日立エナジー、オンタリオ州に変圧器用絶縁材の新工場建設へ

(カナダ、日本)

調査部米州課

2026年10月22日

日立製作所の完全子会社である日立エナジーは10月16日、カナダ・オンタリオ州ロンドンに変圧器用絶縁材の新工場を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は4億7,900万カナダ・ドル(約532億円、Cドル、1Cドル=約111円)を投じて、カナダ初となる電気絶縁用プレスボードの製造ラインを設置し、北米における変圧器のサプライチェーン強化を図る。

ヒューロン工業団地に建設する新工場の敷地面積は約2万1,000平方メートルで、2028年の完成を予定している。変圧器の製造・稼働に不可欠な電気絶縁用プレスボードと積層絶縁材を年間最大2万トン生産し、100人超の専門人材を新規雇用する見通しだ。同工場は、同社にとって米州初のプレスボード生産拠点となる。

プレスボードは、木材パルプなどの繊維を原料とする絶縁材で、変圧器内部の電気絶縁や冷却を支え、変圧器の性能や安定性を支える。同工場では、カナダ産の木質繊維を高付加価値の絶縁材に加工する。生産されたプレスボードは、ケベック州バレンヌにある同社の変圧器工場に加え、北米や世界各地の変圧器・絶縁材メーカーにも供給する予定だ。カナダ政府は、国内林産品の新たな市場を創出するとともに、重要部材の国内供給能力を構築する事業と位置付けている。

同事業を支援するため、カナダ政府は、「戦略的対応基金(SRF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」から2,000万Cドル、天然資源省の「林業変革投資(IFIT)プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」から1,000万Cドルを拠出する。またオンタリオ州政府も、「インベスト・オンタリオ基金外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を通じて最大2,000万Cドルを拠出する。

カナダでは、産業プロジェクトの新設、人工知能(AI)・データセンターの拡大、電化の進展などを背景に、電力需要が増加している。一方、送配電網の増強に不可欠な変圧器は、その製造に必要となる特殊な絶縁材の入手が限られるなど、世界的な供給制約に直面している。カナダ政府は、2050年までに国内の電力需要が倍増するとの見通しを踏まえ、電力網の容量を倍増させる方針を掲げており(2026年5月20日記事参照)、今回の投資を、電力インフラの国内供給網強化と林業の活性化を同時に進める事業として支援する。

(木村勇翔)

(カナダ、日本)

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