IP融資サンドボックスで初融資、特許評価の支援制度も開始

(香港)

香港発

2026年10月08日

香港特別行政区(以下、香港)政府は9月30日、知的財産(IP)融資サンドボックス(注1)の第1弾となる7件の融資案件の承認完了と、同サンドボックスの次の展開を促進するための「特許評価支援パイロット事業」の開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

審査が完了した7件は、電子、建設、玩具製造、医療機器などの分野に属し、融資額はそれぞれ100万香港ドル(約2,000万円、1香港ドル=約20円)から3,900万香港ドルまでの間で、運転資金、事業拡大、マーケティング活動などに活用されるという(注2)。香港政府は、今回の融資案件について、IP保有企業の新たな資金調達手段の提供や、研究・創作成果の商業化促進につながると評価した。

「特許評価支援パイロット事業」では、IP融資を希望する中小企業を対象に、IP資産の評価費用の半額補助(1社当たり最大8万香港ドル)を2年間実施する。香港で設立・登記された中小企業が対象で、香港または海外で実体審査を経て権利化された有効な特許を少なくとも1件保有することなどが条件となる。採択された企業は、指定評価サービス提供者名簿に掲載された、金融アナリスト、会計士、評価測量士(注3)などの専門家にIPの評価を依頼し、その評価費用について補助を受ける仕組みだ。

さらに、実体審査を受けた香港の特許を有する場合には、香港知識産権署の特許審査官が質的評価を実施し、香港技術・イノベーション支援センター(HKTISC)を通じて特許品質分析レポートを1件まで無償で提供する(注4)。分析結果は、評価機関による定量評価の参考資料として利用できる。

香港政府は同事業について、企業が金融機関や投資家に対して自社の無形資産の経済的価値や市場性を示すことを支援し、金融機関や投資家が投融資を通じて企業と戦略的パートナーシップを築くための信頼向上につながると述べた。

サンドボックスや同事業などの関連施策は、中国の第15次5カ年規画および香港の第1次5カ年規画で掲げられた「地域の知的財産取引センター」構想に沿っている。香港政府は、IP金融エコシステムの整備を香港の競争力強化につなげる方針だ。

(注1)銀行、IP評価機関などが実際の案件を通じて、IPの価値評価やIPを担保とした融資手法を試行する枠組み。評価手法やリスク管理のノウハウを蓄積することを目的として2025年12月に運営を開始した(2025年12月25日記事参照)。

(注2)参加企業および参加銀行一覧PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(注3)評価測量士は、香港における不動産や無形資産を含む企業価値評価を行う専門資格者。

(注4)特許品質分析レポートは、有償サービスとしても利用可能(1件当たり1万~3万香港ドル)。

(南川泰裕)

(香港)

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