イラク首相がフランスとドイツ歴訪、協力文書などに署名

(イラク、フランス、ドイツ)

ドバイ発

2026年09月25日

イラクのアリー・ゼイディー首相は9月13~15日、5月の就任後初の欧州訪問としてフランスとドイツを歴訪した。仏独首脳との会談に加え、企業・金融機関との協議を重ね、欧州企業による対イラク投資の拡大を呼びかけた。フランスでは6件の協力文書が署名され、ドイツでは両政府が今後の協力に関するイラク・ドイツ行動計画を取りまとめ、電力分野の新たな協力原則にも署名した。

フランスでは14日、エマニュエル・マクロン大統領と会談した。パリではフランス企業関係者50人が参加する経済フォーラムが開かれ、エネルギー安全保障、インフラ、産業、サービス、医療などで関係強化を協議した。6件の協力文書には、フランス開発庁(AFD)による資金協力、民間航空、イラク電力省とフランス石油大手のトタルエナジーズによるガス供給・販売の協力文書などが含まれた。

ゼイディー首相は、トタルエナジーズのパトリック・プヤネ会長兼最高経営責任者(CEO)とも会談した。イラク首相府の発表によると、プヤネCEOは同社のイラクでの投資額が約120億ドルに達しており、将来的に160億ドルへ拡大する計画を示した。両国の共同声明では、同社とイラク政府が、原油生産拡大やエネルギー効率向上などを目的とする複数の大型エネルギー事業について協議を開始するとした。同社はすでに、イラク南部で約100億ドル規模の「ガス成長統合プロジェクト(GGIP)」を進めている(2023年4月7日記事参照)。

また、イラク電力省によると、トタルエナジーズ・ガス&パワーとの文書は、液化天然ガス(LNG)供給に向けた協議・交渉の原則を定めた。イラク南部のバスラ県の港湾に浮体式ターミナルを配置してLNGを再ガス化し、国内ガス網を通じて発電所へ供給する構想を対象とする。供給量や期間などは公表されていない。

15日に訪問したドイツでは、フリードリヒ・メルツ首相と会談し、両政府が今後の協力を定めるイラク・ドイツ行動計画を取りまとめた。メルツ首相は、経済協力を両国関係の重点と位置付け、ドイツ企業の活動拡大には透明で効率的な行政などが重要だとした。同日、イラク電力省とシーメンス・エナジーは「イラク・エネルギー・プログラム第4期」の協力原則に署名した。新規発電所や変電所、既存設備の改修・保守、資金調達、人材育成などを対象とするが、事業費や発電容量、実施時期は公表されていない。

(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)

(イラク、フランス、ドイツ)

ビジネス短信 cc3698e68515b853