コスタリカがCPTPP加入撤回を表明、貿易相を解任

(コスタリカ)

調査部米州課

2026年10月30日

コスタリカのラウラ・フェルナンデス大統領は10月28日、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入を撤回し、署名を行わない方針をインターネット配信で発表した。同時に、インディアナ・トレホス・ガジョ貿易相を解任する意向も示した。コスタリカは2022年にCPTPPへ加入する意向を表明し、2026年5月に加入交渉が妥結していた(2026年5月11日記事参照)。

今回の決定の理由について、フェルナンデス大統領は「協定の内容が交渉担当者以外に開示されず、そのメリットや影響をほとんどの人がわからない状況だった」と説明した。特に、小規模な農畜産業従事者が外国製品との競争にさらされることへの懸念を表明し、輸出を行っていない事業者への支援を強化する方針を示した。一方で、自由貿易によりコスタリカの輸出産業が発展してきたことも認めており、全面的な保護主義への転換ではないとみられる。

フェルナンデス大統領は9月下旬からたびたびCPTPP加入の影響が不透明であることを問題視する発言を繰り返していた。10月9日には各業界団体との間でCPTPP加入による影響を議論する会合が開かれ、大統領自らも出席。現地メディアによると、同会合では結論は出なかったものの、フェルナンデス大統領は「これまでの交渉過程で貿易省による説明が不足していた」と述べ、各業界団体との対話を継続するよう指示していたという(「デルフィノ」紙10月11日付)。

経済界の反応は分かれる

全国牛乳生産者会議所(CNPL)のイバニア・ケサダ会長は「国内生産を守り、業界の継続的な発展を促す」と今回の決定を歓迎した。全国農業・アグロインダストリー会議所(CNAA)はプレスリリースを発出し、「CPTPPの経済圏に入る代わりに、コスタリカの農業・畜産業を犠牲にしなかったことに感謝する」とした。

一方で、コスタリカ商工会議所は政府の決定に対し、市場の多角化、投資誘致、雇用創出に向けた機会を逸するものだとの見方を示した。コスタリカ貿易会議所(CRECEX)はトレホス貿易相の解任について、貿易省の戦略的な取り組みの継続性が確保されるよう求め、政府や各業界との対話に参加する用意があることを表明した(「デルフィノ」紙10月29日付)。フェルナンデス大統領は9月にもマヌエル・トバル前外相を解任しており、閣僚の交代が続く事態となっている。

(加藤遥平)

(コスタリカ)

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