ガソリン供給の確保に向け法改正、モスクワ市内では給油の列が続く
(ロシア)
調査部欧州課
2026年07月14日
ロシアではウクライナによるドローン攻撃の影響により多くの製油所で稼働率が低下し、燃料不足が発生している。ウラジーミル・プーチン大統領は7月4日、国内のガソリン供給確保を目的に法律を改正する連邦法第218-FZ号に署名、即日施行した。
これにより、オクタン価92以上のガソリンについては、ナフサを他の成分と混合して製造することが認められることとなった。この製造方式を採用する中小規模の製油所や石油貯蔵施設は、特例としてナフサの購入時に納付した物品税の控除を受けられることから、こうした製油所によるガソリン生産の増加が期待されている。同法の施行に先立ち、ロシア政府は2026年7月2日付連邦政府決定第819号により、それまで認められていなかったEUにおける自動車の排ガス基準「Euro3(ユーロ3)」水準のガソリンおよび軽油の国内流通を2026年末まで認可した。
また、ユーラシア経済連合(EAEU)域外からの輸入ガソリンに対する補助金制度も導入される。この仕組みは従来、国内およびEAEU域内で生産されたガソリンのみを対象としており、ガソリンスタンドでの販売価格の上昇を抑制する役割を果たしてきた。今回策定された輸入燃料を対象とする補助金制度の新たな算定式にはインドの燃料価格も使われる。インドからの燃料輸入を想定した措置とみられている。
燃料供給は改善の兆し
モスクワではガソリンスタンドで行列が続いている。市内のどのガソリンスタンドでも燃料を入手できるわけではなく、特にオクタン価95のガソリンの不足が顕著だ。燃料の販売を継続しているスタンドであっても、給油量は1回当たり20~30リットルに制限されている。政府による補助金制度により、ルクオイルやガスプロムネフチといった大手石油会社のガソリンスタンドでは価格が比較的安定している。
6月29日時点のモスクワ市内のガソリンスタンド。オクタン価95のガソリンは販売されていなかった(ジェトロ撮影)
法改正後7月10日時点の同じスタンドではオクタン価95のガソリンが販売されている(ジェトロ撮影)
給油可能なスタンドを探す利用者を支援するため、「ガソリンはどこ」と呼ばれるウェブサイトや、検索サービス最大手ヤンデックスのアプリなどが立ち上げられた。利用者はこれらのサービスを通じて、各給油所における在庫状況や待ち時間に関する情報を確認できるほか、自ら情報を投稿・共有することも可能となっている。
国内の他の地域向けに出荷される予定だった燃料の一部がモスクワへ優先的に振り向けられており、モスクワの燃料供給の状況には改善の兆しがみられている。一方で、モスクワへの優先供給のしわ寄せにより、一部の地方都市では深刻な燃料不足が生じている。
(欧州課)
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