米商務省、中国製トレーラーに対する260%超のAD・CVDを発動

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年10月30日

米国商務省国際貿易局(ITA)は10月28日、中国製バン型トレーラーおよび同組み立て部品の輸入に対して、アンチダンピング関税(AD)と補助金相殺関税(CVD)を徴収するよう米国税関・国境警備局(CBP)に指示する官報を公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。対象製品に課されるADは129.73%、CVDは134.75%となり、合計で260%を超える(注1)。ADは6月15日以降の輸入、CVDは6月5日以降の輸入にさかのぼって適用される。

ADとCVDは、WTO協定で認められた貿易救済措置の一種だ。ADは、輸出国の国内価格を下回る価格による輸出(ダンピング輸出)が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、その価格差を相殺する目的で賦課される。CVDは、政府補助金を受けて生産などされた製品の輸出が、輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、当該補助金の効果を相殺する目的で賦課される(注2)。

AD・CVDを課すための具体的な手続きは、WTO協定に従い各国が国内法で定めている。米国では賦課にあたり、(1)米国国際貿易委員会(USITC)による国内産業の損害有無の仮決定、(2)ITAのダンピングや補助金の有無および税率の仮決定、(3)ITAの最終決定、(4)USITCの最終決定の4段階で進められる。今回の案件は米国メーカーによる、中国からの同製品輸入が国内産業に損害を与えているとの申し立てに基づき進められた。今回の官報公示は(3)ITAの最終決定にあたる。官報公示に先立ち、ITAは8月31日に、中国製トレーラーなどが不当に安い価格で米国に輸出されていること、中国政府が補助金を供与していると最終決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。その後、USITCは10月15日に、これらの輸入によって米国産業が実質的損害を受けていると最終決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(4の段階)。

中国政府は今回の決定に対して反発しており、在米中国大使館の劉暢報道官は、両首脳間で確認した共通認識を順守するよう米国側に求めた(政治専門紙「ポリティコ」10月28日)。米中両国は2025年10月の米中首脳会議で各種通商措置の一時停止で合意しており、その後2026年9月の首脳会議などを通じて、一時停止期間を2027年1月10日まで延長することで合意したとみられる。ただし、追加関税率の抑制に関しては、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置のみが合意の対象であり、ADやCVDに関しては約束していなかった(2026年9月25日記事参照)。今回の決定が、1月以降の各種通商措置の適用停止延長に影響があるのかが注目される。

(注1)AD・CVDは通常、個別企業ごとに異なる税率が設定されるが、今回の措置では中国企業の対象製品に一律の税率が設定された。対象となる製品およびHTSコードは官報を参照。

(注2)米国は従来AD・CVDを積極的に活用しており、WTO公表資料によれば、2020年以降に世界各国・地域で発動されたADの21.7%(604件)、CVDの63.7%(228件)を米国が占めている。

(清野華蓮)

(米国、中国)

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