金融行為規制機構、上場企業に国際基準でのサステナビリティー開示求める
(英国)
ロンドン発
2026年10月13日
英国の金融行為規制機構(FCA)は9月30日、上場企業のサステナビリティー開示に関する最終規則
を公表した。2月25日に公表した、国際基準に基づく、英国サステナビリティー報告基準(UK SRS、2026年3月16日記事参照)に沿った開示を求めるもので、「順守せよ、さもなくば説明せよ(Comply or Explain)」方式を採用している。開示しない場合は、その理由を説明しなければならない。投資家に対して一貫性があり、意思決定に有用なサステナビリティー情報を提供することで、市場の健全な機能を支える狙いがある。2027年1月1日以降に始まる会計期間から適用し、最初の報告は2028年としている。
FCAは1月30日に公表した協議文書
で、気候関連開示(UK SRS S2)を義務化する案を示していた。これに対し企業からは、対応コストや、それによって上場先としての英国の競争力が損なわれる可能性を懸念する声が上がった。最終規則では、気候関連開示も「順守せよ、さもなくば説明せよ」方式とした。FCAは、同方式によって国際基準との整合性を図り、企業間の比較可能性を確保する一方、企業が個別の事情を踏まえて開示内容を説明できるよう配慮したとしている。FCAが実施した調査では、主要上場企業350社の92%が気候関連リスクを開示していた(「ロイター」9月30日)。
業界団体では、資産運用業界団体の英国投資協会(IA)が、協議段階で当初案を支持していた。金融業界団体UKファイナンスのサステナビリティー政策担当ディレクターは、最終規則により企業の報告負担が減るとした一方、金融機関や投資家が得られる情報も減る可能性があると指摘した(「ロイター」9月30日)。
現行の気候開示規則は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD、注1)の提言に沿っている。これを、国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)の基準を英国向けに取り込んだ、UK SRSに沿った要件に置き換える。従来はTCFDベースの開示規則の対象だった英国で二次上場する外国企業と預託証券(注2)の発行体も対象となる。経過措置として、スコープ3排出量(注3)の開示には1年、サステナビリティー開示(UK SRS S1)には2年の猶予を設ける。FCAは、運用指針となる技術ノート案への意見を10月28日まで募集している。
(注1)気候関連の財務情報開示に関する国際的な枠組み。2015年に設立され、2023年に解散した。
(注2)二次上場は、他国の市場に主たる上場をしている英国外の企業が英国でも上場すること。預託証券は、外国企業の株式に対する権利を表す証券。
(注3)企業のバリューチェーン(取引先など)における間接的な温室効果ガス排出量。
(佐藤遥香)
(英国)
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