ジェトロ、カナダ・アルバータ州に水素・CCSミッションを派遣

(カナダ、日本)

トロント発

2026年10月29日

ジェトロは9月14~17日、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーとアルバータ州エドモントンに、カナダ西部水素・CCS〔二酸化炭素(CO2)回収・貯留〕ミッションを派遣し、日本企業や公的機関など22社、32人が参加した(2026年10月29日記事参照)アルバータ州では、豊富な天然ガス資源や既存インフラを活用した低炭素水素の製造やCCSプロジェクトの開発が進められている。

エドモントンでのセミナーでは、日本とアルバータ州の関係性や、同州のクリーンテクノロジー分野の取り組みについて説明を受けた。同州雇用・経済・貿易・移民省北アジア市場担当ディレクターのアーリジ・バシール氏は、「アルバータ州はクリーンテクノロジー分野の研究開発、運営、プロジェクト実行能力で世界をリードしている」「日本はアルバータ州にとって世界第4位の貿易相手であり、この関係は極めて重要だ」と述べた。

写真 アーリジ・バシール氏登壇の様子(ジェトロ撮影)

アーリジ・バシール氏登壇の様子(ジェトロ撮影)

エドモントン郊外の石油・化学工業地帯「インダストリアル・ハートランド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の訪問では、既存の石油・ガスインフラを活用しながら脱炭素化を進めていることや、大規模排出事業者がCCSを利用しやすい事業環境が整備されていることが紹介された。同地域は、582平方キロメートルに水素の製造施設やCCS関連のプロジェクトが集積しており、世界有数の産業クラスターとして知られる。域内では日量800トン超の水素が生産されているほか、シェル・クエスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますやアルバータ・カーボン・トランクライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどの大規模CCSプロジェクトが稼働している。

また、ミッション団は州政府系技術機関のC-FERテクノロジーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを訪問した。同機関は、長年にわたり石油・ガス分野で蓄積してきた知見を生かし、水素やCO2の輸送に用いるパイプラインの材料特性評価や認証試験を実施している。参加者は、水素・CO2輸送インフラの安全性評価に関する取り組みについて説明を受けたほか、水素脆化(ぜいか、注)への耐性評価や高圧環境下での安全性試験を見学した。水素サプライチェーンやCCS事業の拡大に伴い、輸送・貯留インフラの安全確保が一層重要になる中、同機関が有する評価・試験技術は、関連プロジェクトの事業化を支える基盤として期待される。

アルバータ州をはじめとするカナダ西部のクリーンエネルギ―分野のビジネス環境について、参加者からは、「カナダ西部では、想定していた以上に水素・CCS案件が進展していると感じた」「アルバータ州のエネルギー産業は非常に魅力的だ。スタートアップや中小企業を含め、域内のエコシステムには、日本企業との協業の可能性を持つ企業・団体が多数存在するのではないか」との声が聞かれた。

写真 ネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

ネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

(注)金属材料が水素を吸収することで、強度や延性が低下し、亀裂や破損が生じやすくなる現象。

(山田あゆみ、木村ローズマリー梨花)

(カナダ、日本)

ビジネス短信 30ce80e5e8467bb9