シンガポールのサイバーセキュリティー庁、高機密システムの耐量子暗号への移行指針と補助金を発表

(シンガポール)

シンガポール発

2026年10月21日

シンガポールのサイバーセキュリティー庁(CSA)は10月14日、量子コンピュータの発展に伴い、現行の暗号技術が将来的に解読されるリスクに備え、耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography、PQC)への移行に関する新たなガイドラインを発表した。重要情報インフラ(CII)に該当するシステムについて2031年までにPQCへの移行を求めるとともに、他の機密性の高い情報を保有する組織に対して2035年までの移行完了を推奨する。

高性能な量子コンピュータの開発が進む中、現行の暗号技術が将来解読されるリスクに備え、各国ではPQCへの移行に向けた取り組みが進んでいる。CSAは2026年6月、エネルギーや水道、金融など国家に不可欠なサービスを支えるCIIの保有者に対し、2031年までにPQCへのシステム移行を完了するよう求める指針を示した。今回、同庁はCII以外でも機密性の高い情報を保有する組織を対象に、2027年までに移行計画を策定し、2035年までに移行を完了することを推奨した。対象には、データの完全性および機密性が極めて重要な通信・決済・取引サービスを提供する組織などが含まれる。

ジョセフィン・テオ・デジタル開発・情報相は同日、組織がPQCへの移行にあたり、「リスクを評価し、システムやデータの優先順位を決め、利用している暗号方式が解読され得る領域を特定する必要がある」と述べた。また、代替となる暗号方式を検証し、システムを段階的に移行していく必要があると指摘した。大規模な組織では移行に数年を要する可能性があるとして、早期の取り組みを促した。

耐量子暗号への移行支援で補助金、最大7割を支援

CSAは企業のPQC移行を支援するため、「量子安全キックスターター補助金(注)」の導入を発表した。補助金はPQCのソリューションの実証や、システム移行に伴う技術的課題への対応に必要な費用の最大7割を支援する。支援対象は全てのシンガポール登記企業だがCII保有者を優先する。補助金の実施期間は2026年11月1日~2027年10月31日で、補助対象となる実証事業の期間は最長6カ月。

また、同庁は各組織が量子安全の準備状況を自己評価し、計画を立てられるよう「量子対応指数(Quantum Readiness Index)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」と、「量子安全ハンドブック(Quantum-Safe Handbook)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を改訂し、公表した。

(注)量子安全キックスターター補助金(Quantum-Safe Kickstarter Grant)についての詳細は、CSAのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

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