インド準備銀行、国営石油会社向けドル供給特別枠を設置、外国為替市場の安定化図る

(インド、中東)

ムンバイ発

2026年10月13日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は10月10日、国営石油会社(注)のドル需要に対応するため、特別な外貨供給枠を設置すると発表した。また、外国為替市場の安定の確保に向けた複数の規制措置も合わせて公表した。足元では中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇や世界的なドル高を背景に、ルピー安への圧力が強まっている。対ドル相場は2026年1月1日時点の1ドル=約89.98ルピー(約144円、1ルピー=約1.6円)から、10月8日時点では96.77ルピー台まで下落しており、年初比で約7.6%のルピー安となっている(添付資料図参照)。今回の措置はエネルギー輸入に伴うドル需要の増加を背景に為替市場への影響を抑制する狙いがあるとみられる。

インドは原油需要の約9割を輸入に依存しており、原油価格の上昇局面では、国営石油会社によるドル調達需要が増加する傾向にある。このような需要が市場で一斉に発生すると、ルピー安が進行するほか、市場流動性の低下や為替変動の拡大につながる懸念がある。そのため、RBIは石油会社向けに直接ドルを供給することで、市場におけるドル需給への影響を緩和し、ルピー相場や外国為替市場の安定を維持する狙いがあるとみられる。

今回の対応は、ルピー相場の過度な変動を抑えるための予防的措置として位置付けられる。原油価格の上昇はインドの輸入負担を増加させ、ルピー相場やインフレ率の押し上げ要因となる。RBIは10月の金融政策決定会合(MPC)でも原油価格動向を主要なインフレリスクに挙げており、為替市場の安定確保を通じて物価と金融市場の安定を維持する姿勢を示している(2026年10月8日記事参照)。輸入依存度の高い製造業や商社にとっては、為替変動リスクの抑制は事業計画の見通し向上につながる可能性がある。

市場関係者は、今回の措置により短期的にはルピー相場の下落圧力が緩和するとみている。一方で、原油価格の高止まりや米国金利の上昇、海外投資資金の流出といった要因は残存しており、ルピー相場への圧力が続く可能性があるとの見解も示されている(「フィナンシャル・エクスプレス」紙10月10日)。

(注)インディアン・オイル・コーポレーション(IOC)、バーラト・ペトロリアム・コーポレーション(BPCL)、ヒンドゥスタン・ペトロリアム・コーポレーション(HPCL)の3社を指す。

(野本直希)

(インド、中東)

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