジーナ・レモンド商務長官、フィリピンのアルフレド・パスクアル貿易産業相が初の日米比商務・産業大臣会合を実施した(米国側発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本側発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。首脳間による共同ビジョン声明で示された、重要鉱物のサプライチェーン、半導体、オープンRANの展開、クリーンエネルギー、インフラ整備など、3国間の貿易・投資協力機会の可能性について議論した。

また、米国国務省は同日、PGIIルソン経済回廊について発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同省が米国側でPGIIルソン経済回廊の実施や調整を担う。同省は、フィリピンのルソン島南西部のスービック湾、クラーク、マニラ、バタンガス間の鉄道や港湾などの接続を支援するとして、これによって物流・エネルギーコストの削減や、政策・規制環境の整備が見込まれ、半導体などの重要産業に大きな影響を与えると期待を寄せた。

(注)PGIIは、2022年6月にドイツで開催されたG7首脳会議で発表された途上国インフラ投資協力の枠組み。G7各国は、2027年までに民間資金を含めて6,000億ドルの途上国インフラ投資支援を目指すとしている(2022年6月28日記事参照)。

(葛西泰介)

(日本、米国、フィリピン)

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