日本・欧米・中東への耐量子暗号対応ソフトウエア展開を計画、シンガポールのpQCeeに聞く

(シンガポール)

シンガポール発

2026年10月29日

シンガポールのスタートアップ、pQCee(ピーキューシー)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography、PQC)に対応したソフトウエアを日本、米国、欧州、中東に展開する計画だ。同社のタン・テイグアン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は10月13日、ジェトロとのインタビューで、日系産業機器メーカーのPQCへの移行に協力したいとの意向を示した。

写真 pQCeeのタン・テイグアン共同創業者兼CEO(ジェトロ撮影)

pQCeeのタン・テイグアン共同創業者兼CEO(ジェトロ撮影)

pQCeeは2022年に創立。既存のシステムを再構築することなく、PQC対応ソフトウエアによってセキュリティーを強化するソリューションを提供している。同社は2026年7月に390万米ドルを調達し、2022年のシード調達額(280万米ドル)と合わせ、累計調達額は670万米ドルとなった。今回の資金調達を受けて、シンガポールや東南アジア以外への事業展開を加速する計画だ。タンCEOは、「重点市場として米国、中東、欧州と日本をみている」と述べた。

同CEOは、同社の事業モデルについて「製品レベルでPQCへの対応を可能にすることだ」と説明した。日本市場については、「日系企業はサーバーや産業機器など、重要インフラで使用される多様な設備を世界中に供給している」と指摘した。その上で、「これら機器の多くはデジタル通信機能を備えており、PQCへの対応が必要になる」と述べた。

同CEOは、各国でPQCへの移行を求める規制や政策が進展していることを背景に、「今後2~3年で耐量子暗号市場が成長する」との見込みを示した。シンガポールでは、高性能な量子コンピュータによって現在の暗号技術が将来解読されるリスクに備え、重要情報インフラ(CII)については2031年までにPQC移行を求め、機密性の高い情報を保有する組織には2035年までの移行完了を推奨する計画だ(2026年10月21日記事参照)。

カナダ企業の逆買収を通じ、カナダ証取への上場を計画

pQCeeは8月、カナダ証券取引所(CSE)に上場するユニバーサル・デジタル社を逆買収(リバース・テイクオーバー、RTO)することで、CSEへの上場を目指すと発表した。タンCEOは上場の理由について、「上場企業として適切なガバナンスと透明性を確保することで、顧客からの信頼が得やすくなる」と語った。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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