米財務省、対外投資規制プログラムに基づき米国企業に初の罰金

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年10月09日

米国財務省は10月7日、対外投資規制プログラム(OISP)に基づいて、不動産開発やスタートアップ関連事業などを手掛ける米国企業アミディに罰金を科したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2025年1月にOISPが施行されてから初めての執行措置となる。

財務省はOISPに基づき、米国人(注1)による中国への投資を規制している。具体的には、半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能(AI)の3分野に関わる中国(香港とマカオを含む)の事業体への特定の投資について、財務省への届け出を義務付け、国家安全保障に特に深刻な脅威をもたらす恐れがある場合には取引を禁止する(2024年10月30日記事参照)。

罰金の対象となった取引は、アミディの子会社である中国のファンドが2025年4月に中国のAI開発企業の穹徹智能(Noematrix)に9万2,478ドルを投資した取引だ。この取引が財務省への届け出対象だったにもかかわらず、親会社であるアミディが届け出を行わなかったことを理由に、財務省は同社に20万ドルの罰金を科した。OISPに基づき、米国人が届け出対象となる取引を行った場合、取引完了後30日以内に届け出を行わなければならない(2024年10月30日記事参照)。また、米国人の支配下にある外国の子会社などによる取引についても、それを米国人自身が行うと届け出対象となる場合には同様に届け出が必要とされている(注2)。

財務省は、アミディの子会社による取引が届け出対象であることを、「定期的かつ継続的なコンプライアンス・市場監視活動」を行う中で特定したと説明している。取引を特定した時期については明らかにしていない。スコット・ベッセント財務長官はプレスリリースの中で、今回の執行措置は「米国の技術的リーダーシップを維持し、ドナルド・トランプ大統領の『米国第一の投資政策』(2025年2月25日記事参照)を推進する」という財務省の決意を示すものだと強調した。

米国の対外投資規制を巡っては、OISPの内容を拡充する「2025年包括的対外投資国家安全保障法(COINS法)」が2025年12月に成立している(2025年12月24日記事参照)。財務省は、COINS法に基づく施行規則を2027年3月までに制定する予定だが、同規則の制定までは現行のOISPに基づく規則の順守が必要となる。

(注1)米国市民または合法的永住者、米国法または米国内の管轄区域の法律に基づき設立されたあらゆる事業体(当該事業体の外国支店を含む)ならびに米国在住者。

(注2)米国人は、子会社による届け出対象取引に関する記録を保持する義務や、米国人自身が行うと禁止対象取引となる取引を子会社が行うことを防止する義務なども負う。詳細は、財務省が公表しているOISPの執行に関するガイダンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。米国の対外投資規制の全体像については、ジェトロ調査レポート「米国の対外投資規制の概要」を参照。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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