台湾セメント、ウクライナの建材大手IFCEMを買収

(ウクライナ、台湾)

キーウ発

2026年09月29日

台湾セメント(TCC)は9月22日の臨時取締役会で、ウクライナのセメント・建材大手のイワノ・フランキウスクセメント(IFCEM)および関連企業3社を、企業価値7億5,000万ユーロを上限に買収することを承認したと発表した(2026年9月23日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。取引はTCCのオランダ子会社を通じて行われ、台湾・ウクライナの関係当局の承認後に完了する見通しだ。

TCCは台湾発の産業グループで、世界最大級のセメントメーカーの1つだ。40カ所以上の生産拠点を有し、年間のセメント生産能力は1億1,200万トンを超える。IFCEMの年間のセメント生産能力は430万トン。プレキャストコンクリート製品や屋根材、石膏ボードなどを手掛け、ポーランドやルーマニアを中心に、東欧への輸出網を有する。

セメントは、2026年1月から本格適用が開始されたEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM、2026年9月18日付地域・分析レポート参照)の対象品目。IFCEMはEU市場への輸出競争力の維持・強化に向け、脱炭素化に対する投資を進めてきた。TCCは今回の取引完了後、低炭素技術や生産ノウハウをIFCEMに導入し、欧州の事業基盤を南欧・西欧から東欧に拡大することを目指す。脱炭素技術を駆使してウクライナおよび欧州の戦後復興を主導し、グローバルなサステナビリティー(持続可能性)の実現というビジョンを推進していきたい考えだ。

ウクライナのNGO「クルブ・エクスペルチウ」および業界団体「ウクルセメント」の調査によると、同国のセメント生産量は2021年の1,100万トンから、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が行われた2022年に540万トンに半減したものの、2024年には793万トンまで回復した。国内消費量は、2021年の1,060万トンから2022年に450万トンに減少したのち、2023~2024年は年間620万~630万トンで推移した。国内の建設や防衛・物流インフラ分野からの需要が下支えしたものの、侵攻前の6割程度の消費量にとどまった。国内需要は低迷しているが、ポーランドやルーマニアなど近隣諸国への輸出量が拡大している。2021年のセメント輸出量は97万トン(生産量の9%)だったが、2024年には170万トン(同21%)に達した。

(バレリア・ピッドフルスカ、柴田紗英)

(ウクライナ、台湾)

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