トランプ米大統領、軽油価格高騰対策として負担軽減措置を指示

(米国)

ニューヨーク発

2026年10月14日

米国のドナルド・トランプ大統領は10月5日、軽油(ディーゼル燃料)価格の高騰への対策として、(1)農業機械などに使われる非課税燃料である「着色軽油(注1)」を公道走行に使用した場合の連邦法上の罰則の適用を2026年末まで停止する、(2)財務長官に対し、軽油に係る連邦燃料税の納付期限の延長を検討するよう指示する大統領令(第14435号)に署名した。

着色軽油は、農業・林業機械、産業・商業用機器などオフロードを走行する機械に使われており、公道走行など課税対象用途に使用・販売した場合、内国歳入法(IRC)6715条外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づく罰金が科されている。今回の大統領令では、財務長官に対し、10月5日~12月31日の間、着色軽油を使って公道を走行した場合でも、同条に基づく罰則を適用しないよう指示した。

また、IRC7508A条は、連邦政府が宣言した災害や重大な火災、テロ・軍事行動などの影響を受けた納税者に対して、財務長官が申告や納税など一定の税務上の期限を延期できる権限を定めている。今回の大統領令は、財務長官に対し、同条に基づいて軽油に係る連邦燃料税の納税期限の延長措置を適用できるかどうかを5日以内に判断し、適用できれば10月5日~12月31日に発生する対象税の支払いを利息・罰則なしで繰り延べるよう求めた(注2)。さらに、繰り延べた税額の免除についても、立法措置を含め検討するよう財務長官に指示した。

また、運輸長官には州政府や業界団体、労働組合との調整を、農務長官には需要の高い地域で農家向けに着色軽油の供給を確保するよう指示した。ホワイトハウスは、今回の措置で、例えば250ガロン(約950リットル、1ガロン=約3.8リットル)の給油当たり約60ドル、州が同様の措置を講じれば1回100ドル超の負担軽減になると試算している。

ホワイトハウスは、軽油価格高騰の背景として、ロシア・ウクライナ戦争と世界的な精製能力不足による供給制約を挙げている(2026年10月14日記事参照)。米エネルギー情報局(EIA)によると、全米の公道用軽油の平均価格は8月31日の1ガロン5.599ドルから、9月21日に6.529ドルと約17%上昇した。10月5日時点でも6.199ドルにとどまっており、特に農業地域である中西部(EIAの区分)は同日6.286ドルと全米平均を上回った。

11月3日の中間選挙を控え、トランプ氏はネブラスカ州で10月5日に行われた共和党集会で、今回の政府による対応を「コストを引き下げるための前例のない措置」と表明した。一方、農業従事者や農村コミュニティを代表する非営利団体「オハイオ・ファーム・ビューロー」のビル・パターソン会長は10月6日、軽油は特に収穫期の農場運営に不可欠で、燃料費の急騰が厳しい農業経営に新たな負担を加えている、と指摘する声明を発表した。また、短期措置だけでは高い投入コストや薄い利益率など構造的な問題は解決しない、との厳しい見方を示した。

(注1)着色軽油(赤色着色軽油/レッドダイド・ディーゼル)とは、主に農業機械や建設機械などの非公道用に使用するため、税金が免除または軽減されており、区別のために赤色に染められた軽油のこと。成分は通常の軽油と同じ。公道を走行した場合の罰金額は1,000ドルまたは1ガロン当たり10ドルのいずれか高い方が適用される。

(注2)連邦軽油税は1ガロン当たり24.4セント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。

(大原典子)

(米国)

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