イラク政府とトタルエナジーズ、100億ドル規模のプロジェクトに合意

(イラク、フランス、サウジアラビア)

ドバイ発

2023年04月07日

イラク政府とフランスのエネルギー大手トタルエナジーズは4月5日、270億ドル規模の投資計画のうち、第1段階に当たるイラクの電力供給を改善する天然資源開発計画「ガス成長統合プロジェクト(Gas Growth Integrated Project、GGIP)」について、約100億ドルの投資で合意に達した。同プロジェクトの株式について、イラク国営バスラ石油会社が30%、トタルエナジーズが45%、カタールエナジーが25%を保有すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。

このプロジェクトは2021年9月に発表され、両者間の協議が進められてきたものの、条件面で交渉が難航していることがたびたび報道されてきた。2023年2月には、イラク政府側がプロジェクト株式保有割合を25%から40%に引き上げる要求をしていることが報じられたが、最終的に30%で合意した。

GGIPでは、3つの油田でのフレアガス回収、油田への注水の海水処理プラントの建設が行われるほか、1ギガワット(GW)の太陽光発電所の開発も含んでいる。この太陽光発電開発には、サウジアラビアのアクワ・パワーの参画が発表されている。

エクソンモービルやシェル、BPといった欧米のエネルギー大手がイラクでの事業を縮小する中で、トタルエナジーズとの大型投資案件での合意は、2022年10月に誕生したスーダーニー政権(2022年11月7日記事参照)にとって大きな成果の1つとなる。

トタルエナジーズはプレスリリースで「イラク政府のこの計画に対する継続的な支援を歓迎したい。これは、イラクへの外国投資にとって強力で前向きなシグナルとなる」とした。また、カタールエナジーもプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、カタール政府のエネルギー担当国務相でカタールエナジー会長兼最高経営責任者(CEO)のサード・シェリダ・アル・カービー氏の発言として、「今回の合意に到達するための貴重な支援と、カタールエナジーを信頼してくれたイラク政府に感謝したい」とした。

(太田尭久)

(イラク、フランス、サウジアラビア)

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