フランス極右政党・国民連合(RN)、2027年大統領選挙に向けて財政再建構想を発表

(フランス、EU)

パリ発

2026年10月13日

フランスの2027年大統領選挙に向けて、極右政党の国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン候補は10月6日、大規模な財政再建と減税を両立させる「財政ルネッサンス」構想を発表した。

ルペン氏は、現在のフランス財政について「フランスは債務不履行(デフォルト)に向かっている」と危機感を示し、大統領選で勝利した場合には、就任から18カ月で710億ユーロの赤字削減と540億ユーロの減税を達成し、利払い費を除いた基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を均衡化すると明言した。その上で、2032年の任期満了までに1,400億ユーロ超の歳出削減を実現し、プライマリー・バランスを黒字化する目標を掲げた。公的債務残高も2027年のGDP比121%から112%へと5年間で9ポイント引き下げる考えだ。

財政ルネッサンスの柱となるのは「財政黄金律(règle d'or)」の導入だ。これは、公的債務を継続的に削減するため財政赤字に上限を設ける制度で、債務残高がGDP比60%に達するまで厳格な財政運営を義務付ける。ルペン氏は国民投票を通じてこれを導入し、財政規律を憲法に明記する考えを示している。また、財政高等評議会や憲法評議会による監視を設け、財政黄金律からの一時的な逸脱には議会の5分の3以上の賛成を必要とする。2年連続で適用する場合は国民投票による承認が必要となる。

歳出削減は主に行政改革、社会保障制度改革、移民政策の見直しを通じて行われる。「国家の合理化」のため、付加価値税(VAT)収入の集中管理、120種類以上の「不要または非効率な税」の廃止、ならびに各年度の支出を担当大臣の承認なしに自動更新する慣行の廃止などを提案した。

また、社会保障制度の簡素化、不正受給対策、医療支出の効率化に加え、年金制度の見直しを進め、150億~200億ユーロの歳出削減を目指すとした。

一方、ルペン氏は、移民政策の見直しによって初年度150億ユーロ、通年ベースで290億ユーロの歳出削減が実現できると主張しており、これは歳出削減計画全体の約20%に相当するとしている。さらに、EU予算への拠出についても、現行のEU政策を財政面で支援する考えはないとし、EUへの純拠出金を50億ユーロ程度に抑える方針を示した。なお、政府が10月1日に発表した2027年予算法案(2026年10月7日記事参照)では、EU予算への拠出金として309億ユーロを計上している。

大幅な歳出削減策を打ち出す一方、企業競争力の強化と家計の購買力向上を目的とした大規模減税も実施する。生産関連税の減税やエネルギー、生活必需品へのVAT引き下げなどにより、少なくとも540億ユーロの減税(純減税額280億ユーロ)を行う方針を示した。

ローラン・レスキュール経済相は同日、ルペン氏の「財政黄金律」について、憲法に明記するだけでは財政再建は実現しないと批判した。また、EU拠出金削減や移民政策による歳出削減は「実現不能な公約」と指摘し、EU拠出金削減には加盟国の同意が必要であり、EUの補助金や研究支援制度の恩恵を受ける農業や研究分野に悪影響を及ぼすと主張した。さらに、移民関連の歳出削減計画については違憲の可能性があると指摘した。

経済学者や財政専門家からは、大規模な歳出削減と成長加速の両立は非現実的であり、歳出削減策の多くも根拠が不十分との批判が出ている。

(山崎あき)

(フランス、EU)

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