ロシアのEV販売、夏季に2倍超、燃料(ガソリン)不足で需要拡大、市場調査会社が発表
(ロシア)
調査部欧州課
2026年09月11日
市場調査会社のアフトスタトの発表(9月4日)によると、ロシアにおける8月の乗用車新車販売台数は11万4,285台で、前年同月比6.5%減だった。Eコマースサイト運営大手「アビト」の自動車部門、アビト・アフトのアルチョム・ホムチンニコフ氏によると、電気自動車(EV)・ハイブリッド車への需要(注1)は2026年夏季(注2)に前年同期比23%増、8月には前年同月比で71%増だった(「アフトスタト」9月4日)。自動車市場全体が前年割れする中、EV・ハイブリッド車などの電動車への関心が相対的に強まった。
こうした電動車への関心の高まりには、複合的な要因があるとみられる。アビト・アフトのホムチンニコフ氏は理由の1つとして、物価の安定に伴い政策金利が段階的に引き下げられたため、これまで購入を控えていた層が購買に動いたことを挙げた。
また、ウクライナによるロシアの製油所へのドローン攻撃を受け、一部施設が操業を停止するなどして発生した燃料(ガソリン)不足も、需要を押し上げたとみられる(2026年7月14日記事参照)。アフトスタトのデータによると、2026年6~8月のバッテリー式EV(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)新車販売台数は2万6,543台で、前年同期の1万2,187台から約2.2倍となった(ロイター9月7日)。ロイターは、燃料不足が自動車利用者に負担となる中、代替手段としてEVを検討したり、天然ガス仕様に転換したりしている消費者が出ている、と報じた。
欧米や日本メーカーの事業縮小後、ロシアでは中国車が新車市場で存在感を高めてきた。ロイターの報道によると、EV・PHEV需要の受け皿となったのは主に中国製だったという。中国車の存在感は、内燃機関車に加えてEV・PHEV分野でも高まっている(2023年10月4日付地域・分析レポート、2025年6月23日付地域・分析レポート参照)。
ロシアでは、充電網の制約や広大な国土、厳しい気候がEV市場拡大の課題となっており、電動車の販売増が持続的な市場拡大につながるか否かは、充電インフラの整備と車両の安定供給が焦点となる。2025年の乗用車販売に占めるBEVとPHEVの割合は4.3%にとどまった(2026年6月9日付地域・分析レポート参照)。
(注1)アビトの数値は、同社サイト上のEV・ハイブリッド車への需要を示す。ロイターが報じたBEV・PHEVの新車販売台数とは、対象車種と指標が異なる。
(注2)ロシア語の一般的な暦上の用法では、夏季は6~8月を指す。
(後藤大輝)
(ロシア)
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